あとちょっとでそれっぽくなったのに~! ※未完


 今日も今日とて残業だ。同僚から押しつけられた仕事、それに追い詰められたせいで終わっていない自分の仕事と、ハゲ課長の嫌味を聞く仕事、営業先に頭を下げる仕事。もう嫌だ、本当に疲れた。そう口に出してもこの目の前の山は減らないのだから、だったら口よりも手を動かすほうが幾分かマシというものだ。観音坂は重い頭を振ってブルーライトで痛む瞳を何度か瞬きさせた。状況は変わらないが、気分は少し切り替わる。なるほど、今日も徹夜のようだ。

「観音坂さん、仕事多くないですか」
「…え」

 徹夜を覚悟したその瞬間、右隣から声が聞こえてきた。少し間を空けてから顔を向けると、一人の女性社員だった。厚手のコートを羽織り、鞄を持って、見るからに退社をキメそうな雰囲気だ。明らかに帰り支度が済んでいる彼女は無表情でいるようにも、怒っているようにも見えた。

「一番上の書類、別の社員が勝手に置いてったやつですよ」
「えっ」
「返しても問題ないと思います」
「えっ…いや…あの」

 突然話しかけられて、どもる。彼女の顔は見たことないわけではないがよく話すというわけでもない。しかしお礼を言う時にふっと微笑む顔とか、そういうのはなんとなく知っている。とても綺麗だからつい目に入ってしまうのだ。つまるところ、ほぼ初対面だ。だから観音坂はコミュ症特有の単音を幾度か繰り返し、ようやく、

「あ、ありがとう…ゴザイマス。でも…俺も…慣れてるから…大丈夫…です」

 とだけ告げた。彼女は観音坂を目を細めて見つめた。
 そして「はい」とチョコレートを一枚渡した。緑色のパッケージで、ビターだった。

「あ、え?俺に…?いいの?」
「頑張ってください。でも、たまには断ったほうがいいですよ」

 彼女はやがて部屋を出て行った。優しい顔とか、贈り物とか、そういことをされると。
 もしかして、実は俺に気があるんじゃないかとか。
 そんな欲望と思い上がりに汚れた衝撃に、いつも振り回されてしまうのだ。

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