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その時に色をつけて


エレミカ 一週間フレンズパロ


いつも一人でいるそいつは、全身真っ黒で何だか不気味な様相をしていた。頭も良くて、運動だって完璧なのに不思議と目立たない。容姿のことはよくわからないけれど、ジャンはそいつのことを綺麗だ、と言った。アルミンも。だからきっといい部類に入るんだと思う。そのはずなのに、死んだような目でバッグを背負い学校にやってきて、死んだような目で教室を去っていくそいつはまるで死刑囚みたいに見えて――だから興味を持ったんだった。

「…なに」
エレンの目の前のクラスメート、ミカサ・アッカーマンはすこぶる不機嫌そうだった。あまり高くない、色の無い声が更に低温度になっている。しかし彼はそんなことも気にせず、横のアルミンもどこ吹く風でアッカーマンに愛想よく笑いかけた。
「アッカーマンさんだよね?一緒にご飯食べてもいいかな」
「……」
ミカサは戸惑ったように黒い瞳を揺らめかせたがすぐに目を伏せ首を振る。「だめ」と小さな声の否定が唇からこぼれ落ちた。
「へえ、うまそうなもん食ってんな」
エレンはミカサの横に腰をおろし、手に持っている弁当箱を覗き込む。ミカサは一瞬きょとんとして二人を見つめていたが、すぐに目つきを鋭くした。殺気を感じるほどの、なかなか迫力のある目だ。
「一緒に食べないって言った」
「何で?お前どうせ友達いねえだろ、それに俺らがここで食べるかどうかは俺らの勝手だし」
「…エレン、言葉は選んでよ…」
横でアルミンが大きなため息をついたけれどエレンは気にしなかった。エレンには友達がいて(アルミンだけけれど)、ミカサにはいなかった。エレンは自分の性格も頭もいいほうではないことを知っている。それなのに自分には友達がいて、それなのにミカサにはいない。頭もいいし、運動だって出来るのに。ミカサはまるで、友人を作ることを拒絶しているように見えた。それがエレンには不思議だったのだ。
「……」
ミカサは大きくため息をつく。食べかけの弁当のふたを閉めると、ナプキンで弁当箱を包み立ち上がろうとした。と、その腕をエレンが強い力でつかむ。
「おい、全部食べてけって」
ミカサがクラスメートに触れられたのはそれが初めてだった。何の躊躇もなく、引きとめる様に。ミカサはびくっと体を震わせた後反論しようとエレンを見下ろす――そこで、彼の真っ直ぐな瞳と視線があって体をこわばらせた。
「………」
自分でも何故かわからないまま、足の力が抜けるのを感じた。すとんとその場に腰を下ろす。エレンはよし、と言って満足気ににっと笑う。


中略(なんやかんやあって仲良くなる)

「…もう、私に喋りかけないでほしい」
トランプをアルミンとしていたエレンは顔をあげた。表情を変えないまま、「何で」と淡々と聞く。ミカサはぐっと唇をかみしめた。彼のこの表情は苦手だ。余計なオブラートが全くない、抜身の刃のような瞳。嘘が、つけなくなる。
「私は、一週間しか記憶がもたない」
ああ。絞り出した声は震えていないだろうか。
「何でかはわからない、でも…友達のことを忘れてしまう、仲良くなればなるほど、消しゴムで消されたみたいに」
アルミンの表情がゆっくりと凍っていく。賢い彼のことだから、きっとそれが何を意味しているのか、それがどんなに深刻なことなのかよくわかっているのだろう。エレンの表情は変わらない。じっと、こちらを見つめているままだ。
「だから、明日になったら全部忘れてしまう。エレンのことも、アルミンのことも…笑ったり、喋ったり、挨拶したり、そんな些細なことまで全てが、だから」
アルミンがミカサ、と言った。ああ、明日には彼が自分のことをそう呼んでいたことも忘れてしまう。呼ばれても違和感しか感じなくなる。せっかく仲良くなれたのに、全部全部なくなってしまう。
エレンはこちらをじっと見続けている。不思議そうな顔で。口を開き、さも当然だというように
「また、来週友達になればいいだろ」
と言った。
「…え?」
ミカサは嗚咽が漏れそうになっていた口をぽかんと開けてエレンを見つめた。エレンは何泣きそうになってんだよ、といつものように悪戯っぽく笑う。「来週もよろしく、ミカサ」と言って目を細めた。


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