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一人の夕飯



いつか来た食堂の前で、ふらっと足が止まる。確か去年の今頃、 と一緒に立ち寄ったんだっけ。駅から少し離れた住宅街の中、
は『庶民的な感じが悪くないな』なんて言いながら私の手を引いてくれたんだ。 からどこかへ誘ってくれるのなんて珍しかったから、よく覚えてるよ。

「らっしゃい、何にする?」

気の良い女将さん、たった一年くらい見なかっただけでかなり老け込んで見えるけど平気かな。前食べたのは、確か親子丼とカレーライス。 は親子丼の上のグリンピースが食べられなくて『子供っていうな!』って怒ってたね。

「親子丼、お待ち遠」

しっかりした丼の蓋を外すと、ほかぁっ。湯気と一緒に卵の優しい香りがする。つやつやした黄色は の髪の色と似てるね、って笑ったのも思い出したよ。仕事上がりのサラリーマン、部活終わりの学生、いかにもな大衆食堂には沢山の人がいるよ。でもね、あの日から私には何かが足りないんだ。多分、答えは自分でもわかってるんだけど、どうしようもなくて。

「どうしたんだい、嬢ちゃん?」

お冷を足してくれた女将さんに心配されちゃった。なんでもない、って笑い返したら、

「あんた……泣いてるよ?」

って、ほっぺがいつの間にか濡れてた。そっか……ご飯は美味しいけど、やっぱり。会いたいよ……ソーニャちゃん……。

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