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雅枝さんの誕生日は11日だかんね!

 かち、かち。……しゅぼっ。

 やかんを年期物のコンロにかけ、愛宕雅枝はキッチンからリビングへ戻る。
今日は休日。ちょうど朝のニュース番組は終わり、主婦をターゲットにした半バラエティのニュース番組が始まるくらいの時間だ。
娘たちは高校の麻雀部の休日練習で、すでに家にはいない。
本来なら千里山女子麻雀部の顧問である彼女も、そろそろ家を出なければならない時間なのだが。

(――なーんで、こんな時期にインフルエンザなんか流行るんやろ。まったく)

 千里山女子では、季節外れのインフルエンザが大流行していた。
生徒の多くがインフルエンザで倒れ、出席停止となっていることを重く見た校長は、すぐさま学校の一時休業を宣言。
そのおかげでインフルエンザにかかっていない生徒は喜びガッツポーズ、ハイタッチをすることになったし、その一方で雅枝は――

「暇や」

 こうしてまったく興味もない番組を見ながら、テーブルの煎餅をむしゃむしゃばりばりと食べる以外にすることが無くなってしまったのであった。

「ひーまーやー」

 テレビの中では殆どタレントのような扱いをされているアナウンサーが、「うっわ、これ見てよすこやん! 今なら50%オフだって……あ、でもすこやんみたいなアラフォーにはこんなフリフリの服キツいよね」なんてコメントをしていた。

「……おもんな」

 リモコンに手を伸ばし、チャンネルを変える。
一通りザッピングしてみたが、ロクな番組が無いことを知ると、雅枝はため息を吐きながらテレビの電源を落とした。

「……ヒロとキヌの部屋でも除いたるか。久しぶりに」


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「……アカン」

 あまりにも暇すぎて、「なんかおもろいもんでもあれへんかな」なんてボヤきながら娘、洋榎の部屋に入った雅枝。
そんな彼女の目の前に飛び込んできたのは。

「いや、これはアカンて。ちょっと、急すぎるっていうか……」

 青い包み紙。丁寧に結ばれたリボン。
「オカン、いつもありがとう」と書かれたカード。

「――プレゼントやん」

 どうみてもプレゼント。
そういえば、そろそろ私の誕生日だったっけ。

「……」

 まだ熟していない、青いプレゼント。
こんなものを見てしまい、雅枝は。

「――気まずいわぁ……」

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