ジャンル:DD! お題:10の水たまり 制限時間:30分 読者:122 人 文字数:1241字 お気に入り:0人

雨と傘とみずたまり ※未完

 昨夜遅くから降り始めた雨が今日の昼にようやく止んだ。とはいえ、空は分厚い雲に覆われたままで、ふたつの太陽からの光は弱く遠い。いや、ひとつはそもそも太陽ですらなかったか。なかなか乾く事のない地面には、本日10個目の水溜りが曇天を映した。
「休みだってのに微妙な天気だよなあ」
「そうだな。おかげでまた洗濯物が溜まる」
「溜めずにこまめに洗えば良いんじゃねえの……?」
 特にこれといった理由もなく非番だからと遊びに来た相棒は、冷蔵庫の中身が数本の缶ビールのみという現実を知った途端に「買い物に行こう!」と言い出した。出前でも構わないし、なんならデリックの店でも良いのだが、彼は何か考えがあるようだ。
「相変わらず何も無いよなぁ、ダグん家って」
「なら来なきゃ良いだろ」
「んー……でもさ、なんか落ち着くんだよな。癒されるっていうかさ」
「癒し、ね」
 一人暮らしの男の家だ。これといった趣味もなく、壁に貼られているのはポスター類ではなく捜査資料で、観葉植物のひとつも置いていない。冷蔵庫を開ければ缶ビール数本があるだけで、時折食べかけのあんパンが入ったり、ブラックコーヒーが入る程度だ。お世辞にも癒しの空間とは言えないだろう。
「あの部屋って普段ダグが過ごしてるじゃん。だからさ、ダグの気配がするっていうか、ダグのにおいに包まれてるみたいな気分になるんだよなー。あ、だから落ち着くのかも! 多分」
 スーパーの店内を歩きながら、何てことない顔で彼が告げる。表情や口調から他意がない事は分かり切っているのものの、捉えようによっては随分と熱烈な告白だ。すれ違いざまに内容が聞こえたらしい通りすがりの主婦が顔を赤らめているくらいである。
「あとさ、俺そんなに体温高い方じゃないから。ダグが近くに居ると温かいし、落ち着くんだよ」
「へえ」
 ジャガイモと玉ねぎの入った買い物かごに、更にキャベツと人参を追加しつつ会話は進む。「肉も食おうぜ」との言葉も交えながら。
「ブロックベーコンとウィンナーどっちがいい?」
「そうだな……」
 買い物の合間に、どうやらまた雨が降り出したようだ。視界の外れで、窓を水滴が叩く。慌てたように店内へと入ったカップルが、取り出したタオルでお互いの髪を拭いていた。
「どっちでもいいよ。あと、傘買っていこう」
「え、降ってきた?」
「ああ。丁度いま」
 財布だけ持って出てきたために傘は無い。だが大した距離も無いので、小雨になり始めたこの空模様なら走って帰る事も可能だろう。それでも。自分の体温とにおいにどうやら魅力を感じているらしい彼が、一本の傘の下で至近距離のまま歩いたなら。一体どんな反応を返してくれるのか楽しみで仕方ないのだ。
「雨も悪くないな?」
「なんで? 洗濯物干せないのに?」
「洗濯よりも楽しみな事があるからな」
「ふうん?」
 首を傾げる相棒から、食材の詰まった籠を取り上げてレジに置く。ついでとばかりに傘も一本。彼の視線が外へ向いている隙に

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