ジャンル:マイリトルポニー お題:ねじれた内側 制限時間:30分 読者:60 人 文字数:1156字 お気に入り:0人

ねじれる骨

 サンバーストがキャンタロットの魔法学校へ行ってしまってから、スターライトグリマーには、世界の何もかもが空っぽの張りぼてみたいに見えていた。もちろん、彼女が落ち込んでしまったことを誰もが知っていた。けれど、それはほんの仔馬の頃の事だったから、彼女の父親も近所のポニーたちも、いずれはグリマーに元気が戻ると思っていた。
 けれど、そうはならなかった。
 笑顔で挨拶を交わし合う街のポニーたちも、乳母車で泣く赤ん坊も、幸せそうなカップルも、雲も、木々も、太陽も、まるで空っぽに見えるままだった。
 ポニーの運命を示すキューティーマークが、スターライトグリマーに現れた時すらそうだった。
 いや、その時こそ、世界だけでなく彼女自身まで空っぽになったように感じた瞬間だったかも知れない。
 サンバーストはキューティーマークが現れたあと、魔法学校へ行くために引っ越していってしまった。
 ただ毛皮一枚の上に現れた、ひづめ幾つか分ていどの図柄。
 そんなものに、運命を丸ごと決められてしまう。
 どれだけ高く揚がる凧を作って風の流れを感じ、世界の広さを確かめようとしても、ひとりの部屋で騒がしい音楽を体いっぱいに取り込んでも、毛皮よりも内側に、何かがあるように思えなかった。
 ある日、スターライトグリマーは墜落した凧の骨を取り換える作業をやっていた。
 糊をゆるめ、端からゆっくりと帆を剥いでいく。コンポから流れる、きしむギターの演奏をバックにしている最中、彼女に不意の閃きがあった。
 もし、こうやって、キューティーマークを体から剥ぎ取ってしまうことができたら?
 そうすればきっと、私たちは外側から決められた運命から解き放たれて、誰も離れ離れになることなく、ひとつのまま生きていけるのではないだろうか?
 彼女は、部屋の中にあった全ての凧の帆を剥いだ。
 骨だけになった凧たちは、みんな同じに見えた。高く飛ぶものも、低く飛ぶものも、ない。すべてが同じだ。
 サンバーストと別れてから初めて、スターライトグリマーは自分の中に骨と肉があることを思い出した気分だった。

 それから、いくらかの時間が流れて、彼女はひとつの村を作った。
 キューティーマークを剥ぎ取ったものたちが、一つになって生きる村だ。
 スターライトグリマーと同じように、外側を剥ぎ取ってしまいたいポニーは、彼女が思ったより多かった。
 しかし、みんなの望みを叶えるためには、ただひとり、マークを捨て去ることのできないポニーが居る。
 スターライトグリマーは、ドーランを自分の太ももに塗り、魔法の才能を示すキューティーマークを覆い隠す。
 毛皮に塗りたくる、もう一つの外側。
 彼女はそのさらに内側で食い違って捩じれていく自分の骨が、見えないふりをした。

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作者:かぷりにおしりこ ジャンル:マイリトルポニー お題:ねじれた内側 制限時間:30分 読者:60 人 文字数:1156字 お気に入り:0人
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