ジャンル:デュラララ‼ イザシズ お題:地獄の血液 制限時間:1時間 読者:726 人 文字数:1836字 お気に入り:0人

空砲 / サバゲ静雄 イザシズ

 俺は今森と一体化している。
 静雄はそう頬を緩ませながら、ギリースーツの顔部分を被り直し川べりの茂みに伏せている。
 愛用のアサルトライフルは定番のAKS-74U-UBN。銃剣は左腿に装着済み。装備の一式は青い縞が可愛かったのでスペツナヅの物を使っている。この一式を静雄に譲ってくれたおっさんに感謝しながら、静雄は表面を撫でる。
 部品が少なくて頑丈で、手入れがしやすい。馴染めばお前のになるよと言われた銃だ。
 こうして、森と一体化しても変だと思われないのでサバゲは素晴らしいと思いながらせせらぎを聞く。耳を地面につけ、何かが地を擦る音がするのを僅かに感じると、腰に付けたMP-446小銃の抜き具合を確かめる。タクティカルベストに付けたホルスターから容易く抜ける事を確認しながら、ゆっくりと音の方へ体を転がす。全長の短いAKだろうが、何だろうが自分の筋力ならばストックなしで反動におかまいなく撃つことが出来るという分がある。3.2.1…。
 ひょこっと顔を出したお仲間に向かって静雄は構えていたAKSから容赦なく弾を撃つ。3点バーストで、タタタと三連射された弾は容赦なく腹に当たり、相手の弾は静雄の横を過った。相手は両手をあげる。
 ああ、しばらくここに居たかったなと思いながら静雄はさっと装備をまとめると、音で気付かれただろう場所から移動を開始する。死体役の男は死体の目印を付けてそこへ転がったので、舌打ちをしたい気分だった。
 自分を狙いに来た相手を待ち伏せられるポイントは見つけてあるし、そこにはあらかじめ鳴子のトラップをかけているので、まだばれていないだろうと移動しようとした時、視界の端に光が見えた。スコープ、そう思った時には体は駆け出し、その場にガス銃独特のプシっと言った音を立てて着弾を確認する。そのまま走り抜け木立の中に紛れて、そして弾の来た方角を確認するが、そうそうにスコープにカバーをかけ姿をくらませたのだろう、人影はない。今日のメンバーで、狙撃銃を備えて、あの辺りに潜みそうな人、と頭を巡らせるが面倒になる。ああ、いけば済むか。
 両手に抱えたAK一丁を片手に持ち直しマガジンを一応確認、もう片方に散弾銃、イズマッシュ・サイガを抱える。面と線、至近距離と中距離を左右で使い分ける為だ。そもそも、静雄の銃の命中率は余り高くない。それでも、脚力と相手に恐怖を抱かせる気迫はある。
 さて、と、固いミリタリーブーツがしっかりと地面を噛むのを確認しながら静雄は飛び出す。まさか、出ると思わなかったのだろう、慌てた様に静雄が飛び出した場所に着弾するがもう遅い、静雄はそれこそ弾丸の様に真っ直ぐに飛び出している。スコープなしの狙撃と言うのもあるだろうが、それでも、こんな顔を見られなくて良かったと思う。
 まだ当たらない距離だろうが、AKの銃口をしっかりと向ける。重さも走る事による手振れも物ともせずにぴったりと。それでまた、恐怖から引き金を引くタイミングがずれる。ああ、楽しいと思う。
 今静雄は偽物の殺意の塊の服を着て偽物の凶器を振り回している。池袋ではこうはいかない。
 暴れるのに向かないバーテン服で、走るのに向かない革靴で、笑ってしまう様な街そのものを手にして本気で傷つけあっている。
 ああ、あんていう非日常!そう思いながらパルクールで一気に狙撃手のひそむ土手を上りきった瞬間に後ろから撃たれた。
 「へ?」
 ああ、残念だと思いながら、本物の兵士の様に怯える相手を前に静雄は両手を挙げた。降参だ。


 夕方まで遊んだあと、お仲間は帰ってしまったので静雄は一人コンテナに座り銃の目隠し解体を行う。もう指先が覚えてしまったのに、一つバネが見つからず、目を開けると臨也がばねを弄んでいた。
 「ねぇ。こんなごっこは楽しい?」
 などというから、うるせぇ、と、最早銃を抜くとかそんな事も考えずに相手に手を伸ばす。
 森に紛れる装備が、手入れをしたおもちゃの銃が、サバゲのルールが、好きな筈なのにどうして全部吹き飛んでしまうのか、それを悔しく思いながら木を引き抜いた。
 臨也も本物のナイフを抜く。
 「なぁ臨也君よぉ。そんなカッコでサバゲかよ。だっせぇーな。せめて、ハンドガンでも持って来れば遊んでやったのによぉ」
 「はは、君と遊ぶ趣味なんか俺にはないね」
 そうして、大好きな偽物が又此奴の手で此奴に踏み荒らされてぐちゃぐちゃに壊れていく音がした

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