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心はいつから道外れ※隼ユト気味


過ちはいつからはじまったのだろうか。
ひょっとしたら初めて出会った時からすでに一歩踏み外していたのかもしれない。

――ありえない。同じ男、しかも妹が心寄せているとわかっている「彼」に自分も、なんて。

「しゅん、隼……随分と考え込んでいる様子だな。大丈夫か?」
どこか冬の空を連想させてしまうような色の瞳が、不安げに俺を見つめる。手には俺のエースカード「RRーライズ・ファルコン」を持ったまま。
学校帰りにユートを自室に招き、互いが作ったデッキの評価をしあっている時だった。
目の前でカード達に向かい真剣に対峙する彼を見て、不意に心がざわめいて止まらなくなった。それこそ普段飛び出さないように鍵を掛けている本心が出せと暴れているような気がするほど。

友人と呼べる存在はそれなりにいる。
しかし目の前の彼ほどどんな時も側にいて欲しいと思っている存在は、かなり稀だ。
彼……ユートの顔をじっと見つめてしまう。

「……そんなにまじまじと俺を見て、どうした?」
「ユート、瑠璃をどう思っている」

我慢できずつい吐いてしまった問いかけは、自分の世界で一番大切な存在に関してだった。
「!?……瑠璃、るりは、たいせつな存在だ。彼女は俺に色々な考えを与えてくれた」
しどろもどろになり所々つっかえながら言葉を紡ぐユート。
この様子だと自分の予想通りだろう。瑠璃のことをただの友人としてだけではなく、特別な異性として――

「俺は」
「?」
「俺のことはどう思っているんだ」
その問いかけは自分でもはっきりとわかるくらいの低さ。人によっては「黒咲、お前怒ってるのか?」と怖がらせてしまうほどの声。

「……君のことも大切だ。隼。隼が見つけてくれたからこそ今の俺があるんだ」
声の調子を整えるための咳払いを一つ、その後彼から返ってきた答えは簡素なものだった。

「俺が見つけたから、今のユートがある?」
「そうだ」
迷いのない声、そして眼差し。
人知れず惑ってばかりの俺とは対照的な、その彼の佇まい。

「そうだな」
彼が手に持ったままの「ライズ・ファルコン」を取る。
「俺も同じだ。お前がいるから、今の俺があるんだ」
ユートに密かに心寄せる、黒咲隼が。

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