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それは一つの国

※ユーゴ視点。統合後の話。

一人の人間の中。それは一つの国のようでもあった。
「すごいよこれ、ちょっとこれ見てよユーゴ」
そう言いユーリは俺の前に一つの植木鉢を差し出す。やたらトゲトゲしたよく分からねえ植物が植えられていた。
「ユーリ、それどっから出したんだよ?」
「今イメージしたら出てきたんだ」
「はぁ……?」
試しに俺も愛用のDホイールを想像してみる。次の瞬間見慣れた白いボディが俺のすぐ横に現れた。軽く触って確認したけど歪みも傷もない、リンと二人で完成させたあの時の姿そのものだった。
「ここは僕達が想像しただけで、形になって現れる素敵な所なんだね」
ユーリは植木鉢を抱えたままその場で上機嫌でくるくる回る。
「素敵な所、なぁ」
Dホイールを走らせようにも道路もなけりゃ草も木も何もない、乾いた地面とひたすら薄暗い所が素敵と言う、コイツの神経がよく分からなかった。
「Dホイールを出したってよ、どこにコレを走らせれば良いんだ?オイ」
俺のぼやきを聞き、ユーリははしゃぐのをやめ俺の元に駆け寄る。いちいち近づかなくても良いだろ。
「そんなの簡単だよ。それも想像すれば良いんだ。ほら」
次の瞬間、目の前にどこまでも続くコンクリートで舗装された道が広がり、申し訳適度に草木が生えてきた。
「……そんなのアリかよ」
「アリなんだよ。ここは僕達がいたどの世界でもない、僕達だけの世界なんだから」
そう言いユーリは俺の方をじっと見つめる。
「なんだよ、なんか用か」
俺の問いかけにユーリはわざわざ俺の耳元に口を寄せる。息が耳にかかってくすぐったい。
「……君のDホイールに乗せて」

そうして俺達は、俺達だけの国を探索するために果てしないコンクリートロードの旅に出ることになった。
なお途中でご立腹のユートに呼び戻される事になる短い旅である。

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