ジャンル:遊戯王ARC-V お題:せつない狼 制限時間:1時間 読者:149 人 文字数:1522字 お気に入り:0人

狼になんてなれない

※シンクロ次元過去話。ユーゴ視点。ユゴリン描写あり。

送り狼という言葉がある。
夜道だから送っていくよと甘い声をかけて、これは安心と二人で歩いていたら、隙をついて襲ってくる男の事だ。

その言葉をDホイールの資金稼ぎのためのバイト先の先輩から教えられた。先輩はニヤニヤしながらこう続ける。
「ユーゴの幼馴染の娘、結構可愛いよな~!リンちゃん、だっけ?ああいう勝ち気なの、俺すごく好みなんだ」
そしてオレの耳元で呟く。昼に食ったばかりの食べ物の臭いとタバコの臭さが混ざったキツイ悪臭だ。顔がベタベタに汚れる気がする。
「最近暗くなるのが早くなってきたし、俺も『送り狼』に久々になっちゃおうかな、なんて」
「そのくっせー口でリンに話しかけんなよ、ロリコン」
ニヤつく先輩の顔に一発拳をぶちこんだ。

「ユーゴ、またバイト先でケンカしたの?これで何度目よ!」
バイトからの帰り道、リンと二人で並んで歩く。日はすっかり落ち、街灯の少ないコモンズのエリアでは少し歩いただけでももう先が暗くて見えない。

「向こうがオレにケンカふっかけてきたんだよ!で、オレはそれに乗っただけだ」
「そんなに顔にアザ作っておいて」
「向こうのアザの数はオレの倍はある!」
「そこは偉そうにするんじゃないの!バカ!」

施設に帰ったらちゃんと手当するから、あんまりいじるんじゃないわよ、とリンは続ける。
それを聞いてオレは帰るのがすごく楽しみになった。リンの優しい温かい手で治療されると、痛みもイラつきもどっかいっちまう気がする。何でだろうな。

「リン、送り狼って知ってるかー?」
「……誰よ、アンタにそんな言葉教えたの」
「オレが今日ボコボコにした先輩」
それを聞いた瞬間、リンは呆れたと言わんばかりに深くため息をついた。
「……しょーもないわね、男って」

リンはオレから数歩離れて早足で歩く。
「そんなに急がなくたっていいだろ、あんまり離れんなよ」
「……ねえユーゴ」
「あん?」
「ユーゴも誰かの送り狼になりたいって思ったことあるの?」
「え、あーっと……うん、まあ」

リンはオレの方を向き微かに笑う。リンはこの頃こういう大人ぽい笑い方をするようになった気がする。
笑い方だけじゃない。リンはここ最近大人の女のように振る舞うことが多くなってきた。
その仕草一つ一つにいちいちドギマギするオレもいるし、自分だけが「子ども」のまま取り残されたような焦りと不安を感じるオレもいる。
なんだろう、さっきまでいい気分だったのに。すごくムカつく。

「……その送り狼になりたい相手がお前だったらどうするんだよ、リン」
自分でもぎょっとするほど怖い声が出てしまった。しまった。リンに怒られるだろうか、気持ち悪がられるだろうか……

リンはどっちの反応も見せなかった。ただ少し驚いたような顔をオレに見せ、
「ユーゴなら私の嫌がることはしないでしょ?大丈夫、狼にならないわよアンタは」
とガキの頃からよく見た明るい笑顔でオレに話しかけた。

リン、お前の言うとおりだよ、オレはお前の嫌がる顔や悲しそうな顔は見たくない。だからお前を襲う狼になんてなれない。なりたくない。
すぐにケンカを買うオレを誰かは狂犬と言ったが、惚れた女の前じゃオレはただの忠犬だ。
柄にもなくなんとなくセンチな気分になってくる。こんな気分になるのも夜が悪い、月が悪い!

「……でも、ユーゴがもし狼になったら受け入れるしかないのかな」
「え?」
「あー、独り言よ、気にしないで」
「何だよ、何いったのか教えろよリン!」

月がぼんやりと浮かぶ夜。少女と狼になりきれない少年は暗い夜道を賑やかに歩いていく。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:あいつと息子 制限時間:1時間 読者:97 人 文字数:1309字 お気に入り:0人
※ユーリ視点。統合後。僕は物心ついたときからずっとひとりだった。僕の周りにいたのはプロフェッサー、そしてデュエルの相手と言う名目の「生け贄」。なんであいつらには 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:春の誰か 制限時間:1時間 読者:175 人 文字数:1036字 お気に入り:0人
遊矢は皺一つない制服に腕を通す。まだピンと張りの強いそれは今日から中学生としての生活が始まる象徴だ。鏡で自分の姿を確認する。これからまだまだ背が高くなるのだから 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:犬の団欒 制限時間:15分 読者:33 人 文字数:419字 お気に入り:0人
※遊矢とアン。「アン、おいで」鼻を鳴らしつつ遊矢にすり寄るアン。遊矢は生え替わりの時期を終えたばかりの硬い毛並みを撫でる。ちょっとちくちくするな、そう苦笑しつつ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:アブノーマルなダンジョン 制限時間:30分 読者:49 人 文字数:2344字 お気に入り:0人
※隼←ユト、かつ隼→ユト。両片思い。最初は、あの人の笑顔を見れるだけで心が暖かいもので満たされた。名前を呼ばれ一言二言でも言葉を交わせれば、一日中幸せな気分で過 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:穢されたいたずら 制限時間:30分 読者:46 人 文字数:1051字 お気に入り:0人
穢されたのは隼→ユト。R15程度心地よい気だるさに包まれ、隼は意識を覚醒させていく。糊がきいていたはずの自室のベッドシーツはすっかり乱れ皺だらけになってしまった 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:同性愛の失敗 制限時間:15分 読者:55 人 文字数:445字 お気に入り:0人
※隼→ユトの失恋もの注意。「お前が好きだ」言ってしまった。とうとう告白してしまった。自分自身でもなぜこんなことを言ってしまったのかわからない。ただ、隣で歩く彼を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:1000の瞳 制限時間:15分 読者:31 人 文字数:488字 お気に入り:0人
※ユーリの過去。夢の話。人間達の瞳が向けられる。怒りに、悲しみに、戸惑いに満ちた数えきれないほどの感情の矛先をそのまま映し出して。やめて、お願いだからそんな目で 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:あいつの過ち 制限時間:30分 読者:73 人 文字数:924字 お気に入り:0人
過ちはいつからはじまったのだろうか。ひょっとしたら初めて出会った時からすでに一歩踏み外していたのかもしれない。――ありえない。同じ男、しかも妹が心寄せているとわ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:薄汚いパソコン 制限時間:15分 読者:52 人 文字数:443字 お気に入り:0人
※ユーゴとリン。過去話。ユーゴがDホイールの調整に使うパソコンは、彼とリンが一から作り上げたものだ。モニターやキーワードは闇市で購入、細かい部品は少しずつ貯めて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:破天荒な女祭り! 制限時間:30分 読者:52 人 文字数:907字 お気に入り:0人
※柚子と文化祭。統合後。ここは舞網第二中学校。多くの学生が勉学にスポーツに励み、同年齢の少年少女達と交流を深める特別な場所。しかし今日はいつもと少し…いや、かな 〈続きを読む〉

伊菜メイ子の即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:僕と宴 制限時間:1時間 読者:56 人 文字数:1857字 お気に入り:0人
※「泣くことも、笑うことも」の続編。ゆりゆと気味。統合後。殺伐。僕は楽しそうに笑っている人が好き。だって、楽しそうにしてるほどその後デュエルでぐちゃぐちゃに敗北 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:愛と欲望の笑顔 制限時間:30分 読者:72 人 文字数:1215字 お気に入り:0人
※ユートとユーリ。統合後。暗め。「君は笑うのが下手くそだねぇ、ユート」ふと、ユーリに顔を覗きこまれそのまま鼻で嗤われた。手をそっと頬に沿わせる。どこか強張ったよ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:どこかの朝日 制限時間:1時間 読者:65 人 文字数:1927字 お気に入り:0人
※ユーリとデニスと朝。過去話。カーテンが風に吹かれ静かに揺らめき、汚れのない朝の光が少年の顔を照らす。丁寧に作り込まれた人形のように整った顔、微かに揺れる睫毛は 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:大人の私 制限時間:1時間 読者:71 人 文字数:1502字 お気に入り:0人
※柚子と遊矢と思春期。大人になるってなんだろう。男子は外でサッカーをしている時、私達女子は黒いカーテンで閉めきられた視聴覚室にこっそり集合していた。そこでいつも 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:何かの深夜 制限時間:1時間 読者:71 人 文字数:1766字 お気に入り:0人
※リンと瑠璃と夜明け前の話。統合後「あー……もう、変な時間に起きちゃった」まだ夜も明けない時間、リンは前触れもなく目覚めた。手元の置いてある時計に手を伸ばし確認 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:反逆の夏 制限時間:1時間 読者:78 人 文字数:1690字 お気に入り:0人
※統合後の遊矢と夏とプールの話。「暑い……あつい、あ゛つ゛い゛」時は八月上旬、夏真っ盛りである。ここ最近の異常気象のせいもあり、常にコンクリートの道には陽炎が上 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:腐った広告 制限時間:1時間 読者:144 人 文字数:1594字 お気に入り:0人
※シンクロ次元。リン視点。暗い。ゴミがそこらに散らかっている掃き溜めの街、そしてゴミと同じくらいの存在価値しか与えられなかった私達に住むことを許された故郷、コモ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:君と姉妹 制限時間:1時間 読者:121 人 文字数:1609字 お気に入り:0人
※統合しなかったIF。同じ顔がこの世に二人、いつ見ても不思議な光景だ。もっとも自分も例外ではないが、と俺は瑠璃とシンクロ次元からこっちに遊びに来た少女…リンを見 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:疲れた大雪 制限時間:1時間 読者:135 人 文字数:1421字 お気に入り:0人
※ユーゴとリンと雪かきの話「ユーゴ、いつまでも寝てないで起きなさい!」「なんだよぉリン……まだこんな時間じゃねぇか」そう言い寝ぼけ眼でユーゴは時計を見る。日付が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:苦し紛れの天井 制限時間:1時間 読者:177 人 文字数:1496字 お気に入り:0人
※エクシーズ次元の平和な話。ユト瑠璃。ユートは今、人生で最大のピンチに陥っていた。瑠璃と二人きりで会っていたことが親友であり、彼女の兄の隼にバレてしまったからだ 〈続きを読む〉