ジャンル:スラムダンク お題:裏切りのデマ 制限時間:15分 読者:869 人 文字数:658字 お気に入り:0人

【腐向け・仙牧】忘却の日へ ※未完

 鳴り響く警報の音は、いまや鳥の囀りと然して変わらぬ日常の音響になった。しかし、それでも彼は耳にする度一瞬、怯えにも見える表情の変化を見せる。気付かれていることには、気付いているだろう。情けない等とは思わない。彼にしてみれば当然だ。むしろ自分の方が鈍ってしまっただけなのだ。
 この国の長い平和は、それは確かに幾度も危うい場面はあったけれども、このまま恒久に続くと誰もがどこかで思っていた。少なくとも一般の民は。それが崩れて、国は分断された。手短に説明すれば、地方から起きたテロリズムに端を発し、首都である東京は孤立した状況となっていた。仙道は、封鎖が厳しくなる少し前に親元に連れ戻されていた。牧は、親元の神奈川に残った。はじめは軽く考えていた。電車で一時間もかからない距離での逢瀬が、こんなに危険を伴い人目を憚るものになるなどとは想像していなかった。
 この日も、彼らは警備の目を掻い潜るように落ち合い、愛情を囁き合っていた。その牧のすぐ背後に迫った、純正政府の腕章をつけた男がが、銃を彼に突き付けるまで。
 「こいつだな」
仙道は頷く。
「……仙道……?」
全く事情の呑めない牧は、仙道の目を見る。その視線はやがて憤怒を含んだものになっていった。
「お前、まさか。オレを……」
「確かに彼です。連れて行ってください」
この牧に、「情報を流せとたぶらかされた」仙道は、男を促す。
「仙道!」
 彼の叫びが荒涼とした街にこだまする。これでいい。十八に満たない彼は、それなりに過ぎない対処を受けた後、解放されるはずだ。

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