ジャンル: お題:犯人は巨人 必須要素:2000字以上3000字以内 制限時間:30分 読者:726 人 文字数:2720字 お気に入り:0人

「一撃だ」


「シャババババーッ、指名はこのソウちゃんとやらだーーーーーッ!!」
「はい、爽(ソウ)ちゃんですねっ!」

パネルを見て、ガンマンがお相手を選ぶ。
無骨で女性に縁のなかったガンマンに春が訪れる瞬間が、まもなく来ようとしている。

「それでは簡単に注意事項を説明させていただきますねっ」

受付係のチャラチャラとした口調に少々苛立つが、しかし今はそんなド下等の相手をしている余裕などない。
まもなく夜の超人レスリングデビューをしようというのだ。
興奮と緊張で苛立っている余裕などないわーーーーーっ!

「まずこちらに爪切りとヤスリがあるので、爪の方短くしといてくださいねー!」

それは、なんてことのない注意事項だった。
ただ単に手の爪が長いと女の子が痛がるのでやめてくださいね、程度のことだったのだが、しかし童貞のガンマンには、いまいち伝わらなかった。
しかも緊張していたせいで、話もまともに聞けていない。
ガンマンの脳には『爪を全て短くしろと言われた』という歪んだ形でその言葉は届けられた。

「何だと貴様ーーーーーっ、ド下等の分際で、この誇り高き蹄を削れと言うのかーーーーーーーーーっ!!」

ガンマンが受付に迫る。
蹄は、ガンマンを構成する上でとても大事なファクターだった。
これが素足だとカッコ悪いし、まるで変身前のクッキングパパみたいになってしm私は変身などしなーーーーい!!

「え、あ、その、痛くなきゃ大丈夫なんでっ」

受付のチャラ男も頭が悪かった。
蹄という単語がよくわかっておらず、とにかくすごまれ最低限痛みを感じさせなければいいと早口に伝えた。
その後も「いんすよ、痛くなきゃ!傷つかなきゃダイジョブなんで!」などと早口に連呼する。
それが逆効果だと気付かずに。

「ナメるなーーーーっ、この完璧超人始祖たる私がダメージを与えられぬわけがあるかーーーーーーっ!」

ガンマンも大概話を聞いていなかった。
見事に会話が噛み合っていない。

「ひいっ、痛いのは駄目っす、女の子も怖がるんで、その、おっぱい揉んだり指挿れたりするときに丸まってないと痛いじゃないですかあ!」

受付係も、もはや泣き出しそうだった。
怖かったのだ、目の前の超人が。
それでも逃げ出さなかったのは、チャラ男なりの安いプライドゆえか。

「貴様ーーーーーーっ、この岩肌ボディを丸くしたら、それこそただのせんとくんではないかーーーーーーーーーーっ!!」

何やらコンプレックスを再び刺激されたらしく、ガンマンの前蹴りが炸裂する。
派手な音を立て受付カウンターが吹き飛んだ。
今しがた扉をくぐったバーコードハゲのサラリーマンが、「ひっ」なんて間の抜けた声をあげ、一目散に逃げていく。
脂ぎった中年男性が待合室から顔を出し、そして目を丸くしていた。

「様式だ、一応聞いておくぞ」

誰もが逃げるか、呆然とするしかない状況。
更に追撃の前蹴りで店内設備を破壊せんとするガンマンにもひるまずに、ただ一つだけ近づく足音があった。

「この店が辻垣内組のものと知っての狼藉か?」

奥の廊下から聞こえてくる、カツカツと響くローファーの音。
現れたのは、スーツに身を固めた男だった。
見ようによってはホストと思えなくもないが、しかしガンマンにはド下等な人間の男など全て同じに見えている。

「先生ッッ」
「ま、雇われ用心棒としちゃ、何だろうが暴れるんならぶっ飛ばすだけだけどな」

言って、男が笑った。
店で暴れられているというのに、心底楽しそうに。

「“出来る”んだろう?」

ガンマンの、見るからに屈強な体つきを見て、拳を構える。

「ふん、ド下等な人間ごときがーーーーっ、このガンマンを相手取れると思うなーーーーーーっ!」

ずんずんと歩み寄るガンマンに対し、男が笑った。
そして、男の膨大な威力を誇る一撃が、ガンマンへと突き刺さる。
だが――

「シャババババ、人間にしてはやるではないか」

ガンマンは、立っていた。
よろめくことすらなくその場に立っていた。
スーツの男の目が見開かれる。

「いいだろう、貴様を対戦相手に認定してやるわーーーーーーっ!」

完全に憂さ晴らしの虐殺である。
高潔な始祖の精神はどこへやら、ガンマンの力強い前蹴りによって男の体が吹き飛ばされた。

「!!!!!」

受付の顔がヨクサル特有の驚き顔になる。
男が吹き飛ばされた先にいたソープ嬢と、その客も同じくヨクサル風味の驚き顔になった。
そりゃそうだ、何せ人間がコンクリートをぶちぬいて何メートルもふっとばされたのだから。

「なるほど……」

そしてソープ嬢は、一層驚くハメになる。
何せ死んでもおかしくない吐血量と共に、用心棒は再び立ち上がったのだから。

「認めるよ、“ナメ”ていた……思い上がった馬鹿だとな。なるほど確かに人間以上の化け物だ」
「ジョンスさんッッッ!!」
「だが生憎だな、化け物とは――とっくの昔に闘っている」

強靭なタックルを繰り出すガンマンに、ジョンス・リーの鉄山靠が叩き込まれる。

「シャバッ……!?」

ジョンス・リーの体が吹き飛ぶ。
しかし同時に、ガンマンの体もがかちあげられた。

「屈辱を食わされた。まさか一撃で仕留められないとはな」

ジョンス・リーも、驚いてはいる。一撃で案の定倒れないことに。
だが――予感はしていた。
かつて渺茫と戦っていたがために。
一撃では、終わらないのではないかと。

「だが――お前にVIPはやれねえな」

追撃。
その一撃は、ついにガンマンを吹き飛ばすに至った。
倒せているか確認し、まだのようならもう一度吹き飛ばさねばと、エロティックな風呂場を出ていこうとする。

「やめてくださいジョンスさん、早く怪我の手当てをしないと死んじゃいます!」

ソープ嬢に袖を捕まれ、自分の怪我が軽いものではないと再認識した。
それでもジョンス・リーは前進をやめない。
何故ならそれが、彼のプライドだからだ。
きっと彼なら、気絶したって歩みをやめないだろう(そして石で花火大会をするのだろうが、そこは、まあ)

「お前には、お前の相手がいるだろ」

客を放っておくつもりか。
そう言われ、ソープ嬢が客の方を見、再び驚愕の表情を浮かべさせられた。
客が、ムードを壊された客が、指を噛み切っていたのだ。

「やれやれ……とことん今日は面倒な客が多い日だ」

鎧をまとった巨人と化した客が、怒りを露わにしている。

「頑丈な巨漢と縁があるようだが――関係ない」

金返せ、と怒声をあげる男に一撃。

「」



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