ジャンル:グランブルーファンタジー お題:俺の殺し屋 制限時間:30分 読者:33 人 文字数:1160字 お気に入り:0人

捕捉、



G side


ああ、嫌いだ。
目の前の闇に心底そう思う。

浮かぶ剣は僕を完全に捕捉している。
きっと解き放たれた剣はいとも簡単に僕を貫くのだろう。
対して満身創痍の僕は逃げきれない。
もう、そこまで考えてしまった。

そして、きっとそんなことはお見通しで目の前の男は剣を振り下ろさない。
わかっているんだ。
僕が逃げられないこと。
自分の一刺しですべてを終わらせることができるということも、逆に弄ぶことが可能なことも。
全て。


「嫌いだ」


零れた声は思ったよりも低く、少し震えていた。
ああ、格好つかない。最後まで惨めだ。

けれど僕は視線を逸らさない。逸らしたら負けだと思った。
剣が振り下ろされればケガでは済まない。でもだからといって易々と負けてやるつもりもない。
…そんな負けだと認めてしまう感情と、負けるつもりはないという両極端で複雑な感情が渦巻く。ああ、気持ちが悪い。


「嫌い?それはオレの事かい?それとも自分自身?」
「…、」
「人間は本当に面白い生き物だとオレは思うんだ。嗚呼、褒めているよ、一応ね」


低く笑うその声が脳に響き渡る。
耳から入って、身体を伝って、脳を侵して、心臓を掴む。
聞きたくない、そう思うのにひとつひとつの言葉を呑み込んでいく。


「…僕はお前が嫌いだよ。」
「フフ…、随分とオレの事を愛してくれてるようで」
「は?僕の話聞いてた?」
「なあ特異点。一つ教えてやろうか。オレの事を嫌いだと思っている時点でキミはオレに呑まれている。哀れで滑稽なほどにね。」



カワイソウニ、


気持ちが悪いほどに甘い囁きが僕の脳を支配する。
僕は視線を逸らさなかった。
…視線を、逸らせなかった?

気が付けば禍々しい剣は無く、その代わりに底の見えない紅が僕を捉えていた。




------


B side



哀れで可愛らしい特異点。
もうだめだ、という感情とそれでも、という感情に吊られながら心が宙に浮いている。
それでもその瞳には闇は見られない。
何処までも澄んだ強い光がオレを捕捉し捉えようとしてくる。
何処までも何処までも哀れで滑稽だ。

ス…、とその頬を撫でてやる。
気づいていなかったのだろう。オレが武器をすでにしまっていることも、こうして触れることができる位置まで近づいていたことも。
向けられていた瞳が揺れる。
頬を撫でられる感覚に我に返ったのか、少年は身体を震わせて、再度闇に目を向けた。


「カワイソニ」


その澄んだ強い光。オレは意外と好んでいたよ。
オレを殺そうとするその強い瞳。
嫌いじゃなかった。



「さァ、キミのすべてをオレに魅せてくれよ特異点」


その瞳が闇に沈む瞬間もさぞ美しく滑稽なのだろうね。


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