ジャンル:青の祓魔師 お題:暗い少数派 制限時間:1時間 読者:1728 人 文字数:2086字 お気に入り:0人

雨に歌えば(超模造アスタロト注意) ※未完

もしこの世界が、明日終わるとしても。
それはそれで構わない。

どうしようもなく気分が落ち込んだ燐は、雨が降っているのに傘も刺さずに公園のベンチに座って俯いていた。
じっとりと雨が染みんだ服が肌に張り付いて気持ちが悪い。だけどここを動く気力すら湧いてこない。

切っ掛けは何だったのか、今となっては思い出せない。よくある雪男との喧嘩が言い合いからつかみ合いにまで発展して、つい手を挙げて殴ってしまった。燐が手加減をしたつもりでも、雪男のメガネのフレームが曲がり、レンズにヒビが入った。殴られた衝撃で壁に背中を打ち付け、ふらつく雪男をみた瞬間、ものすごい罪悪感が湧き上がって、燐は耐えられずに外へと飛び出した。

誰かを守りたい、助けたいと願うのに、己に宿る悪魔の力は他人を傷つける。大切な血を分けた弟ですら、この手で痛めつけてしまった。
やっぱりこの世界でまともに生きていくのは難しい事なのだろうか。その身を犠牲にしてまで俺を活かしてくれた父さんにも申し訳ない。だけどこれ以上、誰かを傷つけて生きていくのは辛くて、悲しくて、苦しい。

目元がじんと熱くなる。自分が可哀想で泣くなんてこの上なく情けなくて、カッコ悪い。自己嫌悪にまで苛まれて燐は奥歯を噛み締めた。

「今晩は、ご機嫌いかがですか?若君。」

すぐ近くから声がする。聞いたことがあるようなないような、それでもその言葉の口調と独特の響きには嫌というほど記憶に刻まれている。咄嗟に顔を上げると、白髪の少年がたってた。その顔に浮かべる笑顔は微笑んでいるはずなのに、どうしても裏があるかのように歪んで見えてしまう。

「見て分かんねぇのか?最悪だよ。」

名前が浮かんでこないので取り敢えず睨みつけながら吐き捨てる。精神的に追い詰められているこの時に上級悪魔の相手なんかしたくない、まともに戦ったところで勝ち目は薄い。焔を使えば追い払うことぐらいできるだろうが、またメフィストに反省書を出せとどやされるのが面倒くさい。そうだ、何もかも面倒くさい。もうなにも関わりたくない。さっさと目の前から消えてくれないだろうか。疲れてささくれだった心がむき出しになったかのような鋭い殺気をふつふつと腹の底で沸き上がらせながら燐は目の前の悪魔をただ睨みつける。

燐の敵意と殺意が篭った視線をうけた悪魔、アスタロトはため息をこぼして恍惚と微笑む。それが本能的に非常に不快と感知した燐は素早く立ち上がって距離を取ろうと後ずった。

「ああ、実にいい目ですね。睨まれただけで殺されてしまいそうだ。…そろそろ愚かで自分勝手な人間達に、絶望しましたか?」

「お前には関係ない。とっとと虚無界に帰れ。」

八つ当たりの苛立ちを静かな怒りへと変換し、燐は滾るままに視線へ殺意を宿らせてアスタロトを睨む。見透かされたような言葉が腹立たしい。この悪魔に一体自分の何がわかるというのか。何もわからないのに分かったように諭される言葉が苛立ちを煽ってゆく。
わざと燐を怒らせるような言葉を選んでいるのもアスタロトの作戦ではあったが、燐は気づいていない。燐に睨まれても尚、嬉しそうに微笑むアスタロトは、一歩ずつ燐との距離を詰めるように歩いてくる。そして歌うように軽やかな口調で、燐を誘う。


「ええ、帰りますとも。そのために此処へ参りました。さあ若君、共に虚無界へ帰りましょう。」

「ふざけんな!一人で帰れ!俺にはまだ此処でやる事がある!」

アスタロトと距離を取ろうと後ずさるが、燐の背後はすでに壁だった。自分の迂闊さに舌打ちした燐は倶利伽羅をいつでも抜けるように手にかけながら、前方を睨んだ。嬉しそうにほくそ笑むアスタロトが気持ち悪い。

「人間に差別され、蔑まれて、血のつながった弟にすら存在を認めてもらえなくても?それでもこの物質界で貴方に目的があるのですか?」

「黙れ!!お前に…、何が、何がわかる……!!」

軽やかに歌うように、聞きたくない事ばかりをしゃべり続けるアスタロト。カッとなった燐は感情を抑えきれずにその身に青い焔をうっすらまと、がなるように吐き捨てた。燐の見開かれた目には怒りと悲しみ、そして追い詰められて怯えるような色が宿っている。
その表情ががたまらなくアスタロトを高揚させる。獲物を追い詰めるような胸の高鳴りと、身分が上のものに楯つこうとする背徳。それらがゾクゾクと背筋をわななかせる。
そして燐にばかり気を取られてアスタロトは気づいていなかった。背後に迫る、もうひとつの気配に。

「全く、油断も隙もない。アインス・ツヴァイ・ドライ☆」

突然登場したもう一人の悪魔の方へビクリと顔を向ける燐、そして振り返るアスタロト。二人からの視線の先には場違いな白とピンクに彩られたピエロのような悪魔、メフィスト。
いつものスリーカウントを唱えると、あっという間にアスタロトは虚無界はと強制送還された。送還される寸前におのれサマエル!と吠えていたがメフィストは気にも留めずに、燐の方へと歩いていく。

近寄ってくるメフィストにm

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