ジャンル:艦隊これくしょん お題:当たり前の村 制限時間:4時間 読者:47 人 文字数:3751字 お気に入り:0人

北上と変態

北上は任務を終えて帰還し、自室へと戻った。靴を脱いで部屋にあがると、手も洗わないまま、タンスの前に行き、その一番下の、わずかに開いたままになっている引き出しを開けた。北上は、そこに自分のパンティが3枚しかないことを確認した。今朝、部屋を出る前には確かに5枚あった。間違いなく数が減っている。

「やはり今日も来たか。」

北上はひとり呟いて、隠していた監視カメラに手をかけた。

北上の部屋はシンプルで、机とベッド、タンスとテレビが置かれているだけで、小物や飾りなどの余分なものは一切ない。だからといって、北上がきれい好きというわけではない。飲みかけのペットボトルや、食べかけの菓子類の袋、脱ぎっぱなしの衣類などの生活の残骸は、部屋に散乱していることがしばしばだった。

北上が部屋の異変に初めて気付いたのは、今から一週間ほど前だ。彼女は任務を終えて部屋に戻り、ベッドに身を投げた。そして横になったまま無造作に部屋を眺めたとき、かすかな違和を感じた。その正体ははっきりとはわからなかったが、自分以外の何者かが部屋を通過した残り香のようなものを感じとった。北上はすぐさま起き上がって、部屋中を一通り確認した。盗聴器やカメラはなさそうだ。私物も目立って減っているものはないが、食品や衣類の数を常に正確に把握していたわけではないので、ひょっとしたら何か盗まれているかもしれない。北上は疑念をぬぐえずにいた。

その次の日も北上は任務だった。北上は部屋を出る前に、部屋の状態をチェックした。さらに、倒れやすい空のペットボトルを数本、床上に無造作に並べ、数と位置を記憶した。

深夜、任務を終えた北上が部屋に戻ると、床に立てておいたペットボトルが数本、床に倒れていた。立ったままのそれも、外出前と比べて、場所や向きがずれていた。3㎝ほどの幅を開けたままにしておいたタンスの引き出しは、完全に閉められていた。タンスの中を調べたところ、ブラとパンティが1セット足らなかった。さらに、食べ終えたカップ麺のカップに立てかけてあった割りばしが消えていた。

北上は留守中に何者かが部屋に侵入していることを確信した。敵の可能性がなくもないが、敵以上に疑わしき人物が味方の内にいた。

その次の日、北上は任務がなく一日暇だった。北上はある人物のところへ向かった。

「大井っち」

食堂で一人そばを食べていた大井は、声のした方を振り向いた。声をかけたのは北上だった。大井から北上に迫るのがいつものことで、北上から大井に声をかけることは滅多になかった。声をかけられた大井はひどく仰天した様子で、食べていたそばを喉に詰まらせて、せき込んでいた。

「大井っち、ちょっと相談あんだけど、今いいかい?」

大井はそれを聞くや、顔を猿のように赤くした。興奮しているのか、せき込みながら潤んだ目で北上を見上げ、口と鼻からそばをまき散らしながら、絶叫した。

「相談!? 北上さんが!? あたしに!? んほおおおおおおおおおおおおお!」

見開かれた血走った眼、不気味にひきつった笑みをたたえる口、異常に拡大した鼻孔、顔中からほとばしる体液などなど、乙女にあるまじき顔面の異様な変形によって、大井の顔は、汚らしく乱れて見るに堪えないほどだった。

「大井っち、落ち着いて」

北上がなだめると、大井はすぐに我に返り、タオルで顔面をふき取ると、先ほどの醜態はどこへやら、すっかり澄ました表情になっていた。

「北上さん、あなたの方から来てくれるなんて、本当にうれしいわ。 相談ってなぁに? どうしたの?」

大井の奇行には、既にみんな慣れっこだった。この一連の有様もありふれたもので、まわりで食事をしていた艦娘達は、気にも留めていなかった。

「あのね、大井っち、最近私の下着がなくなるんだ」

北上がそう言うと、大井は突然、澄ました顔をひきつらせた。それまで北上を凝視していた目をそらし、軽くうつむいた。

「し、信じられないわ! そんなことする人がいるなんて! か、か、勘違いじゃないかしら!」

大井の声は震え、眼は泳いでいた。彼女は明らかに動揺していた。

「部屋に立てておいたペットボトルの位置が変わってたんだ。下着が入ってた引き出しも、少し開けっぱにしておいたのに、完全に閉まってた。これ、誰かが部屋にいたってことだよね」

北上が言葉を続けると、大井の顔からは血の気が引き、態度はしどろもどろになっていった。大井は分かりやすすぎる。そもそも、もし犯人が大井でないならば、北上の下着が何者かに盗まれたと知った時点で、大井は激しく怒り狂うに違いない。北上は大井が犯人だと確信した。とはいえ確実な証拠はないから、今大井を追及したところで、逃げられるだけかもしれない。それに、この会話が牽制になるとも思えたので、北上はこれ以上は触れないことにした。

「じゃあね、大井っち。もし続くなら提督に相談してみることにするよ」

北上はそれだけ言うと、さっと席を立って、早々に食堂を出た。大井は最後まで挙動不審だった。

そして次の任務の日、北上が部屋に戻ると、また下着の数が減っていた。ふと、犯人が大井でない可能性が北上の頭をよぎった。しかし、この日は空のペットボトルがほぼ元の状態のままであったことと、完全に閉めておいた下着入りのタンスの引き出しがわずかに開いていたことから、やはり犯人は大井と確信した。

(あのアマ・・・またやりやがった・・・)

大井を止めるには確実な証拠を本人に突きつけるしかないだろうと思い、北上はさっそく小型カメラを買ってきて、室内に設置した。

そして次の任務の日、いつもより早く仕事を終えて、北上は部屋に戻った。わずかに開かれたままの引き出しを開けて下着を確認すると、5枚あったパンティが3枚に減っていた。ペットボトルは全て元の状態のままだった。

「やはり今日も来たか。」

北上はすぐに監視カメラを取り、再生した。画面には、はじめは誰もいない退屈な部屋の映像が続いたが、やがて、カギを開ける音に続いて、人影が映った。大井だった。大井は部屋の床に落ちているペットボトルを恐る恐るよけながらタンスへと向かい、引き出しを開けた。そして、北上の下着を取り出して顔に擦り付けた。大井の行動は想定内だったので、このひどい光景を見ても北上は動じなかった。画面の中の大井は、今度は北上の下着を丸ごと口に含み、ベッドに飛び乗った。大井はそのままスカートと下着を脱ぎ捨てて下半身を全開にした後、立ったまま北上の枕を股に挟み、腰を激しく前後に降り、股間を枕にこすりつけ始めた。

「んほおおおお! 北上さん! 北上さんんんんんん!」

行為をひとしきり終えた後、大井は、今度は仰向けになって、口から出した唾液まみれの北上の下着を股間にこすりつけ、喘ぎだした。大井はこの時、自分の妄想を口にしていたが、あまりにけがらわしいので、ここでは記述を省く。

北上は一連の流れを冷徹に眺めていた。大井への冷酷な殺意がふつふつと湧いてくる。提督に報告しないで拷問してやろうかと思った。途中で見るのをやめたくなったが。一応最後まで見ることにした。

画面の中の大井は、行為にのめり込んで、絶頂を迎えようとしていた。しかし、突然何事かに気付いたらしく、行為を中断して、焦り始めた。大井は慌ててベッドの下に潜り込んだ。そのすぐ後に、部屋の中に誰かが入ってきた。北上だった。画面の北上はタンスの下着を確認した後、カメラに向かって手を伸ばし、そこで映像は終わった。

ズル・・・

何かが床を這う音がした。北上が振り向くと、ベッドの下から腕が生えていた。

ズル・・・ズルズル・・・

腕に続いて出てきたのは大井の頭、胴体、足。大井は身体を引きずりながらベッドの下から現れた。大井の下半身は丸裸だった。上着は着ていたが、先ほど乱れに乱れたためか、しわくちゃな上に、所々やぶれていた。上着の右側はまくり上がっていて、大きめの右の乳房が露出していた。唾液で湿りきった北上のパンティを、顔面に正面からかぶっていた。パンティの、足を通すはずの両穴から覗かれた眼は、大きく見開かれひどく血走っていたが、涙が溢れていた。彼女の全身は、逃げ場を失った絶望と、自身の痴態を全て見られた羞恥と、変態的な興奮と・・・とにかく言葉にしきれない様々な感情で入り乱れていた。

北上と大井は、向かい合ったまま立ち尽くしていた。お互いそうする他なかった。この地獄のような静止がいつまで続くのかと思われたその時、北上は大井の変化に気付いた。大井の全身から殺気が漂い始めたのだ。それは証拠隠滅のために北上を殺そうという類のものではなかった。大井の感情は乱れに乱れていた。しかし、大井は、その混在するあらゆる感情の全てのベクトルを、「北上を犯す」という一点に向けたのだ。それを感じとった北上に怖気が走った。今すぐ逃げなければ、と北上は思った。しかし部屋の出口は大井の後方であった。大井は静かに口を開いた。

「北上さん・・・さあ、ひとつになりましょう・・・」











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