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彼女の第○次侵色【正沙】

「沙樹、濡れるぞ」
「え?…あ、」

久々の休日にふらりと二人で街に出て、ぶらりと散歩をする。久々に吸う新宿の空気は美味しいとは言えないが、ここのところ働き詰めで忙しかった俺たちには順分居心地はよかった。もうすぐ夏が終わる。セミは未だにうるさく鳴く癖に、どこかさみしそうである。
すこし大きなデパートで奮発してデザートなんて買ってみたりして、それから店を出て歩くと、ぱらぱらと降ってくるそれ。

「雨なんて久々に見たね」
「確かにな。ずっとあそこの事務所にこもってたし」

八月下旬といってもまだ暑さは残っていて、日陰の時はいいものの、日が照っている場所であるけば首筋に汗が滲む。寒いくらいに効いた冷房の館から出た俺たちには鬱陶しい暑さが、突然のにわか雨で少しマシになった。
さっきのデパートからは微妙な距離を歩いてしまった。走って戻れば近いが、どうせ濡れるなら家に向かってダッシュして、お風呂に浸かった方が気持ちがいい。それなら少し濡れながら帰ったっていいだろう。すぐ止むかもしれないなあと思いつつ、沙樹の手を取って雨避けになる所を探しながら歩いていく。

「せっかくの休日だったのにな」
「いいじゃん、お散歩したし、あそこの平日限定プリンだってゲットできたんだもの」
「沙樹が予想した、プリンのゲットできる時間帯が当たったからだよ。流石エスパーだな」
「あれね、臨也さんのところにいたとき、事務所に帰ってくるなりニコニコした臨也さんがくれたやつなんだ」
「あーーーー…そ、そう」

ここでまたあの野郎か。不意を突かれた俺があからさまに嫌な顔をしてしまい、沙樹は「正臣はしょうがないなあ」と笑いながら、未だにやまない雨つぶを見つめるように上を見た。

「雨って随分と雲に振り回されてるよね」
「え?」
「このにわか雨だって、偶偶雲が集まったから引き寄せられて降っちゃったんでしょ。お水だって、まだ雲の中で遊んでいたかったかもしれないのに。地面についちゃったらまた何年も地下で寝ていなきゃならないんでしょう?可哀想」
「沙樹は分かりやすいんだか難しいんだか、不思議な喩えをするよなあ」
「正臣みたいに、本当は地下で寝ていたいのに、怖いってだけで上の方で待ってるだけよりはマシじゃない」
「も、もーやめろって、分かったから」

彼女はこういうのが恐ろしい。そうやって傘すら持っていないのに、見えない傘の先っぽで不意に俺を突いてくる。

それにしても振り回される、か。俺は、俺はあの人に振り回されただなんて、言えるんだろうか。それだと人任せで、自分のやったことから逃げているから違う。いくらあの野郎に振り回されたとして、手のひらの上で転がされていたとして、最終的に動いたのは俺なのだ。結局俺から行動を起こして、そんな俺の背中を押しただけなのだ、折原臨也は。自分にもこいつにも反吐が出る。

考え事をしてゆっくりと歩いているあいだに、もうすっかり濡れてきてしまった。雨は勢いがある訳でもないのに、あの人の麻薬の様に、じっくりじっくり染みて取り返しのつかないことになっているのだ(今回は物理的にだけど)。


「正臣、体も頭の中も風邪ひいちゃうよ」
「…ごめん」
「帰ってお風呂入ろうよ、一緒に」
「ッ!」

沙樹はそうニコニコと笑いながら、同じように濡れてしまった髪を揺らしながら言う。髪から綺麗に雫が飛んだ。
冷たくなった体と頭に、彼女の暖かい笑みで色付けをして、沙樹の細い手を取り水たまりを踏みながら駆け出した。


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