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都合のいい言葉を捧げ【生物部】

人生において、運命なんてあるんだろうか。それはつまらないライトノベルの書き出しだとか、かっこいいことを言おうとして滑るか周りをおおっと感動させるような空気に変える、そんな言葉である。
それで言うと俺は最後の選択肢に自分を当てはまらせたいが、彼の前になるとやっぱり敵わない。


「生物部」、その単語をきっかけに出会ってしまった岸谷新羅という存在。彼は俺にとって運命だったんだろうか。人生に降りかかる人間との出会いは、人間の運命の一部なんだろうか。そうしたら、俺はとんでもない人間と出会ってしまったのかもしれない。
運命だとか言うけど、俺は基本的に無神論者だ。人間は都合のいい時に神様がなんだとかああだとか、そんなふうに「神様」というものを軽々しく使うのだ。あれはいただけない。言葉が軽そうに見えて重いのは、言葉がないとものは存在しないからだ。言葉があってやっとそこにものが存在する。人間は軽い気持ちで神様を生み出して殺して、また空から降らせたりする。くだらないことだ。

今の俺にとっても、死の先は闇だけだし、まだ若いわけだから死にたくないし、もしも神様がいるような別の世界へを運ばれる、そんなくらいなら幽霊となり人の観察を好きなだけしていたい。
この幽霊、の存在だって人間が言葉を出さなかったら生まれないだろう、だって幽霊という言葉にしないと、人はそれが見えない。もしも視界に写っていたとしても、「未確認の何か」としか脳が受け入れないか、もしくは現実逃避のためにそれを背景の一部として認めてしまう、その他人間によって様々な処理が行われてしまう。「幽霊」という言葉があるからこそ、人はテレビから見える謎の物体を「これは幽霊だ」という共通の認識を持つ。言葉があってものは存在して、共通の意思疎通ができる。

そして、岸谷新羅にとっての「好きな人」は、まだ俺には見えていない。
夏の生物部で彼が残していった言葉の数々を拾って繋げても、それは言葉じゃなくてまだ「物を完成させる言葉の断片」だった。俺が思うに彼は俺にそれが「何か」を「話しすぎた」にも関わらず、俺にはそのものがなんなのか、という明確な言葉を見つけられなかった。
彼は何度もその「好きな人」の話をする。彼が部活を作ろうとしたのもその「好きな人」の為だし、彼の一つ一つの行動には多分「好きな人」の為にやっているんだろう。

彼は俺にしつこい位に、図書室で本を読みふけるような人間だった俺に「好きな人」のことを話す。ぶっちゃけうざい位には聞いた。彼が俺に最初に話しかけ、生物部創立に誘った理由はちょっと強引な理由だったが、俺はしばらくして彼の異質な点に気付き、興味を持って一緒に生物部を作った。

それから彼の言葉を嫌というほど聞かされたというのに、この自分が彼の「好きな人」を全部認識できていないというのは、すごく胸の中が騒がしくなる。この感情は何に対する熱なんだろう、と考えたときに見つけた答えが嫌で、トイレットペーパーの筒の穴に丸詰めて捨ててしまった。彼にしか見えない「もの」に熱を向けるなんて、ひとり遊びのようで虚しいじゃないか。

そんな未だにつかめない岸谷新羅との出会いと「好きな人」の存在。俺はもしかしたらこの先新羅達と一生会わないかもしれないし、もしくは腐れ縁のように繋がれているのかもしれない、彼の「好きな人」を認識し、この虚しい感情ごとゴミ箱に押し込めるかもしれない。考えても見えない未来を想像するのは不安でいて楽しいものだ。でも俺の考えたこと、それから思いつかなかった可能性のどれかは運命、もしくはレールに挟まっているかもしれない。そんなものあっても事故を起こしてレールを歪ませてみたい、そう思うのが俺だった。

自分は普通の人間よりも頭も良くて博識で、顔立ちもいい人間だと認識している。それから俺は普通の人間より人間を見ることが好きだ。学校集団でのクラスメイトを見るのが好きだ。自分の魅力の面を生かして周りを神様気取りで眺める、無神論者だけれど。これは軽々しく神様というものを使ったんじゃない。自分が「神様」という存在になることで、周りの人間にだって大多数の人間が言う「都合のいいときに現れる、使える神様」の存在になれるのだ。自分が「神様」になることで、薄い言葉で現れる筈の「神様」がずっしりと数倍重みを増す。それから人を救済して、突然姿を消したら、彼らはどうなるんだろうか?そんな理由だけで俺は好き勝手する。


こうして自分の存在を天才的な物に押し上げて、ずっと一人で楽しんでいた所に現れたのが岸谷新羅だった。俺の知らない「好きな人」という言葉を使って自分の世界を構築している、人間というものに、「好きな人」という存在以外に興味を持たない人物。彼にとっての「神様」を追い続ける、俺とは正反対の彼も天才。

この出会いは運命だったんだろうか?
運命とか偶然なんて言葉は、人間の人生という言葉になるとサイコロの面にしかなってくれない。確立した言葉なのに、なぜか抽象的なイメージをもってしまう。または現実逃避の為に、いい事や悪い事をそんなもので片付けたくないんだろう。実際、人の都合よく思っていた神様が存在して、一日ごとにドでかいサイコロを降っていてもおかしくないんだから。

実際どうなのかって?そんなの分かるわけがない。俺だって、都合のいい神様と、重みのある神様を彷徨っているんだから。

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