ジャンル:カルジュナ お題:団地妻のオチ 制限時間:15分 読者:64 人 文字数:1370字 お気に入り:0人

【カルジュナ♀】死亡フラグが折れました!

さて、カルナは今日も今日とてアルジュナと共に登校する。アルジュナとカルナは文系理系クラスで正反対に位置しているとはいえ、同様の特別進学コースに在籍しており、なおかつ幼馴染として十数年を共に過ごした仲である。アルジュナが例えカルナをただの幼馴染としてしか認識していなくとも、年頃の娘を独りで登下校させるよりも良いだろう、とアルジュナの両親も頷いていた。もちろん、カルナがそこにつけ込んでいることもお忘れなく。
カルナがアルジュナに恋心を抱いたのはいつだったか。ヒマワリ畑で眩しそうに笑った時だったか、それとも色の薄く細い自分をからかう同年代の男子たちに食って掛かっていた時だったか、それともそいつらを捕まえてとっちめたときのアルジュナの笑みだったのか。カルナはもう覚えてはいない。ただ、胸に育ったその花を潰そうなどとは、これっぽっちも思っていなかった。
そして出来ることならば、アルジュナの笑みを、視線を、独り占めしたいと思う。
カルナはそのために、アルジュナの彼氏になりたかった。
これまでアルジュナとて浮いた噂が無かったわけではない。そのたびにカルナは西へ東へ奔走した。
西で似合いの部長があれば、おもむき弓で勝負をし。
東で近惣する男があれば、勉学の勇知にて叩きのめし。
そうしてカルナはアルジュナに近付く輩を切っては捨て、斬っては捨て。どちらかというと、殺虫剤を草むらに撒いているような気分だった。

しかしその甲斐あってか、アルジュナは未だ男を知らぬ生娘である。これはカルナの一種の信仰ではあるのだが、これがまったくもって正しいことだけはまさにここで明言しておこう。

「しかしカルナ、忘れ物はしていないだろうな」
「無論だ」

今日は珍しく合同授業があるため、アルジュナからカルナに話しかけてきた。カルナときたら、必要物品を忘れたり壊したり落としたりすることで有名なのだ。その度にアルジュナに借りに行っているところから、わざとなのでは?という疑問も持ちあがったくらいなのだが、あまりにカルナがその度にがっくりと肩を落としているため、皆、「あぁ、わざとではないのだな」と納得してしまった。
合同授業は三・四時限目。調理実習の授業である。今日は簡単にと、鳥肉の竜田揚げ。そこに汁物と副菜は好きなものを各実行班で蹴ってしてレポートにするものだ。勿論、栄養素が考えられているかなど、授業の内容をふまえていればいるほど点数も上がる。
アルジュナは授業が始まってから、野菜の皮むきをもくもくとしたり、友人たちに味付けの指導をしていた。
その指先が自身の唇によせられることを夢想して、カルナははっとした。これぞ、日本出身の友人たちが行っていた、「俺のために毎日味噌汁を作って欲しい」と告げる場面ではなかろうか。

カルナは一歩踏み出す。隣の班であったアルジュナが顔を上げ、眼を見開き――カルナの背後を見た。

「ギャーッッ!火柱がーーっ!」
「大変だカルナのエプロンに燃え移ったぞーー!」

日本式の味噌汁戦法はスプリンクラーの水滴と共に流れ、阿鼻叫喚のクラスに吸い込まれていく。
解せぬ、としかめっ面をしたカルナの頭上に、一層大きな水滴が落ちてきたので、まるで、からかわれているような気持になりながら、カルナはひとつ、くしゃみをしたのだった。

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