ジャンル:東方Project お題:せつない衝撃 制限時間:30分 読者:39 人 文字数:862字 お気に入り:0人

家路 ※未完

 木っ端妖怪には、なにもない。精々、代わり映えのない交友が、日々を滑らすのみである。
 赤蛮奇は笑顔で歩く。穏やかな笑顔、落ち着いた歩調だ。柳のなかを歩けば、じきに、黴た母屋に辿り着く。今日も、相関図の細い糸を、縫うようにして生きていた。遠い地平に、陽は嚥まれ、山の端に、星が滲んだ。誰もがきっと、家路の最中だった。
 赤蛮奇は、里のことを考えた。脳裏では誰もが、里の家々を這うように歩いた。野菜や豆腐やらが入った、手提げを想った。隣歩く母の手に、腕を伸ばす幼子を想った。関係なさそうにあくびをする、犬を想った。子どもたちの、冒険の終わりを想った。様々な人間の、帰途を想った。
 面映いような笑みだった。友人たちと別れた際の、焼け付くような夕景が、嘘のような紺色だった。
 赤蛮奇には自覚があった。あってもなくても変わらない、呪いのような自覚があった。それは、ただそこにあるだけの代物で、大事にしているわけでも、忌々しいわけでもない、路傍の花と、さして変わったところはない。その分歩けば、いろんなものが目についた。
 道の脇には、いつもどおりの地蔵があった。枯れ木のように干からびた、故知らぬ傘があった。
 土には、深く埋まった変哲のない小石があった。濡れて乾いて動かない、蟻の捨てた巣があった。
 柳の枝には、汚れてくすんだ、布切れがあった。用途のわからぬ、ゴム毬があった。
 家路は、なんとはなしに、それら見つける時間だった。湧き上がる、得も言われぬ情動と、連れ添って歩く時間だった。
 失くなってしまったのは小石だった。土に埋まり、小さく表面をのぞかせていた、変哲のない小石。見落としてしまったのだろうか。されど、赤蛮奇はそれを探すことはせず、ただ曖昧に、帰途を辿った。
 母屋につけば、月明りが眩しかった。差し込む薄青は、赤蛮奇に、窓を開かせる。
 窓枠に肘を付き夜を舐めれば、星月は、どこまでも曖昧に溶けた。
 いままさに爆ぜた星を見つけられることもない。
 柔らかい、抱擁のような薄青が、どこまでも続く夜だった。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:ばかのひ ジャンル:東方Project お題:汚い味 制限時間:30分 読者:64 人 文字数:2285字 お気に入り:0人
さて、今日は第一回チキチキ紅魔館料理選手権大会の日です。 誰もが優勝特典の「レミリアお嬢様から受ける最高級セレブ肩たたき」の権利を受けるために必死に料理を研究 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ITetsuYK ジャンル:東方Project お題:希望の正義 制限時間:30分 読者:49 人 文字数:1002字 お気に入り:0人
「失礼するわよ。」そう言って、私は落ち着くような部屋に入る。「あら、こんにちは。今日は何の用?」向こうには紅白の巫女さんが私を歓迎する。「大したようはないわよ。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あどそ ジャンル:東方Project お題:昨日の内側 制限時間:30分 読者:151 人 文字数:2249字 お気に入り:0人
昨日内側外側なんの内と外なんだ?三途の川・・・とか?境界があるもの。内訳。外側の人から見て。なんの?昨日の話になってくる。伝聞?語り口調か?「昨日は”内側”はど 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:東方Project お題:恋の外側 制限時間:30分 読者:209 人 文字数:686字 お気に入り:0人
「ねぇ?」「何かしら」そんな会話から、この物語は始まった 「好きな人いる?」そんなリミアの質問に「ぶーーーーーー」霊夢はお茶を吐き出す「なななによ急に」「そんな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:東方Project お題:昔の職業 制限時間:30分 読者:279 人 文字数:924字 お気に入り:0人
「アリスはさ」 昼下がりだった。森の重い緑を抜けて窓に差し込む柔らかい光。それを浴びて光る金髪。紅茶のカップを半ば傾けたまま、ぼんやりした視線が目の前のテーブ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:東方Project お題:疲れた事故 制限時間:30分 読者:244 人 文字数:643字 お気に入り:0人
「愛しているわ」 「私もだぜ、アリス」全く笑ってしまうほど、それは道化のような定型文だった。ベッドに残るのは行為の後のけだるさではなく点々とシーツを汚す血痕だ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:苔地蔵 ジャンル:東方Project お題:疲れた宴 制限時間:30分 読者:296 人 文字数:1025字 お気に入り:0人
「はあ…なんであいつら好き放題やって片付けやら何やらは全部私一人にやらせるのかしら」私、博麗霊夢は辟易していた月に一回、何故か博麗神社で人妖問わずの大宴会が行わ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かぼちゃ ジャンル:東方Project お題:計算ずくめの天才 制限時間:30分 読者:257 人 文字数:1287字 お気に入り:0人
夏の匂いというべきなのだろうか、それとも、東京の匂いなのだろうか? それか、私にしか感じられない匂いなのだろうか?さあ? 少なくとも、京都に住むみんなにはわかっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:東方Project お題:恥ずかしいフォロワー 制限時間:30分 読者:259 人 文字数:858字 お気に入り:0人
夢現病。三年目のセーターみたいに毛玉を全身につけた女によれば、私の体質にはそんな病名がついているらしい。私は当然、自分が病んでいるとは思っていない。なんなら選 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:東方Project お題:許されざる部屋 制限時間:30分 読者:257 人 文字数:564字 お気に入り:0人
「...と、いう訳なんです。お願いできますか?」鬱蒼とした魔法の森に住む魔法使いアリス・マーガトロイドは、二人の少女から依頼を受けた。東風谷早苗の持っていた人形 〈続きを読む〉

こだいの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:こだい ジャンル:東方Project お題:遅い外側 制限時間:30分 読者:45 人 文字数:1727字 お気に入り:0人
多々良小傘の末端は鈍い。よく、手足をぶつけ、お茶をこぼす。相関の有無は不明だが、頭もぶつける。 どうしてこうも鈍いのか。疑問に思うことはあれど、深く考えたこと 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:こだい ジャンル:東方Project お題:8月の運命 制限時間:30分 読者:47 人 文字数:1367字 お気に入り:0人
視界の端に蝉が映る。ただの蝉じゃない。死んだ蝉だ。 わちきはこいつがどうも嫌いで、とても気になった。見つけるが早いか、注視する。歩み寄る。 試してみたいことが 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
家路 ※未完
作者:こだい ジャンル:東方Project お題:せつない衝撃 制限時間:30分 読者:39 人 文字数:862字 お気に入り:0人
木っ端妖怪には、なにもない。精々、代わり映えのない交友が、日々を滑らすのみである。 赤蛮奇は笑顔で歩く。穏やかな笑顔、落ち着いた歩調だ。柳のなかを歩けば、じき 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:こだい ジャンル:東方Project お題:許されざる想い 制限時間:30分 読者:37 人 文字数:1051字 お気に入り:0人
村紗水蜜は眠れない。丑三つ。眠る姿勢がみつからない。 眠るのを諦めてしまえたなら、どれほど楽になることだろうか。戒律が在った。酒も在った。 広い、畳張りの空間 〈続きを読む〉