ジャンル:DD! お題:小説の扉 制限時間:30分 読者:46 人 文字数:1228字 お気に入り:0人

ある日のデリミラバー ※未完

「あれ、これ誰の本だ?」
「んー? ああ、それ俺のです。学校で友達に借りたやつなんだけど、そこ置きっぱなしだったか」
「そっかぁ。これすごい良い話なんだよなぁ……」
「そうなんですか? おすすめだからって言われて借りたばっかだから内容知らないんだよな」
「これさぁ、主人公が犬なんだよ。まだ子犬なんだけど、飼い主兼友達な少年が遠くに行っちまってさ……ふたりともまだ小さいのに……グスッ……でさ、友達がどうしていなくなったのかとかも旅の途中で知っていくんだけど……うぅっ……それがまた泣けるんだよ」
「それは見れば分かります」
 小説の表紙を眺めながらあらすじを説明する店長が思い出し泣きするレベルだ。感動系のストーリーであることは想像できる。
「──っていう感じの話なんだ。あ、確か映画にもなってたから気に入ったら観てみたら良いんじゃないか」
「うん、それより店長は顔拭いてくるか洗ってきたら良いんじゃないですか?」
「そうだなあ……ちょっと洗ってくる」
 涙やら何やらでぐしゃぐしゃな顔の店長はそのままキッチンの奥へと姿を消した。友人はそこまで話していなかったが、そんなにも感動するストーリーなのだろうか。
「あ、ガス君。おはよう」
「おはようございます、ミラさん」
「ガス君ひとり? デリックさんは?」
「店長はさっき号泣したからいま顔洗ってますね」
「へ? なんで?」
 遅れて出勤してきたミラを出迎えつつ、ことの始まりを話すとミラは納得した様子だった。ここでアルバイトを始めてから然程日数の経っていない俺にとってはそこまででもないが、ミラの表情から察するにこういったことは日常的にあるのだろう。
「デリックさんは、こういう感動ものに弱いからね。一緒に映画観てても、デリックさんがすごく泣くんだよ。それがちょっと面白くて笑っちゃう時もあるくらい」
「あ、なんかそれ想像できるな。ひとりで号泣してそう」
「多分ガス君の想像通りだよ。今度一緒に映画観る?」
「映画鑑賞ってよりは店長鑑賞になりそうですね」
「ふふ、それも楽しそうだね」
 2人で笑っていると前髪が少し濡れた店長が戻って来た。まだ少し目元の赤い彼を見てから顔を見合わせて再び笑う。
「ねえ、デリックさん。今度3人で映画観ようよ」
「次の休みなら俺も空いてますし!」
「え、え? 別に良いけど、なんで突然?」
「あ、俺これ観たい。この本が原作になってる映画」
「良いね。確かビデオならキリルが持ってたから借りておくね。場所はデリックさんの家で良いかな?」
「ああ、うん。俺は構わないけど……」
 首を傾げる店長から一滴水が落ちる。そんな店長に気付いたミラがおしぼりで軽く前髪を拭うと、彼は分かり易く表情を緩めた。ナチュラルにいちゃつく夫婦だとつくづく思う。
「あ、客来た」
「本当だ、いらっしゃいませ」
 彼らのじゃれあいタイムを邪魔した自覚のない家族連れは、楽し気に喋りながら席に着いた。

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