ジャンル:アイドルマスター お題:小さな男の子 必須要素:バーボン 制限時間:15分 読者:689 人 文字数:1063字 お気に入り:0人

チョコレート・ボンボン

「あ、千早ちゃんも食べる?」
 無邪気な笑みで、天海春香は箱を差し出した。中には丸っこいチョコレートがいくつも入っている。
「ありがとう。せっかくだし、一つ頂くわね」
 如月千早は、一つつまみ取って口の中に入れる。咬むと、甘い香りと不思議な味がした。
「不思議な味ね」
 そういいながら、首をかしげる。飲み込むと、何だかからだが熱を帯びたような気がした。いや、実際、少し熱い。
「チョコレートボンボンだよ。食べるの、もしかして初めて?」
「えぇ、そうね。確か……お酒入りの……」
「そうだよー。社長がバーボンを余らしてて、使ってみたんだ」
「コレ、私たちが食べても大丈夫らの?」
「うん、大丈夫だよ……って。もしかして、千早ちゃん、お酒弱い?」
「飲んだことないから、わかんらい」
 すでに舌が回っていないことに、本人は気付いてないらしい。さらに、もう一つつまもうとして、春香に止められる。
「ちょ、千早ちゃん。だめだよ、お酒弱いなら、だめ!」
「んむー、春香ってば意地悪……」
 普段の千早なら、見せない表情で文句をいう。
「れも、懐かしい味だなとも思ったのよ。それで、食べたくなっらだもの」
「懐かしい味?」
「えぇ、なつか……」
 そこで言葉が途切れ、意識は混濁する。慌てた様子の春香に抱きとめられたところで、如月千早はすぅっと眠りについた。
 夢の中で思い出すのは、小さな男の子とチョコレートを食べていたときのこと。私の弟……そういえば、もらいもののチョコレートを勝手に食べたことがあったっけ。
 あのときも、途中で眠たくなって、二人で気がついたら寝ていたっけ。
 起きたら、途端に両親に怒られたりもしたのよね。懐かしい。
 懐かしいと思いながら、次第にその光景が遠ざかっていく。手を伸ばしても届かない。
「お、目を覚ましたな」
「プロ……デューサー?」
「まったく、心配させやがって」
 そういいながら、やさしく額を叩かれる。
「え、プロデューサーっ!?」
 身体を起こして、自分が膝枕されていたことに気付く。
「……す、すみません」
「謝るほどのことはないけどな。今度から気をつけろよ」
 そういいながら、頭をなで回される。ほがらかな笑みを見せられると、反応に困る。
「はい」
 懐かしい思い出は、届かないけれど、イマココにある瞬間は思い出にできる。
 あのときのことを思い出すと出てきそうな涙をそっとこらえた。
「ご心配をおかけしました。今日もよろしくお願いします」
 私らしく、笑おう。再び、そう思うのだった。

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