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ダグキリ ※未完

 普段は地道な捜査が多いこの特殊部署も、たまには大きい案件もある。例えばそれが以前あったような市長候補の人質誘拐事件だったり、エスペランサのアジト襲撃だったり、軍の長官に攫われた仲間の救出だったり。頻度は多くないものの、ゼロではないのだ。
 そんな大きいヤマで、最初に負傷した相棒が傷の手当を行うため前線を離脱していたタイミングだった。銃撃戦で掻き消されそうな程の小さな物音を捉えた。運が良いのか悪いのか、その場には自分しかおらず、けれど残党か人質もしくは巻き込まれた民間人が居るのなら即座に対応が必要だと判断しドアを開けたのだ。外の風と太陽光が部屋に入り込んだ瞬間に溢れた、噎せ返るような血と火薬のにおいは多分忘れる事もできない。
「んだよ、これ……おい! 救急車3台! 至急応援寄越せ!」
 絶句する自分の後ろから、ディーナの声が響く。動かなければならないのに、その光景はいつかの相棒を思い起こさせるのだ。
「中央に大人1名、子供2名。多分親子だ。全身に複数の銃創あり。脈拍、反応なし。体温も低いな。どれが誰のか分かんねえが、この出血量だ。全員死んでる可能性が高い。判断はそっちでしてくれ。誘導任せたぜ、ソフィー」
 こういう時、ディーナは状況判断と動きが早い。まだ犯人が暴れている状況下で、戦闘要員である自分達が抜ければ不利になる。だからこそ、助かる見込みのないものは他へ引き継ぎ自分は前線に戻る。それはどこまでも正しいのだ。
「オイ、ダグ」
「ん、ああ……分かってる。戻るよ」
「腑抜けたテメエが来ても足手纏いなんだよ。カリアゲ呼んで来い」
「分かった」
 被害者のもので赤く濡れたネイルを眼前に突き付けてから、ディーナは銃を抱えて走り去った。キリルを呼ぶにしても、彼もまた負傷している。軽く手当てすれば問題無いと彼は笑ったが、前線に戻れるものだろうか。いやこれは、自分がこれ以上彼を危険に晒したくないだけのエゴだ。頭を軽く振り、救護車から出てきた彼の元へ走った。
「ダグ?」
「動けるか?」
「ああ、問題ねえよ。それより、状況は?」
「いまディーナが残りを追ってる。ユリとマックスは裏から回ってるな。ケイは怪我人の救助に行った」
「そっか。で?」
「なに」
「ダグはどうしたんだ」
「……何が」
「何だろうな。泣きそうな顔してるから」
 小首を傾げる彼の髪がさらりと揺れ、隙間から白いガーゼが覗く。肌もコートも白いが、それとはまた別種の色だ。よく動くその口元のさらに下、首元へ手袋を外した指先を伸ばして触れた。
「……生きてるな」
「生きてるよ」
「うん。行こうか」
「は? え、いや、なに……?」
 手袋を元通りにはめ、先を急ぐ。後ろからキリルの声が響くなか、銃を抱えたディーナとケイが戻って来た。
「おっせえよ」
「状況は?」
「全員逮捕。もうやる事ねえから帰っていいら

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