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アストラハンの冬 ※未完



出ていけ。死んだ方がマシだ。この家から消えろ。

体も心も痛めつけられて、私と母は帰る場所を失くした。母は必死に入れてくれと訴えていた。私は、酒に取り憑かれた男とそれを転がす女の棲む家からは少しでも離れたかった。体温の確保が優先だった。

世界で1番広い国。その国土の殆どは寒さと戦いながら生活する場所。暖炉に当たるどころか厚着もできない母と私は、身を寄せあって建物の影で生活を始めた。浮浪者の支援も充実していなかった頃。母が捕まえた客の家で夜をやり過ごし、その客に抱かれて稼いだ金で飢えを凌いだ。

その日、一緒に歩いていた母が黒ずんだ雪の上に倒れ込んだ。額に手を当てると、冷え切った手が火傷しそうな程熱を持っていた。

数日も経たないうちに母は終わらない眠りについた。土のように冷え切った手は、最期まで私の手を握りしめていた。瞼を閉じる直前。ソーニャ、と。母は私の名前を呼んだ。

それから私は、組織に拾われた。心まで冷たくなってしまった私には、人の血から作られた食事は温かすぎた。

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