ジャンル:没カルジュナ お題:初めての宿命 制限時間:15分 読者:119 人 文字数:980字 お気に入り:0人

【没カルジュナ】服飾パロ続き

バタンッ!と大きくドアが閉まる音が響いた。マリーとアルジュナは肩で息をしながらドアに背をつけ、顔を見合わせる。どちらともなく瞳が弧を描き、笑みとなった。

「先程の貴方、とっても素敵だったわ」
「貴女こそ、気品と情熱の成せる業でした」

控室に様変わりした縫製室を横切りながら、アルジュナは額に浮いた汗をぐい、と手の甲で拭った。
マリーもドレスを翻しながらそれに続く。二人の視線の先には、真紅の髪色のカルナが口角を上げ、腕組みをしながら机に腰掛けていた。彼を知らない人間に、モデル専攻だと告げれば丸ごと信じられそうなくらいのたたずまいに、アルジュナは無意識に息を吐いた。

「お披露目会は上々だな」

むっとしてアルジュナが食って掛かるより前に、レオナルドが手を叩いて二人を称賛する。

「やぁやぁいいじゃないか、期待通りの働きだよ!これで世界も本腰を入れるだろう!」
「それよりも、だ」

カルナは緋色を揺らし、黒一色のスラックスを音もなく動かす。まるで舞台上の人形劇のようになめらかな動作でアルジュナに近付き、その黒い手袋に覆われた手でアルジュナの喉を撫で上げた。アルジュナも黙ってされるような性格ではなく、その手を叩き落とそうとしたが、くつ、と笑われ、その手すら反対の腕に遮られる。

「アルジュナ、あの男の顔を見たか」
「…」
「あの、大衆と同じく、でくの坊になった、無為の表情を見たか。お前に触れる権利の無さに絶望した男の顔よ」
「あれはもうカルナではない」

ほう、という感嘆。アルジュナの言葉を深く刻むように、アーチャーと名乗るカルナがアルジュナの瞳を覗き込む。二人の距離は、最早十五センチメートル以下にまで縮まっている。

「我らが宿業を忘れた存在なれば、あれはもうカルナに非ず。カルナという入れ物と外見をまねただけのクローンだ」

アーチャーの指先が、アルジュナの目元をなぞり、ゆっくりと頬を撫でる。

「そうだ。お前を忘れたカルナは、カルナではない」

アルジュナが、体側で必死に作っている拳のことを、誰も指摘しようとはしない。アルジュナは、得てして、スロットのような男である。あたりがあるように見せかけるために、何百回もの外れを経験させてから、人前でスリーセブンを一発でそろえるような。

「お前の病は、既にオレに奪われてしまったのだよ」

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