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髪を切ったから、靴を買おうと思った。 ※未完

姫シノとゆるふわゾディ


靴を買おうと、思った。
基本的に我々ゾディアックというものは、浮くものだ。肩から背中にかけて纏うようにしている発動機は、エーテルを利用してある程度は自立するようになっている。そうして、ちょっとだけ地面にばいばいして、移動する。だけど正直、自分のような、未だに基本的なエーテルの操作にすらある程度の意識の集中を要する半人前の星詠みには、それを保持して浮遊移動するのはだいぶ辛い。

「だからね、靴を買おうと思うの」
「むしろ貴女が今までその今にも穴の開きそうなブーツで今まで迷宮に潜っていたことの方が私としては驚きですね」
「うん、まあ、お金なくて」
「で、歩くんですか? あれを担いで?」

蝶亭の端っこ、四人がけのテーブル。私と彼女が向かい合って座っていて、残りの席には荷物が立てかけられていた。
薬やら糸やらの入った袋、これから売りに行く採取物の入った袋、彼女の短剣や苦無、そして私の発動機。ごつい見た目に反さず、案外重いのだ、これが。

「あれを自力で運べるくらい、歩いて体力つけようと思うの」
「そんなことよりエーテルをまともに制御できるようになるのが先だと思うんですけど?」
彼女はそう言うと、糾弾するような目をしながら、肩口に掛かるか掛からないかくらいの、自身の髪に触れた。私が彼女の長い髪の先を焼いてしまったのは三日前のことで、一昨日彼女は一日中部屋に籠っていた。私が扉の前で一日中謝り倒してようやく出てきた彼女が告げた示談条件は、「私が今から美容院に行くための金を出せ」。
しかし帰ってきた彼女の顔はまあ、行く前よりむすっとしたものだった。なんだこの童女みたいな髪型は、とかぶつくさ言いながら、空になった財布を私に向かって投げつけて来た。痛かった。

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