ジャンル:没カルジュナ お題:初めての宿命 制限時間:15分 読者:42 人 文字数:980字 お気に入り:0人

【没カルジュナ】服飾パロ続き

バタンッ!と大きくドアが閉まる音が響いた。マリーとアルジュナは肩で息をしながらドアに背をつけ、顔を見合わせる。どちらともなく瞳が弧を描き、笑みとなった。

「先程の貴方、とっても素敵だったわ」
「貴女こそ、気品と情熱の成せる業でした」

控室に様変わりした縫製室を横切りながら、アルジュナは額に浮いた汗をぐい、と手の甲で拭った。
マリーもドレスを翻しながらそれに続く。二人の視線の先には、真紅の髪色のカルナが口角を上げ、腕組みをしながら机に腰掛けていた。彼を知らない人間に、モデル専攻だと告げれば丸ごと信じられそうなくらいのたたずまいに、アルジュナは無意識に息を吐いた。

「お披露目会は上々だな」

むっとしてアルジュナが食って掛かるより前に、レオナルドが手を叩いて二人を称賛する。

「やぁやぁいいじゃないか、期待通りの働きだよ!これで世界も本腰を入れるだろう!」
「それよりも、だ」

カルナは緋色を揺らし、黒一色のスラックスを音もなく動かす。まるで舞台上の人形劇のようになめらかな動作でアルジュナに近付き、その黒い手袋に覆われた手でアルジュナの喉を撫で上げた。アルジュナも黙ってされるような性格ではなく、その手を叩き落とそうとしたが、くつ、と笑われ、その手すら反対の腕に遮られる。

「アルジュナ、あの男の顔を見たか」
「…」
「あの、大衆と同じく、でくの坊になった、無為の表情を見たか。お前に触れる権利の無さに絶望した男の顔よ」
「あれはもうカルナではない」

ほう、という感嘆。アルジュナの言葉を深く刻むように、アーチャーと名乗るカルナがアルジュナの瞳を覗き込む。二人の距離は、最早十五センチメートル以下にまで縮まっている。

「我らが宿業を忘れた存在なれば、あれはもうカルナに非ず。カルナという入れ物と外見をまねただけのクローンだ」

アーチャーの指先が、アルジュナの目元をなぞり、ゆっくりと頬を撫でる。

「そうだ。お前を忘れたカルナは、カルナではない」

アルジュナが、体側で必死に作っている拳のことを、誰も指摘しようとはしない。アルジュナは、得てして、スロットのような男である。あたりがあるように見せかけるために、何百回もの外れを経験させてから、人前でスリーセブンを一発でそろえるような。

「お前の病は、既にオレに奪われてしまったのだよ」

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


見つかりませんでした。

梟光司の即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:恥ずかしい彼女 制限時間:15分 読者:39 人 文字数:1433字 お気に入り:0人
「ッッ――ラァッ!」来る、と思ったのは、決してカルナの思い違いではなかった。鮮烈な赤。血よりももっと明度の高い、林檎や苺のような緋色。それが眼前に迫り、カルナは 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:戦争と悪人 制限時間:15分 読者:45 人 文字数:1468字 お気に入り:0人
従業員の顔が一瞬で青褪め、道を開けた。というよりも、脱兎のごとく逃げ出した。カルナとビリーは一気に走り出し、ピアノの乗るステージの横を通り抜けて二階への階段に足 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:もしかして凡人 制限時間:15分 読者:32 人 文字数:1258字 お気に入り:0人
ガゴンッ!と車体が揺れ、カルナが一瞬だけシートから浮く。咄嗟に庇ったベレッタをセットし直しながらフィンを見ると、どうやら運転席から何かを外へと投げているようだっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:愛のプレゼント 制限時間:15分 読者:46 人 文字数:1297字 お気に入り:0人
「大層なご登場なこって」「いつもはデスクワークばかりだからね。たまに現場に戻ると良い刺激になる」「まぁいいや、カルナが君と行くと申し出た」「そうか」フィンはウィ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:ロビジュナ お題:見憶えのある水 制限時間:15分 読者:35 人 文字数:1403字 お気に入り:0人
最初の感想は「誰だあれ」だった。俺はロビンフッドの中でも出来の悪い方だと自負しているが、その中でもまぁまぁ頑張ってきたとも思っている。魔力も電力も不足したカルデ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:ロビジュナ お題:小説家たちの唇 制限時間:15分 読者:41 人 文字数:1450字 お気に入り:0人
「あなたにとって、私なんて火遊びにもならないのでしょうね」どんなことが原因だったのか、もう覚えていない。けれども売り言葉に買い言葉。それが私を躍起にさせて、言わ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:私の儀式 制限時間:15分 読者:47 人 文字数:1786字 お気に入り:0人
「言い訳はあるかね」「………無い」カルナは両手を後ろ手に組み、足を肩幅に開いて質問の主を見ていた。ジェロニモは他のメンバーと同じく、カルナへの「勉強」の先生であ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:没カルジュナ お題:初めての宿命 制限時間:15分 読者:42 人 文字数:980字 お気に入り:0人
バタンッ!と大きくドアが閉まる音が響いた。マリーとアルジュナは肩で息をしながらドアに背をつけ、顔を見合わせる。どちらともなく瞳が弧を描き、笑みとなった。「先程の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:限りなく透明に近い命日 制限時間:15分 読者:65 人 文字数:1539字 お気に入り:0人
さて防犯ブザーで呼ばれるのは、何もむくけき男だけではない。カルナはアルジュナの元にはせ参じた三人を見やってチベットスナギツネの形相となった。「うちの子に何か御用 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:かたいオチ 制限時間:15分 読者:65 人 文字数:1572字 お気に入り:0人
「ニューーーーヨーーークヘ、行きたいか~~~~!」「「「ウォォオオオオ!!!」」」赤白青の三色帽子をかぶり、ギターをマイクに見立てて叫んでいるのは信長。その隣で 〈続きを読む〉