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【服飾パロ】記憶逆転のルナ+信

「何故あやつに執着する」

信長は特盛の豚骨ラーメンを今まさにすすろうとしながらカルナに問いかけた。カルナはというと、こちらも特盛の、味噌バターラーメンの麺をすすれずに食べているところだった。

「お前は自分の欲しいものを我慢できるのか」
「ワシは欲しいものは手に入れてきた過去があるからのう。いや、それよりお主、とんだ騒ぎになっとるぞ」

信長はスマートフォンを取り出し、カルナの目の前に差し出してやる。そこにはカルナとアルジュナが中庭で鬼ごっこをしている場面が映っていた。

「逃げるあいつが悪い」
「ええー…さしもの魔王もドン引き。あいつ、一般人じゃろ」
「違う」

カルナは山盛りになったもやしをとっとと片付けながら追加トッピングで倍になったチャーシューの山を突き崩す。

「あれが一般人であるはずがない」

信長は音を立てて豪快に麺をすする。空気をまとって口の中に飛び込んでくる麺は、濃厚な旨味と共に舌を占拠し、奥から奥から唾液が溢れてくる。咀嚼した麺と旨味とを一気に飲み込み次の軍勢を箸でつまむ。
信長は、カルナと同じだ。サーヴァントとしての記憶を持ち、それでいて、この世では人間として生を受けた。サーヴァントであった織田信長は確かに世界を救う一端を担ったが、最終的にどこへ行きついたのか、それは分からないままだ。分かってしまうのも、それは面白みがないかもしれない、と信長は思う。
信長の周囲に居る人間たちも、それぞれ記憶を持っている。沖田、アンデルセン、ラーマ…それらはいたって「普通の人間」として生きてきたし、きっとこれからもそうなるだろう。何故なら自分たちは記憶があったとしても、それを武器にすることはない。できない。魔力もなければ使い魔もなく、むしろ大気に満ちている筈のマナさえ感じられない。まったくもって並の魔術師以下となってしまった自分たちは、ならばこの泡沫の如く夢心地を生きていこうと誓ったのだ。

だが、この目の前の元英雄はどうだ。
記憶がある。それはいい。だが、記憶を持たずして生きるアルジュナを見つけるや否や、近付いて行って「オレを思い出せ」とにじり寄り、そのままキスまでしてみせた。
確かに、カルナという英雄においてアルジュナという存在は切っても切れないものだ。だからといって、何世もわたってそこまで固執できるものだろうか。自分を覚えていないなら思い出させる、自分以外を一位にしているのであればそれを蹴落とす、自分を受け入れられないなら付きまとってでも。そのカルナの行動力に、信長がこっそりと舌をまいているのは、ここでは黙っておこう。

「一般人であることを、あ奴が望んだのやも」
「ならばそれごと切り捨てる」
「熱烈じゃのう」

まるでそれは恋か愛か。恋であるのならば、清姫に近いのだろうか。あれも愛憎ではあるが、始まりは愛だ。しかしカルナの方は先に敵意、すなわち憎がきている。ひとくくりにしてしまうには、あまりにベクトルが違いすぎる。

「ストーカー扱いされたら、教授共が押さえつけてくるじゃろうなぁ」
「既にそうと呼ばれている」
「マジか」
「まじだ」
「何がお主をそこまで掻き立てるのだ」

信長のシンプルな疑問を、カルナは少しばかりの微笑で答える。そんなものは、幾世、幾夜の星を越え、輪廻を越えたとしても、たった一つの事実でしかない。

「アルジュナだからだ」

胸やけしそうだの、と言った信長の声は、思ったよりも弾んでいた。

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