ジャンル:にじさんじ お題:死にぞこないの命日 制限時間:1時間 読者:15 人 文字数:1830字 お気に入り:0人

ヘルエスタ事変

 16歳の時、アンジュ・カトリーナは禁忌を犯した。
 錬金術師が禁じられている神への冒涜――人体錬成を行った。人体クローンとは違い、ゼロから生命を産み出す行為が若輩者の私にできるはずもなく、国全体を巻き込む大災害まで引き寄せる大事件にまで発展した。
 人間には未だ、解明されていない未知の宝庫だ――どんなに詳細な設計図を用いたとして、組みあがるものではない……。出来上がったのは望んでいた人間ではなく、異形の巨大な怪物だった。全身は黒皮で覆われ、鋭利な凶器が全身の至る所から剥き出しに生えている。馬のように陸上を闊歩して国の人々を蹂躙していく様は、パニックホラー映画を観ているようだった。
 現実ではなく、創作を当時の私は観ていた。
 この騒動を止めたのは、国の長でもなければ屈強な兵士でもない――当然、当事者の私でもない。
 小さな、女の子だった。
「――――っ、危ない!」
 彼女が現れた時、私は守らなければという強い義務感に駆られた。私のせいで、また人が死ぬ。でも手を伸ばすだけで、あの小さな命が救えるのなら、それだけでも――! と、必死に追い縋ろうと彼女の背中に疾呼した。
 それでも、彼女は意に介することなく異形の怪物へと跳躍し、持っていた細身の剣を振りかぶる。
「ヘルエスタぁ、セイバー!」
 刹那、雄叫びに連動するかのように剣は光り輝き、彼女と同じくらいの大きさまで肥大化した剣が、そのまま怪物を一刀両断した。勢いそのまま石のレンガ道は切り裂かれ、その溝に怪物と女の子が吸い込まれるように――
「捕まって!」
「ふぇ? あっ――」
 伸ばした手に、小さな手が重なる――私の指で手の平全体を覆ってしまえるほどの幼さに、今更ながら少し動揺してしまった。
「……剣は、落としちゃった?」
「だいじょーぶ。ほら、このとおり」
 そう言って、女の子は首元のチョーカーを指さした。説明によると、彼女が扱っている宝剣ヘルエスタセイバーは伸縮自在で、持ち運ぶときはそこに収納しているらしい。物理法則無視の要実験体に興味は尽きなかったが、今はそれどころではなかった。
「これ、あなたがやったの?」
 溝から引き上げた後、女の子は周りの惨劇を見渡したのちに無垢な瞳でそう尋ねた。半壊の城下町。狼煙のように立ち昇る黒煙。悲痛な叫びで訴える国の人々。そのすべてを、見渡して。
「……あぁ、そうだよお嬢ちゃん。私が、全部やった」
「ふーん、しょうじきなのね」
「今から出頭するつもりさ。どんな刑が処されるか――この国最大の執行がどんなものなのか、わからないけどさ。お嬢ちゃんはもうお家に帰った方がいい。私の怪物を殺してくれて、ありがとう」
 自分とは10歳位離れているであろう童女に深々と頭を下げて、その場を去ろうとする。しかし、
「まちなさい、あたしもいくわ」
 と、引き留めた。
「しなせない。このあたし、ヘルエスタおうこくだいにこうじょリゼ・ヘルエスタのなにかけて、あなたをたすける」

 法廷では当然のことながら、永久追放や死刑執行の意見が飛び交っていたが、なぜか弁護士サイドに立っていたリゼ皇女が真っ向から否定し、無罪を勝ち取っていた。
 第二皇女の権限が、齢7歳の女の子にどれほどの権力があるのか不明だったが、とにかくすべてを覆した。

「このひとはたしかにしっぱいしたわ。でもそんなのだれにでもあることよ、それがほんのちょっとおおきくなりすぎただけ」 
「どんなてんさいも、どんないじんも、れきしをふりかえればとりかえしのつかないしっぱいとつみをかかえてる。だからアンジュさんのしっぱいは、おおきなゆうきのいっぽだって、あたしはおもうの」
「いぎょうをなしとげてくれるひとの、おおきないっぽだって――あたしはおもう」
「またアンジュさんがしっぱいしてもだいじょうぶなように、おしろにこのひとをすまわせてかんしします。もんだいがあればあたしがせきにんをとります」
「このへるえすたおうこくだいにこうじょである、リゼ・ヘルエスタが」

 舌っ足らずなリゼによる答弁に国民全員が丸め込まれ、私は牢屋に入るどころか城お抱えの錬金術師という地位を獲得した。どうしてリゼはここまでしてくれたんだ――という意見には、ただ一言、
「だってアンジュさん、やさしいにおいがしたから」
「……はっ、そんな直感でよくぞここまで」
 と、私を苦笑いさせる意見しかもらえなかったけど。

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