ジャンル:刀剣乱舞 お題:生きている私 制限時間:30分 読者:104 人 文字数:1876字 お気に入り:0人

下書き状態:崇められ三日月の演練 ※未完

俺は崇められている。

俺が瞼をあげるよりも前に深くこうべを垂れる女人の姿が御簾の向こうに見えた。
「お待ち申し上げておりました三日月宗近様。あなた様がいらしたことでこの本丸は完成いたします。どうかどうかその御手を我が本丸にさしのべてくださいまし」

そう請われて始まった刀剣男士としての生き方は、実に平坦なものであった。
俺は奉られる存在であれという本丸全体の動きに則り、この本丸に顕現したときから三日月宗近という刀でありながら本丸の柱でもあった。
孤高であれと言外に唱え続ける主は俺の膝元さえ見るのもおこがましいと腰を折り続ける。
他のものとの親しげな交流は一切なく、御簾越しに会うことのみを己に許す我が主。
彼女から、俺はただ唯一のものとして揺らがないことを願われていた。要は禁じられていたようなものだな。

とはいえ孤高でいるにも力は必要だ。自力をあげるには外に出なくてはならない。こればかりは主も忌避しようがないらしく、口数の少ないものや関係をわきまえているものを揃えて出陣や遠征をこなした。

遠征に向かう為、開門を待っていると演練会場から戻る部隊とすれ違った。
極の修行を終えた子らのしんがりには疲弊した謙信景光の姿があった。
我が部隊に配属されていた小竜景光が驚きに目を開きあわてて小さな肩に触れれば、はっと見上げた幼顔がくしゃりと歪む。
「こりゅ…」
「大丈夫か?」
「ぼくひとり…よわいから…まけたのだ」
「謙信…」
「きびしいたたかいを…みせつけられて、ぼくはいっそうがんばらなきゃって…なったのだ。だから…」
疲労困憊の謙信に小竜が手を伸ばす。そっと頬に手をあててやれば謙信はふにゃりと微笑み、小竜は小さく頷き返せばこてんと眠りについた。
「ありゃー寝ちったか…仕方ねーな。俺が運ぶぜ」
「たいちょうとしてのくんれんのつもりでしたが…」
「また元気になったら、ですね!」
小竜から寝息をたててしまった隊長を預かり、極短刀たちは顔を見合わせた。

短刀たちを見送り、短い時間止まらせたことを小竜は謝罪してきた。
すかざす蜻蛉切が、首を振る。
「休ませることも必要ですからな。ここらが潮時だったのでしょう」
「そう言ってもらえると助かるよ」
「いじめ抜くのもいいけれどね。苦しいばかりじゃ体が参ってしまうよ」
ほのかな喜色まじりに言う亀甲貞宗は、何故か恥じらうように頬に手を当てていた。
二、三交わす会話が済まされるとゲートをくぐり、演戦会場へと到着する。

人や刀剣男士、様々なものがここにいる。
何度となくここへとやってきたが、どうしてだか薄い膜を張ったように遠いものに感じる。



〜〜〜



気付けば一人になってしまっていた。
周りの人口はそれなりにいる。
けれど、我が本丸の住人が誰一人としてそばにいないと言う状況だ。


迷子か?
ま、迷子ではない!あやつらがどこかへ行ったまでのこと
分かった分かったけど交差路の真ん中じゃ通行に支障が出かねないからな。待合室に行こうぜ
支障など…でるものか
はいはいお茶とか出せるからさ。来なって
手を引っ張られて
なっ!?
ご案内すっから、転ぶなよ?
転ばん!
こけっ

こ、ころんではない!


迷子センターのお姉さんがかわいいと言う。
照れながら対応に「可愛いなーうぶって感じ」
「あんたはどうだ」
「興味などない」
「はははッ!バッカ言うなよあんたが枯れるたまかって」
どしっ
「ッ」
「…あっ悪ぃ…いつものノリで」
「…お前は、そちらの三日月宗近にこのような真似を?」
「あ゛ー時々な?あのじーさん真顔で冗談ぶっこんでくるからさ。油断できなくて。あんたを転ばせるつもりはなかったんだ」


「はは…ふふっ…はっはっはっはっ!」
涙だ出てきたではないか。愉快だというのにたまらなく込み上げてくるぞ。止まらなくて歯がゆくて、しかしなぜか心地よくて。
「そうやって笑うとかわいいのな」
「ん?」
意地っ張り
表情豊か
「なんか」かわいい
「そそそそんな訳なっ、なかろう!!」

蜻蛉切
亀甲貞宗
小竜景光
「三日月様!探したよこんなところに来てしまってたんだね」
「待て。お衣裳に汚れが」
「あっそれは」
厚が言い訳しようとしたとき、ピリッとした気配が刺さる。
「ぇ…」
底冷えする視線を当てられたと思うと、
目の前では小竜景光のマントがひかれ、亀甲貞宗の膝に座り、

気配は薄く伏せた三日月からのものだった。瞳孔の小さな月がほの暗く霞んで『何も言うな』と語りかけてくる。

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