ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ お題:知らぬ間の帝王 制限時間:1時間 読者:473 人 文字数:1526字 お気に入り:0人

杯盤狼藉キングストーム


  ††

 長い眠りから目を覚ますと、そこは阿鼻叫喚でした。
「…………」
 いくらボクが賢くて聡明だからといって、寝惚けた頭で状況を把握するのはムツカシイというものです。ひとまず視界の端に留まったお水を飲んで一息吐こう、そう思い、グラスを手にとってそれを飲もうとして。
「これ、お酒じゃないですか……」
 間一髪、飲む直前に気付いてよかったです。よくよく見ると、細かい気泡がしゅわしゅわと、飴色の液体の中を水面目指して泳いでいます。ということは、これはシャンパン、というやつでしょうか? ボクはまだまだ未成年なのでお酒は呑めませんが、酒豪で上戸で左利きな誰かさんのお蔭で、なんとなくお酒についての知識は増えていたりします。
 そう、誰かさんのお蔭で。
 いや、誰かさんのせいで。
 その誰かさんは今、ソファの上で謎のガッツポーズを取ったまま眠っています。あれは一体、何のガッツポーズなのでしょうか。意味がわかりません。理解しがたいです。しかも目が半開きです。怖いです。あの体勢で熟睡しているというのも驚きですが、これで実は起きているというのであれば、それはそれでホラーです。怖いです。小梅さんでもびっくりしてしまいそうな話です。
 そうです、原因は楓さんなのです。
 きっと他の三人も、ボクと同じように楓さんによってノックアウトされてしまったのでしょう。KOのKは、かえでのKです。きっと。
 アナスタシアさんはエビチリソースで口元を真っ赤に染めたままブランケットに包まっていて、凛さんはうんうんと呻き声を上げながら苦悶の表情で床に転がっています。静かに近寄って呻き声を聞き取ってみると、艶やかな唇が「か」と「え」と「で」の三文字を延々とリピートしていました。きっと夢の中でも楓さんの一挙一動に頭を悩ませているのでしょう。おいたわしや、凛さん。
 そして、蘭子さんです。
 蘭子さんが、一番悲惨です。
 一言で言えば、ばたんきゅ~の様相です。矯めつ眇めつ眺めて見ずとも、口元やら首元やら、至る所にアイドルがつけてはいけないキスマークがたっぷりとついています。それが一体誰の仕業かなんて、言わずもがなでしょう。服はまるで何かに襲われたのかと見紛うぐらいしわくちゃに乱れていて、ボクはなんとなく、ゴスロリな服ってクリーニングに出せるんでしょうか、などととんちんかんなことを考えていました。大変そうです、ゴスロリ衣装の管理って。
 着てみたいといえば、まあボクに似合わない服なんてありませんから、ゴスロリも着てみたいですけど。
 閑話休題。
 そこでようやくボクは、テーブルの下に散乱していたそれに気付きました。薄茶色の見慣れた木片が、五本。割り箸、でしょうか。気になって手にとって見ると、その割り箸の先っぽには数字が書かれていました。
 1、2、3、4、そして――王冠のマーク。
 嫌な予感がして、僕は咄嗟に振り返りました。杯盤狼藉を絵に描いたような打ち上げ会場を見渡して、必死に自分の記憶を掘り起こします。テーブルの上のタバスコ、アナスタシアさんの口元のエビチリソース、誰の物かわからないラメ入りルージュ、凛さんの妙に艶やかだった唇、蘭子さんの体に構わずスタンプされたキスマーク、楓さんが維持い続ける謎のガッツポーズ。
 そして、小さな鏡に映ったボクの、薄くキラキラと星のように瞬いている唇。
 そのタイミングを見計らって、楓さんが寝言のような譫言を呟きました。
「……幸子ちゃ~ん……これ、いつまでやればいいのぉ~……?」

 はてさて、記憶にございませんが。
 いったいボクはいつの間に、邪知暴虐な王様になっていたのでしょうか?

  ††
 

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