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しろ

よくわからない空間にいた。確立した空間といえば床ぐらいで、終わりの見えない左右だとか白くてどこまで高いのか判別出来ない天井だとか、そのうち果たしてこの空間は"白"と表現していいのかすら分からなくなってきてしまう始末。とんとん、と床をつま先で蹴れば硬い音は返ってくる。じゃあ左右は?と辺りを見渡せど壁と形容できそうな物が一切ない。……さて、どうするべきなのか。

「勇者さん」

耳に心地よい、きき慣れた声が聞こえたものだから反射的に後ろを振り向いた。そこには確固たる黒がいつもと同じような顔と見てくれで経っていた。ロス、ここっていったいどこなの?僕、どうしてここにいるのかだとかここがどこかなのかとか全然分からないんだ。そう聞こうとして歩みを進めた瞬間気付いた。……なんでだろう。僕はさっきからしっかり歩いてロスの元に向かっているはずなのに一向に近づかないのだ。まるで、床が動いてしまっているかのような感覚。唯一確固たるものとして存在していた床でさえ信じられないというのか!僕は少し絶望しながら必死に足を進める。それなのに、目の前にいるはずの確固たる黒には近づけないし、終いにはどんどん遠ざかってさえいる。ロス、ロス。なんで離れるの。置いていかないでよ。"あの時"みたいにお前を1人にはしたくないし、僕も1人はもう嫌なのに。

「勇者さん。ここ、俺は好きなんですよ」

さっきまであんなに詰められなかった空間が、ロスの一歩によってまるで最初からそんなのなかったかのように詰められてしまった。どういう事なんだかまったくもって分からない。僕がいくら歩いても近づけなかったその数メートルを、彼はいとも簡単に来てしまったのだ。
――嗚呼、狡い。いつも通りじゃないか。近づいてくるだけ近づいてきて、自分のペースでまた消えちゃうんだろう。

「何がなんだか分からないでしょう?確固たるものが何もない。床だって今の事でもう信じられないし、天井とか壁だとかそういったものもない。ここはね、そういう空間なんですよ。ねぇ、勇者さん。貴方の信じられるものって、どこですか?」

そのままロスは極めて楽しそうに俺を抱き締めた。微かな体温と落ち着く匂い、そして視界に広がる"黒"。床も天井も、そして自分という存在も、何も信じられないこんな空間で信じられるものは、1つしかなかった。

「お前しかないじゃないか、ロス!その質問はまるでお前みたいだよ。狡くて、そのくせ逃げ道がないんだから!」

そうですか。ロスは一言だけ呟いて、俺の耳を塞いだ。何かを言っているようだが、それは誰に向かってなのかも分からないし何を言っているのかも分からない。でも、それでいいかな、と思った。こうやって、この空間の中で、信じられるものがあるなら、それで……。



「勇者さん、俺の魔法ってなんでもありなんですよ。この空間は俺と勇者さんの為だけに創ったんです。何もないでしょう?天井も壁も床も分からない。そんな奇怪な空間を創るのは本当に苦労しました。でも、勇者さんがこうやって俺を頼ってくれるんだから創った甲斐もありますよ!俺の黒が、酷く気に入ったみたいですね、勇者さん。大丈夫ですよ、もう離れないし離しません。俺だって、勇者さんのそのオレンジ色しか信じられるものがないんですから……」

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