ジャンル:刀剣乱舞 お題:生きている私 制限時間:30分 読者:18 人 文字数:1876字 お気に入り:0人

下書き状態:崇められ三日月の演練 ※未完

俺は崇められている。

俺が瞼をあげるよりも前に深くこうべを垂れる女人の姿が御簾の向こうに見えた。
「お待ち申し上げておりました三日月宗近様。あなた様がいらしたことでこの本丸は完成いたします。どうかどうかその御手を我が本丸にさしのべてくださいまし」

そう請われて始まった刀剣男士としての生き方は、実に平坦なものであった。
俺は奉られる存在であれという本丸全体の動きに則り、この本丸に顕現したときから三日月宗近という刀でありながら本丸の柱でもあった。
孤高であれと言外に唱え続ける主は俺の膝元さえ見るのもおこがましいと腰を折り続ける。
他のものとの親しげな交流は一切なく、御簾越しに会うことのみを己に許す我が主。
彼女から、俺はただ唯一のものとして揺らがないことを願われていた。要は禁じられていたようなものだな。

とはいえ孤高でいるにも力は必要だ。自力をあげるには外に出なくてはならない。こればかりは主も忌避しようがないらしく、口数の少ないものや関係をわきまえているものを揃えて出陣や遠征をこなした。

遠征に向かう為、開門を待っていると演練会場から戻る部隊とすれ違った。
極の修行を終えた子らのしんがりには疲弊した謙信景光の姿があった。
我が部隊に配属されていた小竜景光が驚きに目を開きあわてて小さな肩に触れれば、はっと見上げた幼顔がくしゃりと歪む。
「こりゅ…」
「大丈夫か?」
「ぼくひとり…よわいから…まけたのだ」
「謙信…」
「きびしいたたかいを…みせつけられて、ぼくはいっそうがんばらなきゃって…なったのだ。だから…」
疲労困憊の謙信に小竜が手を伸ばす。そっと頬に手をあててやれば謙信はふにゃりと微笑み、小竜は小さく頷き返せばこてんと眠りについた。
「ありゃー寝ちったか…仕方ねーな。俺が運ぶぜ」
「たいちょうとしてのくんれんのつもりでしたが…」
「また元気になったら、ですね!」
小竜から寝息をたててしまった隊長を預かり、極短刀たちは顔を見合わせた。

短刀たちを見送り、短い時間止まらせたことを小竜は謝罪してきた。
すかざす蜻蛉切が、首を振る。
「休ませることも必要ですからな。ここらが潮時だったのでしょう」
「そう言ってもらえると助かるよ」
「いじめ抜くのもいいけれどね。苦しいばかりじゃ体が参ってしまうよ」
ほのかな喜色まじりに言う亀甲貞宗は、何故か恥じらうように頬に手を当てていた。
二、三交わす会話が済まされるとゲートをくぐり、演戦会場へと到着する。

人や刀剣男士、様々なものがここにいる。
何度となくここへとやってきたが、どうしてだか薄い膜を張ったように遠いものに感じる。



〜〜〜



気付けば一人になってしまっていた。
周りの人口はそれなりにいる。
けれど、我が本丸の住人が誰一人としてそばにいないと言う状況だ。


迷子か?
ま、迷子ではない!あやつらがどこかへ行ったまでのこと
分かった分かったけど交差路の真ん中じゃ通行に支障が出かねないからな。待合室に行こうぜ
支障など…でるものか
はいはいお茶とか出せるからさ。来なって
手を引っ張られて
なっ!?
ご案内すっから、転ぶなよ?
転ばん!
こけっ

こ、ころんではない!


迷子センターのお姉さんがかわいいと言う。
照れながら対応に「可愛いなーうぶって感じ」
「あんたはどうだ」
「興味などない」
「はははッ!バッカ言うなよあんたが枯れるたまかって」
どしっ
「ッ」
「…あっ悪ぃ…いつものノリで」
「…お前は、そちらの三日月宗近にこのような真似を?」
「あ゛ー時々な?あのじーさん真顔で冗談ぶっこんでくるからさ。油断できなくて。あんたを転ばせるつもりはなかったんだ」


「はは…ふふっ…はっはっはっはっ!」
涙だ出てきたではないか。愉快だというのにたまらなく込み上げてくるぞ。止まらなくて歯がゆくて、しかしなぜか心地よくて。
「そうやって笑うとかわいいのな」
「ん?」
意地っ張り
表情豊か
「なんか」かわいい
「そそそそんな訳なっ、なかろう!!」

蜻蛉切
亀甲貞宗
小竜景光
「三日月様!探したよこんなところに来てしまってたんだね」
「待て。お衣裳に汚れが」
「あっそれは」
厚が言い訳しようとしたとき、ピリッとした気配が刺さる。
「ぇ…」
底冷えする視線を当てられたと思うと、
目の前では小竜景光のマントがひかれ、亀甲貞宗の膝に座り、

気配は薄く伏せた三日月からのものだった。瞳孔の小さな月がほの暗く霞んで『何も言うな』と語りかけてくる。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:刀剣乱舞 お題:同性愛の絵画 制限時間:30分 読者:7 人 文字数:1057字 お気に入り:0人
「これは見てはいけないやつだ…」加州清光は僅かに震えながら呟いた。親切心だった。いつもなんだかんだ世話になっている初期刀殿がなにやら疲れた顔をしていて、主に聞け 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:小夜子 ジャンル:刀剣乱舞 お題:純白の復讐 制限時間:30分 読者:32 人 文字数:4646字 お気に入り:0人
電子の海折り返し8 ※未完電子の海折り返し7 ※未完電子の海折り返し5「今日はあったかいし、小春日和だね」「主、それは冬の季語です」「そうなの?ふふ、平野は物知 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:刀剣乱舞 お題:左の少数派 制限時間:30分 読者:64 人 文字数:441字 お気に入り:0人
「おや、珍しい」 金色の両瞳が不思議そうに瞬いた。何が珍しいのか、とでも言いたげである。「そのピン可愛いね」 ほれほれと審神者が指さすと、彼は花が咲いたようにぱ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ももとか ジャンル:刀剣乱舞 お題:君と教室 制限時間:30分 読者:82 人 文字数:774字 お気に入り:0人
学校に忘れ物をしたことに気がついたのは、家に帰って宿題をしようとランドセルを開いたときだった。明日提出のプリントがない。ちょっと血の気がひいた。何せお母さんは学 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
自己紹介 ※未完
作者:ももとか ジャンル:刀剣乱舞 お題:幸福な経歴 制限時間:30分 読者:52 人 文字数:518字 お気に入り:0人
朝、目を覚まして、同じ部屋で寝起きしている兄弟たちと挨拶を交わす。布団をたたんで身支度を整える間にも、遅れて目を覚ました虎たちがじゃれて足元にまとわりついてくる 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
守り人 ※未完
作者:匿名さん ジャンル:刀剣乱舞 お題:小さな女の子 制限時間:30分 読者:74 人 文字数:679字 お気に入り:0人
―とうりゃんせ とうりゃんせ ここはどこの細道じゃ―人間の子供は7歳までは神の子であるという人ならざるものが見え、あまつさえ言葉を交わすことができる者もいるとい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:刀剣乱舞 お題:運命の屍 制限時間:30分 読者:171 人 文字数:517字 お気に入り:0人
※闇落ち「お前達は、この本丸にある運命の屍と云うのを知っているか?これはこの本丸の定め。無ければいけないモノ。これが在るお陰で、俺達は今、自身は刀だと信じて戦っ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:2込しめじ ジャンル:刀剣乱舞 お題:複雑な妹 制限時間:30分 読者:111 人 文字数:709字 お気に入り:1人
妹と言う存在が如何様なものか、主に問うてみた。自分には可愛い弟が今一人いるのだが、弟と妹ではどう違いを感じるのか、それが知りたかったんだよね。曰く、妹は可愛いも 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
朝のめざめ ※未完
作者:匿名さん ジャンル:刀剣乱舞 お題:軽い王子 制限時間:30分 読者:107 人 文字数:704字 お気に入り:0人
夢をみていた。なんの夢だったかは覚えていない。夢と現実との境界まで意識が浮上するにつれ、それまであざやかだった夢の景色はじょじょに色褪せていく。深く濃い海の底 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:刀剣乱舞 お題:ちっちゃな失望 制限時間:30分 読者:166 人 文字数:933字 お気に入り:0人
今剣には密かな野望がある。それはずばり、あるじ様の頭を撫で撫でして「きょうもいちにち、おつかれさまです。あるじ様!」と言う、些細な野望だ。しかしそれは、いつもい 〈続きを読む〉

やすひと。の即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:やすひと。 ジャンル:刀剣乱舞 お題:有名な戦争 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:610字 お気に入り:0人
僕が一番危険だと思ってるのは夜道の迷子。現世の夜は街灯があちこちあるから視界が見えなくて迷うと言うことはないんだけど、自身の持つドジのポテンシャルは舐めてはいけ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:やすひと。 ジャンル:刀剣乱舞 お題:鋭い消費者金融 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:526字 お気に入り:0人
「君たちの行動は逐一、亜種が過ぎる」「「「すみません…」」」膝をついて頭を下げる薬研くん、三日月さん、鳴狐さん。「乱がごまかしてくれたからいいようなものを、ここ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:やすひと。 ジャンル:刀剣乱舞 お題:生きている私 制限時間:30分 読者:18 人 文字数:1876字 お気に入り:0人
俺は崇められている。俺が瞼をあげるよりも前に深くこうべを垂れる女人の姿が御簾の向こうに見えた。「お待ち申し上げておりました三日月宗近様。あなた様がいらしたことで 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:やすひと。 ジャンル:刀剣乱舞 お題:破天荒な戦争 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:402字 お気に入り:0人
ザクザクと敵が切れる音だけが聞こえればなんと気持ちいい戦いだろう。実際は鈍い打撃音、空を切る斬撃、無理矢理絞って下ろす腕、グラグラ茹だるような血流の音。綺麗な音 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:やすひと。 ジャンル:刀剣乱舞 お題:俺の少数派 制限時間:15分 読者:26 人 文字数:546字 お気に入り:0人
世に数ある本丸があるように、その中で顕現された薬研藤四郎という刀剣男士は数多くあるだろう。一振り教と分類される審神者があれば、好きな男士ばかりを顕現している豪快 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:やすひと。 ジャンル:刀剣乱舞 お題:うへへ、ピアノ 制限時間:15分 読者:54 人 文字数:439字 お気に入り:0人
「うへー、ピアノ弾けんのかよ」愛染国俊があっけにとられたのは明石国行のことだ。いつも日がな一日暇があればくてっと眠りこけている奴が、姿勢さえまともに起こしてない 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:やすひと。 ジャンル:刀剣乱舞 お題:ダイナミックな車 制限時間:15分 読者:42 人 文字数:374字 お気に入り:0人
「流石に…この傷は重傷かねぇ」「ったりまえだろ!イ゛ッ痛ぇ…っくっそ…」カラカラと小石が落ちる崖の下で次郎太刀と和泉守兼定が起き上がれずにいた。「あんま力むんじ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:やすひと。 ジャンル:刀剣乱舞 お題:灰色の恋 制限時間:30分 読者:47 人 文字数:807字 お気に入り:0人
俺たちが戦う付喪神としての『叩き台』だということは薄々分かっていた。顕現されたばかりの刀剣男士という存在が如何に信用されていないか、時の政府と名乗るあいつらの態 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:やすひと。 ジャンル:刀剣乱舞 お題:失敗の運命 制限時間:15分 読者:57 人 文字数:427字 お気に入り:0人
「なあ、その薬の量…」「え?あぁ、だよね☆」「いや『だよね』ウインク、じゃねーって乱」昼休み中に空いている会議室で昼飯となった俺と乱は、サクッと食べて次の仕事の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:やすひと。 ジャンル:刀剣乱舞 お題:うわ・・・私の年収、修道女 制限時間:15分 読者:65 人 文字数:419字 お気に入り:0人
私が担当いたします審神者という生業の者たちは物の心を励起するという極めて貴重な力を持っています。何故貴重かというのは諸説ありますが、励起した後の「率いる」部分が 〈続きを読む〉