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仁義無き戦い

 最近どうにも、やすなの様子がおかしい。ソーニャは昼食のバードカフェおせちを食べながらそんなことを考えていた。
 常人と比べると様子がおかしいのはいつものことなのだが、ソーニャがやすなの異変に気付いたのは一週間ほど前のことだ。
 やすなが身体を動かす度に、金属音のようなものが小さく鳴っている……ような気がする。ソーニャは最初、自分の空耳に過ぎないと思っていたが、それからというものの、いつものようにオイタをするやすなにツッコミを伴った物理的なダメージを与えようとすると、その皮膚が人間離れをした固さを持っているように感じるのだ。実際、普段なら肋骨の一本でも折れていたっておかしくないボディーブローをお見舞いしてみたが、逆にソーニャの手の指が本来曲がってはいけない方向に曲がってしまっていた。
 やすなが機械化しているのではないか。そんな疑念がソーニャの頭をよぎる。よく見るとちょっとネジが出ていた。
 どうせこれは、あぎりのイタズラに違いない。ソーニャにはそんな確信があった。奴もいよいよ人体改造に手を付けるようになったのか。
 だとするとちょっと問題だ。普段のツッコミが効かなくなってしまえば、やすなはますます増長し、バカ特有の行動原理から生じるオイタは今以上にヒートアップするだろう。今度は天皇に手紙でも渡すに違いない。
 嫌な予感はそれからほどなくして的中した。ソーニャの机にやすなからの果たし状が入っていたのだ。付き合っていられないと思いながらも、ソーニャは重い足を引きずり、呼ばれるがままに屋上へと向かった。

「きたね、ソーニャちゃん! 今日は決着をつけるからね」

「なんの決着だよ。いつお前と私が争ったんだ」

「いっつも厳し目のツッコミをしてくるソーニャちゃんに対抗すべく、あぎりさんに頼んで機械の体を手に入れたんだ!」

 なんということだ。これはやすなの自発的な改造だったのだ。だったら頭の中もいじってもらえばよかったものの。

「さあ、遠慮はいらないよソーニャちゃん。行かないならこっちからいくからね!」

 やすなの姿が消えた。

(――早い!)

「捉えたよ、ソーニャちゃん! 斬影拳!」

 やすなの攻撃がソーニャのみぞおちにヒットした瞬間、カチッという音がした。

「へ?」

「バカ、そこは私の自爆スイッチ……!」

 瞬間、世界は崩壊した。ソーニャもまた機械だったのだ。一方あぎりは彼の船に乗って地球から逃げていた。 

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