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答えなど無い

「あのクソ神父本当に連れて行く気かよ徐倫」
心底嫌そうに顔を歪ませたF.Fが後方から借りてきた猫よろしく大人しく付いてくるプッチを指差した。
「仕方ないじゃない。それもこれもあんたのアイディアじゃない」
「あーっ!そういうのって責任転換って言うんだぜ!!」
「”閃いたっ!ねえ徐倫の父さんなら見付けられるんじゃない!?ほら引かれ合う感覚ってヤツでさ!!”って言って一番近場のヤツ目指して歩いてみたら何だ。一番会いたくないのに出会っちまった。――それに何だこの空間。其処ら中から気配醸し出しやがって…、父さん、ウェザー、プッチの野郎以外あたしは知らないってのに。いち、に、さん……少なくとも似たような感覚が十近くあるってのがそもそもおかしいのよ」
「ねえ、それってあたしの真似?真似なの?全っ然似てない!つかさ、とっとと始末するなり置いてくなりすりゃあ済むハナシじゃん!何であいつを殺させてくれない!?」
「・・・。まあ初っ端からプッチ神父に出くわしたのは想定外だったわ。でも、今のこいつは目も見えねえ、耳も聞えねえ、口も利けねえ。おまけに幽波紋だって出せない(単純に出していないだけかもしれないが)」
「で。攻撃を仕掛けて来ないから連れてくって?お前なあ…」
「いや、攻撃はその内してくる。恐らくあいつの手に絡んでいる糸であいつもあたしの正体が分かったはず。最後まで大人しく付いてくる保証は無い」
「じゃあ――、殺るか。いま、ここで」
「待って」



「伝わるのよ。あいつの心情があたしの糸を伝わって。あいつは戸惑ってる。さっきのあたしみたいに。そして、……試している。あたし達がどんな行動を起すのか見極め、判断しようとしてる」
やおら立ち止り、プッチが来るのを待っていた徐倫は彼の手を取り文字を綴り始めた。

『今日はここで休む。身体への疲労は無いが、心を休める為にここで休む。分かったな』

最後の文字を書き終えたのと同時にプッチが浅く頷き、何も無い闇に腰を下ろした。
徐倫はプッチから距離を置き、終始威嚇態勢をとっているF.Fの隣に屈み膝を抱えながら座った。
闇の中に浮かぶF.Fとプッチを見比べる。どちらも同じくぼんやり浮び上るように見えるだけで鮮明には見えない。だが、此方を見る眼差しだけはっきり見えた。意思そのものに比例して鮮明に見えるのかは定かでない。少なからず視力を失っているプッチの瞳は色が濁っていても徐倫の目にははっきり見えていた。
肩膝を抱き寄せ、腕を枕がわりにして真向いに座るプッチを何となしに眺める。
視点が合わない目はズレた方向をずっと見続け、たまに目が合ったとしてもやはり虚空を仰ぐようにズレていた。
知らない内に寝息を零すF.Fの頭を撫でていれば、不意に何かを感じ、F.Fに向けていた顔を正面に戻した。
徐倫のいるであろう方向に真直ぐプッチ神父の視線が注がれていた。
「(まただ。またこっちを見てる…)」
視線を絡ませ対峙する。無意識に生唾を飲んだ。とっくに止まっている心臓が勢いよく鳴り出し、乱れる息遣いを無理やり押し込んだ。
寝ているF.Fを庇い戦闘態勢をとれば徐倫の背後に幽波紋が音も無く顕現する。
このままプッチに絡ませている糸を引き寄せる勢いのまま拳を振り抜くことだって容易い。
だが徐倫は躊躇った。
プッチが絡めている手とは逆の手で手招きしている。何度も何度も何度も。いるかも分からない場所に向って徐倫を呼んでいる。
下手な芝居。乗るも乗らないも徐倫次第。でも知っている。糸を手繰れば何時だって本体の場所に辿り着けれるのに、あえて酔狂なことをするプッチ神父に徐倫は躊躇った。
「…いいわ。誘いに乗ってあげる」
強気に言うが額に汗がにじみ出る。
休んでいるF.Fを何時でも逃がせるように守れるように背で隠し、プッチの傍に近寄る。
寸分の動きすら見逃してはならない。緊張した面持ちでやっと真向いに近寄れば流れる空気で分かったのかプッチの招いていた手が前方に伸ばされ。反射的にその手を掴んでしまった。
攻撃されるかもしれない。そんな疑念を頭の隅に抱いている間にも徐倫の手であることを確認したプッチは徐に掌を仰向けにさせ、先程まで徐倫がしてくれていたように黒い指先が徐倫の掌に文字を綴り出す。

『空条徐倫。何故私を殺さない』

間を置いて徐倫がプッチの掌に綴る。

『その質問そっくりそのままお返しするわ』

プッチの指先が小さく跳ね、緩やかに綴り出す。

『なら何故置いていかない。関わらないという手もあっただろう。同情でも抱いているのか』
『それなら、あたしだと分かっていて何でお前はあたしを殺さない。糸で大体の位置が分かっているにも関わらずに、だ』

徐倫の綴った言葉を最後にプッチは文字を綴らなくなった。
黒い指先はただ徐倫の白い掌に置かれ続け、その内自分自身の中にある疑問を問い掛けるように徐倫の手を握り締めるだけであった。

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