ジャンル:少女☆歌劇レヴュースタァライト お題:アルパカの食器 制限時間:30分 読者:28 人 文字数:1821字 お気に入り:0人

ホワイトなあなた

「……まひる、これ欲しい」

寮の近くのホームセンターへ買い出しに来ていた私たち。

食器の置かれているあたりを、ひかりちゃんが指差した。

「……え?」

思わず絶句してしまった。

異形。

私の語彙では、そう形容する他なかった。

「えっ、なにこれ……」

隣で荷物持ちをしてくれていた華恋ちゃんも、ひきつったような声で呟いた。

よかった……私がおかしいわけじゃないんだね!? 誰だって同じような反応になるはずだよね!?

こんな――アルパカの胴体に、ミスターホワイトの頭がくっついた、奇天烈な生き物があしらわれた食器をみかけたら……。

「……なにこれ、可愛い~!」

弾けんばかりにきらめく華恋ちゃんの顔。

前言撤回。どうやら、ここでは私だけが異端のようです。他のみんなにも来てもらえばよかった……。

「え、ええっと……ひかりちゃん、本当にこれが欲しいの? もうちょっと可愛いのあるよ? ほら、これとか……」

普通にミスターホワイトの顔だけがあしらわれた、真っ当なデザインの食器もある。そっちを差しながら聞いてみる。

「…………」

ひかりちゃんは首を横に振った。やっぱりこれがいいみたい。

もう一度、異形のミスターホワイトを見つめてみる。

……………………わからない。私、ひかりちゃんのことがわからない。

デフォルメされたクマの頭と、リアルなモコモコの胴体の相性がここまで悪いとは思わなかった。

どっちも単体では可愛いと思う。でも、合わせたらダメ。混ぜるな危険。カレーとケーキは別々が美味しいの。

「ひかりちゃん、まひるちゃーん、こっちにもあるよー!」

何が!?

反射的に、そう思わずにはいられない。瞳を輝かせ、ひかりちゃんが華恋ちゃんのもとへ走り出す。

最悪の想像を打ち消しながら、私もあとに続く。

「……えぇ~……」

ふたりがいたのは、ぬいぐるみコーナー。

手のひらサイズの大きさから、両手で抱えるくらいのものまで、いろんな種類のぬいぐるみが置いてあった。

……うん。そこに、あってほしくないものがあった。

ミスターホワイトの頭に、アルパカの胴体。結構な大きさ。

正直言って、絶対無理。はっきり言って、怖いです。

深夜とか、部屋にこれが置いてあるのを見たら、腰を抜かす自信がある。

「「かわいい……」」

溜息混じりに呟くふたりを見て、私も溜息。だんだん頭が痛くなってきた。

「あの……それ、欲しいの? 本当に……?」

「……だめ?」

「まひるちゃんは嫌なの? こんなにかわいいのに……」

「……う、う~ん……」

どうしよう。もしかしたら私がおかしいのかもしれない。

――う、ううん、だめよまひる、気をしっかり持たないと。

どう考えてもおかしいって……。

「……じゃあ、こうしよう。他のみんなにも聞いて、みんなが可愛いって言ったら買う。どう?」

「えー、ていうかそもそも、これを買いに来たわけじゃ……」

「でも食器は元々買う予定だったはずだし、それならいいでしょ? ねーまひるちゃーん!」

「う、う~ん……」

確かに、ばななちゃんに頼まれて、共用のお皿をひとつ買ってきて、って言われたし……。

みんなで使うものだから、デザインは重要、かも……。

「……わかった。じゃあ、ラインで聞いてみる」


――――――――


結果は8:1。

どうやら本当に、私の感覚がおかしかったみたい。

せめて、真っ当なデザインのミスターホワイト皿がよかったなあ……。

……なんて考えているうち、なんだか眠たくなってきちゃった。

ううん、違う、正確にはむしろ逆で……。


――――――――


「……はっ!」

目を覚ます。隣には寝相の悪い華恋ちゃんとひかりちゃんの姿。

「ゆ、夢……?」

ほっと胸をなでおろし、安堵する。

どうやらあのアンバランスな謎の生き物は、私の無意識で生み出された存在だったみたい。

だとしても、どうしてあんなことになったのかはよくわからないけど……。

ぎゅっとスズダルキャットのぬいぐるみを抱きしめる。

うん、やっぱりミスターホワイトもいいけど、この子のほうが――。

「……え?」

感触が違う。

はっきり見返して、気が付く。

ミスターホワイトの頭に、アルパカの胴体……。

「――ひっ」

朝の寮に、私の悲鳴が響き渡った。

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