ジャンル:東方Project お題:汚い味 制限時間:30分 読者:91 人 文字数:2285字 お気に入り:0人

オンリーワン・アンフェア・テイスト



 さて、今日は第一回チキチキ紅魔館料理選手権大会の日です。
 誰もが優勝特典の「レミリアお嬢様から受ける最高級セレブ肩たたき」の権利を受けるために必死に料理を研究してきました。

 決勝に選ばれしはこの三人。
 まずは主催の親友。属性魔法も属性料理もなんのその。パチュリーノーレッジ。

「うっす、よろしく」

 そしてお次は中華料理を任せたら敵知らず。絶壁の門番こと紅美鈴です。

「がんばります、よろしく」

 そして最後は調理といえばこの方、紅魔館メイド長の十六夜咲夜です。

「よっす、どうも」

 お三方が揃いました。
 それではレディ、ファイ!

「フランドール、地の文みたいな解説お疲れ様」
「なんてことないわ。それよりお姉さまは実況をお願いね」

 お姉さまはふふんと鼻で笑い、マイクを手に持った。
 言葉にしなくてもわかる、これは任せろということだ。

「あ、見てフランドール! パチェが、あの、なんかあれ、うんこみたいなの使ってるわ」
「あれはトリュフよお姉さま。早速最低だから黙っててほしいわ」
「美鈴はやっぱり中華料理かしら。粉を、粉を入れてる。粉」
「もう字面が怪しいわ、お姉さま」
「咲夜はあれね、わかるわあれ、チョコ、チョコを切ってる。カレーを作るのかしら」
「なぜその発想になったかすごく謎ねお姉さま」

 実況にお姉さまをあてたのは最悪の失態だったが、ともかくここにはメイド妖精くらいしか居ないので良いだろう。
 これがもし小説化してネットで公開されるのであれば、紅魔館の恥だからやめてほしいのだけど。

「美鈴は中華鍋をがんがんしてるわね。ほら見て聴いてフランドール、がんがんしてるわ。聞こえるでしょ?」
「フライパンをふることをがんがんっていう人始めてみたわ」
「パチェは肉を出したわね。多分鶏か豚か牛」
「それ以外のお肉はあんまりないわよお姉さま」
「咲夜は……お湯を沸かしているわね。チキンラーメンでも作るのかしら?」
「11行前(改行含む)でチョコをきっていたのを忘れたのかしらお姉さま。というか料理対決にチキンラーメンって」

 お嬢様の実況も最悪だけど、それに付き合っていると私の解説も滞ってしまう。
 無視していたほうがいいのかな。
 わからないけど気づいたら料理はもう終盤だ。
 まずは速さが命、美鈴の中華料理が出来上がった。

「はいお待ち! さあお嬢様、妹様、食べてください」
「美味しそうねフランドール」
「ほんとう! 美鈴、これは何チャーハン?」
「『バーミヤンよりうまいチャーハン』です」
「料理名なのそれ?」

 ともかく美鈴のチャーハンはパラパラでしょっぱくて美味しかった!
 これはかなりの高得点だ。

「お姉さま、これは何点くらい?」
「優良可の5段階評価でいうと8点くらいね
「もうまるで意味分かんないけど、美鈴は8点!」

 最初からかなりの高得点だ。
 つづいてパチュリーの料理が出来上がった。

「ふむパチェ、これは?」
「血の滴る黒トリュフソースのステーキよ。やっぱ料理は肉よ肉」

 もやし体系とは思えないセリフだ。

「あ、おいしい。焼き加減も最高だよパチュリー」
「むきゅう」
「ふむ、確かに美味しい。ソースもなんかこんな、あれだな、美味しいわね」
「お姉さま最高にレビュアー向いてないわね」

 ということでパチュリーの料理は9点。
 これは咲夜でも越せないかもしれない。

 そしてお待ちかね、咲夜の料理だ。
 どうやら咲夜は能力を使って料理を完成させたようだけど。

「お二人のことを思って作りました」
「これは……スイーツ? フランドール、スイーツだよ」
「まあチョコ刻んでたからなんとなくわかるけど」

 箱に入ったそれはハート型のチョコレートだ。
 ホワイトチョコで「アイラヴスカーレット」って書いてある。
 カタカナで。

「うーん、まあ普通に美味しい」
「うん、普通に美味しい。でも普通な気がするわねフランドール」
「そうね、なんか、普通。ちょっと違和感あるけど」

 そのチョコレートは咲夜が作ったにしては普通だった。
 咲夜につけた点数は6点。
 まあ普通だからだ。

「ということでお姉さま、優勝者の発表を」
「じゃあお肉美味しかったから、パチェのステーキで!」
「あ、ちょっと待ってください」

 発表の直前で咲夜が手を挙げる。
 
「チョコレートの入っていた箱のメッセージカードはお読みになりましたか?」

 咲夜はそう言って、静かに笑っていた。
 そんなものがあったかとお姉さまは箱の底のカードをみる。

 しばらく黙ったかと思うと、こんなことを言い始めた。


「うっわきたね、これはずるいよ。失格にしてやりたいくらいだ」

 お姉さまがそのメッセージカードを見て実況とは思えない暴言を吐く。
 私もそれを見てみることにした。
 


 ……するとなるほど、これはたしかに。

「……お姉さま、優勝どうしようか」
「こんなもん咲夜だろ。ずるいけどな」
「そうよねえ」

 ということで優勝はメイド長の十六夜咲夜。
 この結果にはパチュリーも美鈴も不服そうだけど、咲夜は一人で笑っている。
 しかしこれは仕方がない。
 咲夜のメッセージカードにはこう書かれていたのだから。



「親愛なるお二人へ。これは私の血を一滴だけ入れた、変哲もないチョコレートです」

 ……こんなめったに食べられないもの、優勝に決まっているのだ。













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