ジャンル:文豪ストレイドッグス お題:穢された終身刑 必須要素:○ックス 制限時間:1時間 読者:159 人 文字数:1997字 お気に入り:0人
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太中 どろどろ、ぐちゃぐちゃ

人を殺して、日々の糧を得る。
そんなことしか知らなかった無垢な子供に悪い遊びから愛の溺れ方まで、全てを教えたのは私だった。
本当に、無垢で純粋で、怖いくらい騙されてくれた。
彼は、私の言葉を信じて、身体を許してくれた。その身に傷が残っても、毎晩私を許して受け止めてくれた。
そして必ず、抱かれる度に涙を一筋流すのだ。
自分でもよくわからないという。いっそ痛いと泣きじゃくってくれればいいのに、それもしないで静かに一筋涙を流し、それを何とか慰めようとした私の口づけに応えてくれる。
それを見る度、胸が締め付けられた。何をしても、例え罪にとわれても構わないから彼を手に入れたいと、良心の欠片もない筈の胸が、痛いほど締め付けられた。
それでも私に溺れてくれる彼が愛しくて愛しくて、冷たい涙を舐めとりながら、受け入れてくれる彼に甘えてしまうのだ。

そんな日々に終止符を打ったのは、随分前のことだ。
何も知らずに隣で寝ていた彼の額にそっと口づけをして、朝日が昇る前にそこを抜け出した。
後悔はしていない。けれど、しばらくは身体が狂いそうなくらい彼に飢えていた。
それにも慣れて、彼がいなくても笑えるようになった。歪んでいると自覚している感情にも区切りがつきそうだった。敵同士として彼とナイフをつきつけあうことも、苦しくなくなってきた。
……それなのに。

「……手前、どう云う積もりだ?」
「なんのこと?」
背中には冷たい壁、喉笛には冷たいナイフの切っ先、眼前には冷たい彼の瞳。
抱く度にとろとろに溶けていた、彼の瞳。
「もう、ンな目で俺を見んな」
「……中也くん、自意識過剰かな?」
「黙れ」
そんな目ってどんな目のこと。どんなに隠したって仕舞おうとしたって無駄な、君への欲情?執着?顔に、出てる?うわあ、かっこわるい。
間違ったって愛なんて呼べない。
縛り付けて、閉じ込めて、薬漬けにでもして一生、いや死んでも彼を私の物にしていたい。
身体をものにすれば、彼の心までものにできるなんて思っちゃいなかった。でも、彼の中に居るのは私だけでいてほしかった。
「……太宰」
少し怯えたような中也が、ナイフを落とした。
私は、震える両手で顔を覆い隠した。
いろんな感情が胸中に渦巻いている。ぐるぐる、ねばねば、どろどろ。醜い醜い、愛のなり損ない。
「……御免。ごめん、中也。お願い、見ないで。許して」
自分は今、どんな顔をしているのだろう。今何か少しの衝撃だけで彼を痛めつけてしまうだろう。痛めつけて、動けなくして、縛って、それから、それから……
「太宰!」
びくっと肩が跳び跳ねる。
両手を掴まれ、下げられた。
目の前には、泣きそうな中也がいた。
「……なんで、俺の前から消えた。なんで、何も言わねえんだよ」
「……だって、私は……」
「じゃあ、俺はどうなるんだよ!?」
怒鳴り付けられた。
「身体も心も全部手前に奪われて縛られて、身動きなんてとれねえ、一歩も動けねえ。それなのに手前ばっかりずんずん俺から離れていくし、それなのに俺は縛られたままで……」
嗚呼、お願いだから泣かないで。
泣かせたくない。もう、二度と、あの涙は。
だから……
「手前のもんなら責任もってつれてけよ!!」
「……ッ」
中也の瞳から涙がこぼれ落ちた。
どうして、なんで。私、君のことまた傷つけた?
嫌だ、なんで、嫌だ、君だけは……
「……中途半端に汚していくな。汚すなら身体全部汚せ。……そうしないと、俺……」
震えた身体の胸元に、赤い跡が見えた。
腸が煮えたぎるってこういうことか。
「……けがすなら、いっそ、全部」
言い切る前に、口を塞いだ。
中也は一瞬硬直して、だけど、前みたいにぎこちなく応えてくれた。
どうして気がつかなかったんだろう。
そうだった、彼を縛り付けたのは私だ。だけど大切すぎて大切にしすぎて手放して、違う人にけがされてしまった。
許せない。
自分が。
抱き締めて、囁いた。
「ちゃんと終身刑言い渡したっけ」
「とっくの昔だろ」
「そうだった。これからはきちんと見張ってあげるよ」
中也は何も言わずに、ぎゅっと私の外套を握った。
手始めに私の大事なものをけがした男を消して、彼に愛を囁いて、抱き締めて眠ろう。
何もかもどうでもよくなっちゃった。彼がいるなら、なんでもいい。

彼がいないなら、もうなにも。

「帰ろうか、中也」
こくりと頷いて、私の手を握ってくる。
私は微笑んで、そのまま家へ歩いていった。
さあ、帰ろう、中也。

……そういえば、部屋掃除したっけなあ。玄関も靴でいっぱいだ。中也を家の前で待たせて、片付けをしよう。
中也がいるんだから、玩具はもう要らないもんね。全部捨てちゃおう。

私は微笑んで、彼に「愛しているよ」と告げた。彼は、同じ台詞を呟いた。

幸せだね、中也。ずっと、ずっと。

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