ジャンル:文豪ストレイドッグス お題:100の罪人 必須要素:映画 制限時間:30分 読者:24 人 文字数:1474字 お気に入り:0人
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太中 私の罪

一番の罪は、君を愛したことだろう。今まで何百何千何万という人を殺し欺き弄んできて、もう数えきれないくらい罪を犯したけれど、それでも一番は、もう私が罪を数えるのを諦めたころに犯した、この罪が一番だ。
後悔しているかって? さあ、どうかな……
君を愛さない選択肢もどこかにあったかもしれないね。でも、包帯で隠れた目じゃ見えなかったみたいだ。無能だって笑ってるね。いいよ、今回ばかりはその通りだ。

でもね、中也。私が罪人なら、君も大罪人なのだよ。罪を犯したくなかったのなら、君はあのすり鉢街で私を襲うべきじゃなかった。あの崖で私の勧誘にイエスと答えるべきじゃなかった。全部仕組まれていたことなのかもしれない。避けることは不可能だったのかもしれない。もしそうなら、神様っていうのも随分ないやがらせをするものだね。勝てそうもないな。

君と出会ったのも、君と会話したのも、君に触れたのも、君に口づけしたのも、君を抱いたのも、全部罪なんだ。私は大罪人だよ。死を以てしても足りそうにない。どうしようか。

君が、一緒に背負ってくれるなら……少しくらいは、軽くなるのかな。何云ってるの、私より丈夫だって何時も自分で云ってるじゃない。こんなときばっかり無理とか云わないでよ。

重くて、苦しいよ。なのにまた罪を犯してしまうんだ。どうしてなんだろう。罪だってわかっているんだ。それでも私はやめることができない。

この罪を償わずに死ぬなんて、後味悪いなあって。だから私はこんなところにいるんだよ。君のせいなんだ、元はと云えば。ふふ、君が責任なんてとれるわけないでしょ、莫迦だなあ。

まあいいや。もうここまで来たら罪を犯し続けよう。君もそうするのなら、ね。
ほら、おいで。本当に小さいなあ、中也は。はは、怒らないでよ。すぐ手を出すんだから。

ふふ、あったかいねぇ……子供体温かなあ。君を抱き締めるの、きもちいんだよ。はは、貶してないって。ただ、もう少しだけこのままでいさせてよ。いいでしょ、ね? やった♪

週末はどうしようか? 映画でも観に行く? 久しぶりに遊ぼうよ。暇でしょ? ええ、そのくらいいいじゃない。遊ぼう~?


100の罪……それは、君をこの包帯ぐるぐるまきの腕の中に抱いて過ごす、この日々だ。
苦しくてつらい。でも、だけど幸せで、手放すことができなかった。

私は、更に罪を犯そうとしている。もうすでに私一人じゃ償いきれない。だから、私は……

「ほら、手え掴まって。腰支えるから」
「くっそ……なんで“つわり”ってこんな辛ェんだよ……おげぇ、きもちわる……」
「莫迦、ちゃんと掴まりなよ。妊娠初期が大事なんだから」
「っ……太宰、少し……」
「うん。大丈夫、大丈夫」

ふらりと寄りかかってきた躰を抱き締めてその背中を擦る。これさえも罪となる。

私は、君と、君に、背負わせてしまう。この罪を、一緒に。
小さな躰に宿った小さな命は、確かにここにある。おい、こいつを罪とか云うなよ、殺すぞ。と中也は云っていた。罪なんかじゃないよ。君は罪じゃない。でも、罪人なんだ。罪と罪の間に生まれた、愛の子。誰よりも愛した君と私の子だから。

だからね、中也。私は後悔なんてしてないよ。君を愛してよかった。君に愛されてよかった。君を愛したのは100の罪だけど、本当に、嬉しいんだ。
そう伝えると君は白い頬を赤く染めて少し困った顔で目をそらして、そして、あ、と嬉しそうに声をあげた。

「今、こいつ俺の腹蹴ったな」
「本当!?」

私は、そっとそこに触れた。

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