ジャンル:刀剣乱舞 刀さに お題:魅惑の計画 必須要素:コーラン 制限時間:30分 読者:23 人 文字数:1777字 お気に入り:1人

デート

「頼もう」

これから道場破りでもするような挨拶とともに現れたのは、大包平であった。
審神者は端末をいじっていた手を休めて、長身の男を。
大包平は大荷物だ。雑誌だの地図だの鉛筆だの、とにかくいろんなものをその逞しい腕に抱えていた。
一体何事かと審神者が目を丸くしていると、

「いいか、よく聞け」

大包平は審神者の向かいに座ると同時に、大真面目な口調で言った。なにやら大切な話であるらしい。
自然審神者も居住まいを正し、大包平に向き合うこととなった。
大包平は持ってきた地図と雑誌とを広げて畳の上に置く。ひとまず地図を、指示した。

「集合時間は9:20分、厳守だ。9:30発の電車に乗って2駅で下り電車に乗り換え、待ち時間が7分だ。そうして5駅乗り継いで10時には目的地に到着する計算だ。電子マネーのチャージは怠るな、1分1秒が命取りだ。俺は持っていないがこのために万屋で購入した。チャージの時間がないなら俺が一緒に入れておく。いいな?」
「……うん?」
「返事は」
「はい」

審神者はぽかんとしながらも、大包平の勢いに押されてついつい返事してしまう。
それを確認すると、大包平は再び口を開いた。

「10時、開園と同時に入るぞ。入園チケットは二人まとめて買う。共通の財布でも作っておくとよいか。俺が出してもいいが、お前はそういうのはきっちりしておきたい方だろうからあえてそうする。異論はないな?」
「え……。あ……」
「はっきりしろ」
「はあ……はい」
「中は、この順番で行く。いくつか雑誌やネット上の記事を検索したが、このルートが最短かつもっとも濃厚に楽しめるということだ」
「……へえ」
「この、」

大包平がガイドマップの中の一点を指す。

「ソフトクリームがうまいと評判だ。お前は甘いものが好きだろう」
「うん」

大包平は何も言わず、しかしかすかにガッツポーズをとった。
もはや審神者は疑問をさしはさむことは、しない。

「ソフトクリームはワッフル付きがおすすめらしいが、なにせこの店のは量が多い。成人女性の平均的歩行速度で展示物を見、売店によるとなると、おそらく11時頃だ。昼が近いからここでは軽く食べておくべきだな。残念だろうがカップにするほうがいい。いいな?」
「わかった」

……

この調子で30分ほど大包平による独壇場が続いた。
皆まで聞いてしまった後、審神者は控えめに手を挙げて尋ねる。

「ひとつ聞きたいのが、これは、どういう、あれかな?」

どう考えても――デートコース、それも自分と大包平のそれを想定したもののようだが。
しかし大包平とはそういう関係でもないし、一体なにがどうなってこんな展開になっているのか、彼女にはさっぱり訳が分からなかった。
大真面目に問うた審神者に、大包平は一転、表情を変えた。

「っこの鳥頭が!」

第一声は罵倒。しかもあまり言われたことのないタイプのそれだった。

「お前が! 大包平と、この俺と! デートしたいと言ったんだろうが!」
「え、いつ?!」
「この前の宴の席でだ! 忘れたとは言わせん。その場には鶯丸もいた、あいつに聞けば証言してくれるだろう。お前がどうしてもというから俺は、」

いろんな雑誌を参考に、このデートプランを考えた、ということらしい。
参考にした雑誌にどこまでのことが書いてあったか、どのように参考にしたかは定かではない。――しかし、あまりにも「らしい」デートプランに、審神者は思わず笑ってしまった。

「っひとが真面目に考えたものを笑うとは、」
「違うって。ガチにガチすぎてちょっと面白かっただけ。むしろ、一度も行ったことのない場所なのに、よくもこれだけ考えられたね。さすがは大包平というか」
「……フン! 当然だろう。この俺が考えたのだからな」
「うん。だから楽しみにしている」
「はっ、そうだ、せいぜい楽しみにしているがいい! 仕事は前倒しにしておけよ、さもなくば泣きを見ても知らんからな!」

――とかいいつつ、泣きを見たら手伝ってくれるんだろうなぁ、なんて。
希望的観測を抱きながら、審神者は大包平に手を振った。




※大包平が参考にしたデートに関する書籍が、コーランかよみたいな、そういうあれということを補足した時点で、この小説は終わりです

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