ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:名前も知らない嘘 必須要素:SF 制限時間:1時間 読者:24 人 文字数:2009字 お気に入り:0人
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とても話せない夢の話

小さい頃の記憶はいつだって曖昧だ。思いそうとすると真っ黒に塗りつぶされた塗り絵の紙の端っこだけが少しだけ、わかる程度の記憶しか蘇ってくれない。
そもそもその「記憶」が私の今生の記憶であるかすらも定かではない。なぜなら今を生きる私とはかけ離れているし記憶が写す時代背景がはっきりと自分のことなのだという自覚すら沸かない。どこかのパラレルワールドかもしれない。もしかするとありもしない私のデタラメな幻想かもしれないのだ。
なんだって信じられるものか。自分が謎の仮面を被りその後、吸血鬼になり今生の親友と血で血を洗うような闘争を何百何巡と繰り広げることになるなどと。


「おーい!DIOー?」
遠くから間の抜けた声が聞こえる。遠く、と言ってもここは隔離された完全防音の一室。書類やらデータやらの記憶媒体で埋め尽くされたすっかり狭くなった室内であることには変わりがない。
「DIOっ、DIO、起きているかい?」
しつこく犬のように私を呼ぶこの声の主_ジョナサンは私の親友で同じ研究グループの1人だ。
「すまない、少し仮眠を取っていた」
「椅子に座ったままなんて大して休めやしないよ」
せっかく隣に仮眠室だって用意されているのに。と私の仮眠を取る様に不満を漏らす。
「いいじゃあないかどこで寝ようが。現にそのおかげで眠気は回復したしな」
うぅん、と椅子に座った体勢で伸びをすれば首の後ろがこ気味よく鳴る。


はるか昔、人間は自分たちの文明を宇宙へ捨てた。何故そのようなことをしたのか真意は不明だが捨てたという記録は残っている。
凡ゆる技術、凡ゆる創造物、凡ゆる生命をもまるで地球に残る生物をノアの箱舟の如く断捨離しその数を減らした。
何がそこまでして当時の彼らをかきたてたのかは知らないがそれはもう今間の常識が覆るようなことが起きたもしくはそうならざるおえない事態が起きたのだろうというのは予測出来る。
時を経て、宇宙へ羽ばたく術を身につけた人類は過去の遺産を発見し集め始めた。
度々捨てきれなかったのだろう遺産が地球の重力に引かれ隕石化して落ちてくることはあった。だからこそこの宇宙開発又の名を天球発掘調査は地球の存続と歴史を解明するためにも大きな役割を担っている。


「で、お前は私の仮眠を邪魔しにきただけか?」
「ううん、一緒にお昼食べようと思って」
仕事の話かと思えばそんな呑気なことを頼みにきたのか。
「ほら DIOって気がつくと仕事ばかりでご飯食べないことあるじゃあないか」
「そりゃあ気遣いが染み入るな」
仕事の虫はどちらなのだか。いつも忘れるのはジョナサンの方だ。私は没頭していても時間管理だけは忘れたことはない。取るべきタイミングで食事をとるし今だって仮眠が必要と感じたからその通りにしていた。行き当たりばったりも甚だしいのはコイツの方だ。
「早く行こう!食堂が閉まってしまう」
「分かったよ」
何かと関わってくるのは昔からだが一言一句この男の言動が気に入らない時さえある。であるのに何故私と彼は親友になれたのか。度々思うが実に「奇妙な縁」だ。
何故ならジョナサンと知り合ってから自分の「あの記憶の断片のようなもの」をよく見るようになったのだから。
だがこのDIOが親友と命の奪い合いなどと___考えただけでも不毛なことのように感じる。


僕の親友_DIOはとっても仕事熱心で探究家だ。そのことを僕はとても誇らしく思っているし実力でも実績でも遠く及ばない僕は早く彼の隣に並びたいとすら思っている。
食堂に着くとDIOはサンドイッチを。僕は迷った末にオムライスを頼んだ。
どれにしようか悩む僕に何だかんだ付き合ってくれる彼はなんだかんだで優しいんだなと僕は知っている。
だからそんな彼が僕が日夜見ている「恐ろしい夢の悪魔」なんてのは信じたくない。
これだけ仲良くしている僕ら(DIOもそう思ってくれているといいな)でも夢の中では人を殺め、なんの躊躇いもなく拳を交え合っている。初めて見た時、僕は怖くてDIOの仕事部屋に駆け込んだ。その時も仮眠の邪魔をして閉まったけれど、DIOは僕の知っているいつも通りのDIOだった。
(けど夢にしては鮮明すぎるんだよね...)
「ジョナサン?」
「っ?、なんだいDIO」
「......今私の話を聞いていなかっただろ」
「ご、ごめん。なんだっけ」
「いい。お前のちっぽけな脳みそじゃあすぐに忘れそうだ、ミーティングの後に話してやる」
「ありがとう、その方が助かるよ」
「......。」
僕の言葉の後に面白くなさそうな顔になる。
「つくづくお前は変な奴だな」
「えっ」
「いいやこっちの話だ」
そう言うと彼は僕からそっぽを向いて残りのサンドイッチを食べ始めた。
口は酷いが彼は人を見る力がある。僕はそう思っているし夢のような酷い存在であるはずがない!

そう信じたい。

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