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こころよい差し入れ(恭二と神速)


あ、と声を出したのは俺の方が早かったと思ったけれど、思わず溢れた小さな驚きの声よりも、紅井の「あ! 恭二さん」という声の方がよっぽどでかくて、その声のでかさに気圧されて、挨拶を忘れた。
「朱雀、声がでけえ。お疲れさんです。恭二アニさん」
「ワリ。お疲れさんっす」
「あ、ああ、お疲れ。神速は、今日レッスンだったか?」
神速一魂と遭遇したのはレッスンスタジオからそう離れていないコンビニだ。みのりさんとピエールと一緒に、レッスン終わりに少しランニングしようとスタジオから出て、その帰り際に俺が飲み物を買いにコンビニへ立ち寄ったところで、この2人にばったり……というわけだ。みのりさんとピエールはこの近くの公園で休憩している。
てっきり神速一魂の2人もそうだと思ったのだが、黒野がいえ、と首を振る。
「今日はオフで、たまたまここに立ち寄っただけです。俺たち休みの日はたまに、商店街をぶらついてるんで」
「ああ……」
俺やみのりさんが働いていた店がある商店街はここからそう遠くない。その頃から黒野と紅井の噂はたびたび耳にしていた。ヤンキーがうろついていて怖いと思ったが、随分とできた高校生らしく、商店街の人たちはいろんな場所で彼らに何かと助けられていたと。
思い返せば俺がコンビニのレジ打ちをしていた頃、随分派手な高校生が店に来たような、と2人を見かけた気がしないでもないが、怖かったので結局まるで接点を持ちはしなかった。プロダクションで再会したときも、2人は俺に気づいた様子はなかったし、(まあコンビニ店員の顔なんてそうそう覚えないだろう)一方的に奇妙な縁みたいなものをかんじていただけだ。ここも彼らの縄張りみたいなもんだったんだな、と納得がいく。
「恭二さん、いいところに。なぁなぁ、恭二さんオススメのコンビニアイスってあるか?」
「アイス?」
紅井がアイスコーナーの前で仁王立ちしているから何かと思えば、どうやら食べるアイスで悩んでいたらしい。強面なのに、そういや甘いものが好きなんだっけ。
「定番人気はこのチョコのやつ。俺はこっち
よく食べてたけどな。あとは先週出た新作フレーバーはこれだったはずだ」
「うおお! 流石だぜ恭二さん! これも美味そうだな!」
紅井はカゴに俺が勧めたアイスを片っ端から入れていく。相変わらず思い切りがいいというか、豪快というか。一人でそんなに食ったら腹壊すんじゃないか?
「……悪いな恭二アニさん。みのりアニさんとピエールを待たせてるんだろ? 先に行ってくれ」
「ああ、そうだな。じゃあ、2人とも」
俺はそそくさと3人分のお茶やジュースを買って一足先に店を出た。公園で待っている2人に合流して、さっき神速の2人と偶然会って……という話をしながらスタジオに戻ると、次にレッスンするカフェパレードがスタジオで円になって何やら歓談していた。
「あ! Beit! お疲れ様でーす」
「ランニング? 外暑かったでしょう」
「これ、好きなの選んで!」
ガサガサと音を立てて差し出されたのは見覚えのあるラインナップのアイスクリームだ。
「さっき神速の2人が立ち寄って、差し入れってこれ、アタシたちとBeitと先生にって」
「灼熱に苦しめられし同胞たちを癒す氷の天使が」
「ああ……」
黒野の歯切れが悪かったのは、結局これを差し入れる先が俺だってことだったからか。ほんとにできた奴らだな、と感心しながら、ありがたく俺の好きなアイスをもらうことにした。

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