ジャンル:黒子のバスケ お題:くだらない経験 制限時間:30分 読者:14 人 文字数:1578字 お気に入り:0人

クロッキー18 ※未完

いい人っていうのとはちょっと違う。あの人はそこに存在している人だった。空気みたいに。俺がそこに行けば、座ることを許してくれたし、話すことも許してくれた。俺のことはどうでもいい、というわけでもない。話しかければ反応してくれた。昔、ばあちゃん家にいた三毛猫みたいだな、といつだったか思った。こっちの気配は感じてるけれど、向こうからは近づいてこない。でもその場所を動くわけでもない。その領域まで近づかないならば、そこにいることを許す、みたいな雰囲気があった。三毛猫にも、あの人にも。優しいってわけでもないんだと思う。ただ、いることを許す。
俺は少し疲れていた。
黛さんとこっちで初めて会った時は、携帯を水没させていたし、足で見つけたネットカフェは満員だった。コンビニで時間を潰すにしてもあと四時間ちょいという、何とも絶望的な長さ。四時間もあれば実家まで歩けるのでは、と思っても、明日の朝のことを考えるとうんざりする。ホームレスの人に混じって駅のホームにいればいいのかな、でも、確か追い出されるはず、ああめんどくさい。考えているよりは歩いている方がまだましか、しかし新宿から実家までの道のりはわからない。いったい何キロあるんだろう。これから先のことを考えて、ため息をついた。携帯を水没させるまではずっと仕事のことを考えていた。明日の午前中に関西に戻って、月次報告書を作らなくてはならない。うちの会社の締めが毎月20日。売り上げに関する報告書を役員会議に提出する。そのための数字を集計しなくてはならない。
去年から部下をついた。主任という肩書までついてしまった。とうとう俺がマネジメントをする側になったのだ。
こまめに営業報告シートに入力しろといっても、部下たちはなかなか入力しない。自分もそれほどこまめに入力していない。自分がしていないことを部下たちも知っている。だから俺が注意したところで、彼らがいうことをきかないのは当然だった。案件詳細に関しても、項目数が多すぎて、そんなちまちま入力していたら日が暮れてしまう、と思っている。そりゃあ上長たちは案件の情報を適切に管理したいかもしれないが、現場は見える情報だけで動いているわけではない。一日に複数の案件に対応していると、どの案件でどんな動きがあったかのすべてを思い出して入力するのはまず無理だろう。自分の案件だけならいいが、部下の案件にも目を通してアドバイスをしなくてはならない。
自分の仕事だけしていればいいという期間が終わった。入社当時の気軽さを思い出し、当時の上長の気持ちを考えるようになった。俺みたいな部下って嫌だったろうな、と思う。子を持って知る親の恩みたいなやつ。
主任研修というものがあった。主任になると受ける研修で、週中の二日間、東京の本社の研修所で開催される。研修所は入社時研修の時に使った研修所で、あの頃の俺は能天気だったなぁとしみじみ思った。日中の研修が終わってからの同期の部屋でゲーム大会するのを毎日待ち遠しく思っていたのだ。
せめて木曜、金曜日にやってくれればいいものを、主任研修は水、木という日程で組まれていた。東京本社にいる同期に主任研修で上京する旨を連絡したところ、研修最終日の夜に飲もうという話になった。久しぶりに会った同期たちとの飲みは楽しかった。今の部署での仕事の話から始まったものの、結局は入社時研修時の思い出話となった。当時の裏話なども飛び出し、驚いたり笑ったりと楽しい時間を過ごした。二次会に行こうといった同期数人と、新宿のスナックに向かった。言い出しっぺの同期の行きつけのスナックという話で、そいつの名前でボトルもキープされていた。スナックのママとアルバイトの女子がいて、カラオケがあったので歌って、くだらない話で笑って、いつの間にか終電の時間が過ぎていた。



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