ジャンル:練習 お題:贖罪の海風 制限時間:1時間 読者:111 人 文字数:2088字 お気に入り:0人

料理(まずは調達から)

「ついに非常食に手を出す時がきたか」
「プギー!!!!」
「ごっふ!!!!」
わずか三秒の出来事である。非常食呼ばわりに怒り狂ったプーギーは猪突猛進の勢いでアッシュへと体当たりをブチかますと、そのまま外へと出て行ってしまった。ひっくり返ったアッシュがみぞおちを押さえて悶絶していると、なにやら屋外からすさまじい勢いの足音が響いてくるではないか。音からしてプーギーだとは考えにくく、どちらかといえば狩猟中に背後から聞こえてくる音によく似ていた。というかそのものだった。
「ちょっとアッシュー!!プーギーいじめないであげてよー!!」
いつもの突進に用いるランスではなくかわいらしい子ブタを抱えたセブンが、ドアをぶち壊す勢いで部屋へと転がり込んできたではないか。
「ちくしょう、めんどくさいやつを仲間に引き入れやがって……」
「どちらかといえばアッシュが悪いでしょ」
セブンの後ろから悠々と敷居をまたいで屋内に侵入してきたビリーは、ぷんすこ怒っているプーギーをよしよしと宥めている。
「冗談に決まってるだろ」
「今の状況だと、冗談で終わらなさそうなんだけど」
端的に述べると、ポッケ村は食糧難に陥りかけていた。というのも、そもそも今の時期は冬の終わり掛けで蓄えていた保存食がなくなる直前だったことに加えて、断続的に続く悪天候のせいで村への出入りが出来なくなっている事あたりが原因である。残念なことに、クシャルダオラが雪山に来ているというわけではないので、自然に吹雪がやむのを待つしかないのが今の現状だ。
「乾パンとかはまだ残ってるんだけど、干し肉とか野菜類がなくなっちゃってるからね」
「圧倒的に肉が足りないんだよなぁ」
味気がない携帯食料で三食賄うのは御免だと項垂れるアッシュ。その肩をたたく二名。
「肉がないなら」
「調達しに行けばいいじゃない」
「……は?」

 ***

「というわけでやってきました。雪山の素材ツアーです」
「馬ッ鹿じゃねえの!?」
冬の雪山は他季節に比べて段違いに恐ろしい。しかも猛吹雪である。張り上げた声は、ごうごうと吹き荒れる風にかき消された。
「ポポは無理だろうからブルファンゴあたりで妥協しよう」
「俺はケルビかガウシカがいい」
「たしかにおいしいけど、今日は質より量目的だから。オレたちの分だけじゃなくて村の人たちの分も持ち帰らないと」
「ひたすら生肉を集めればいいんだな」
「そういうこと!!」
「そういうのはクエスト出る前に説明しとけよお前ら!!」
何も知らされないまま引きずられてきて、今ようやく吹雪の雪山まで赴いた理由を知ったアッシュが叫び、ざくざくと雪をかき分けて進んでいくセブンとビリーを追いかける。ちょっとでも遅れればすぐに遭難するだろう。雪解けの時期になって発見されとか絶対に嫌だ。
「でもファンゴの肉って獣臭くない?」
「香辛料をドバドバかければそれなりに食えるだろ」
「ノブツナに聞いたんだけど、味噌を使うと獣臭さが少なくなっておいしく食べれるらしい」
「「味噌……」」
「鍋にして食べるんだって」
「「鍋……」」
なんとも言えない沈黙の後、ひゅおおお、と風が吹き抜けていく。
「あっちの国の奴ら、食に対する探究心おかしいだろ」
「わかる」
「でも味噌とか醤油とかおいしいよね」
「それな」
「どうせ肉食うなら何かうまい食い方ねえかな……」
「……ねえ、オレすごいおいしそうなの思いついちゃった」
「なんだよ」
「しゃぶしゃぶ。味噌だれの」
「「――――……」
ごくり、と三人の喉が鳴った。
「ぜってー生肉ゲットするぞ」
「ブルファンゴ狩りつくす」
「3人で持ち帰ったら結構な量になるはず」
肉を持ち帰ることに熱意を燃やす3人の前に、神がかったタイミングで――あるいは向こうにとってみれば最悪のタイミングで――エンカウントの瞬間が訪れた。
舞い上がる雪の向こうで動く大きな影。ブルファンゴより二回り以上大きなその体躯は、ドスファンゴのものだった。
「……報酬でもらえる素材、全部生肉にしてもらえると思う?」
「交渉次第だな」
「たぶん出来ると思う」
武器を構えた彼らの異様な圧に、ドスファンゴが『あ、これアカン』とでも言いたげな雰囲気を醸し出す。
「ここで会ったが運の尽きだ」
「おいしい鍋にしてあげよう」
「いただきます」

かくして、哀れなドスファンゴは見事な鍋へと姿を変えたのだった。

 ***

「せっかく色々調達してきたのに、いらなかったみたいですねぇ」
吹雪がやんでようやく村へと戻ってきた、リクは呆れた様子で肩を竦めていた。
「『報酬素材を全部生肉で』って言い出す方もアレだけど許可するギルドもどうかと思う」
「そのおかげで食い繋げたんだから別にいいんじゃないか」
そうは言うものの、発言したジャック自身も苦笑いを浮かべている。
「終わりよければすべてよしってやつ?」
「そういうことにしときましょうか、はぁい」



「ところでアレは?」
「ノブちゃんがいない間に味噌使いきっちゃったらしくて怒られてる」

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