ジャンル:ワールドトリガー お題:悔しい食器 制限時間:30分 読者:808 人 文字数:653字 お気に入り:0人

午前3時、キッチンにて。



少し飲みすぎた、と思った。自分ではまだしっかりしてるんだと立ち上がったものの、ぐらり、と足元がよろついて、思わず手をかけたキッチンラックと一緒に体ごと床に倒れた。

ガシャン。

冷たい無機質な崩壊の音。

と同時に、あぁとうとうやってしまった、と思った。
手元に転がるインスタントコーヒーの重い瓶、100均の安いトレー、キッチンペーパーのロールに何本かのカラトリー。
そして淡い黄色の陶器の欠片。
クラクラ回る頭の一部だけ妙に冷静になって、取手だったもの、をつまみ上げた。



「おまえさ、結局使われないままだったな」



『そうだね』



バラバラに砕けたその欠片は答える。

棚の奥に仕舞われるわけでもなく、その人が来ればすぐに出せるよういつも手の届くところに置いておいた、コーヒーカップは、何とも情けない終わり方をしてしまった。

形や色が気に入って買ったわけでもない、ただ2客で1セットのそのカップがたまたま目に止まって、ちょうどいいと思ったから買った、それだけのものだったんだけれど。
あれからその人がウチに来ることはなかったし、だから一度も使われることもなかった。



「ごめんな」



あの日その人が自分に言ったのと同じ声色で、欠片に言う、
もう返事は返って来ないけれど。






ごめんな、








「ごめんな、慶」










シンクの上の洗い物かごから、使い込まれて渋色の付いたカップがこちらを見ている。
それは何とも悔しそうな顔をしていた。



同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:ワールドトリガー お題:神の絶望 制限時間:30分 読者:70 人 文字数:988字 お気に入り:0人
腹に回った手がちょっとくすぐったかった。背中に人の頬がくっついていて何となくあったかいのももうそろそろ慣れてきた。いつも乗せるのとは違う身体というだけで、何と 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:ワールドトリガー お題:2つの冥界 制限時間:30分 読者:129 人 文字数:1132字 お気に入り:0人
その背中を見かけた城戸は、ほんの少し歩幅を広げた。声を掛けようと歩みを早め、顔をしかめる。「ここは禁煙だぞ、迅」 いつものブルゾンを羽織り、いつものサングラス 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:ワールドトリガー お題:ありきたりな顔 制限時間:30分 読者:800 人 文字数:671字 お気に入り:0人
ーー嘘をつくなとお前は言うが、嘘をつきたい気分なんだ。「悪いな、迅」得意のサイドエフェクトで何を見たのか。迅の顔はひどく歪んで見えて、何だか無性に触れたくなった 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:のどう ジャンル:ワールドトリガー お題:緑の社会 制限時間:30分 読者:350 人 文字数:809字 お気に入り:0人
ここで誰かが産まれるのを、安らかに死ぬのを極力手伝っているだろう、少なくとも、侵略者の襲撃からは。「息をしやすいまちを造っているに過ぎないんだ」歩きながら、迅が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:ワールドトリガー お題:元気な理由 制限時間:30分 読者:713 人 文字数:715字 お気に入り:0人
「撃てないと駄目ですか?……駄目ですよね」こちらの返答を待たずに、そう決めつけて眉を下げて笑う鳩原に二宮は苛立ちを覚えた。※「負けたのは俺のミスだったんです」本 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:赤松@WT妄想垢 ジャンル:ワールドトリガー お題:計算ずくめの液体 制限時間:30分 読者:508 人 文字数:752字 お気に入り:0人
「飲んでください」 疲れがとれますから、と出された飲み物の真意を知った上で、飲み干す自分も相手と同じくらいたちが悪いと冬島は思った。※「ごめんね、ハルちゃん」く 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
くじの結果※ ※未完
作者:赤松@WT妄想垢 ジャンル:ワールドトリガー お題:最強の犯人 制限時間:30分 読者:478 人 文字数:387字 お気に入り:0人
「うっわぁよりにもよって残った二人が……」「ようやく面白くなってきた」 冬島と太刀川はそれぞれ目の前に与えられた課題に対し呟いた。前者はため息をつきながら、後者 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:赤松@WT妄想垢 ジャンル:ワールドトリガー お題:コーヒーと母性 制限時間:30分 読者:442 人 文字数:612字 お気に入り:0人
砂糖を多めでと言われたから、ああ本当に限界なんだなと思ってしまった。「甘ったるいです」右手の書類を離さないまま、左手に持ったマグカップを傾けた東は眉を寄せる。「 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:ワールドトリガー お題:信用のない血液 制限時間:30分 読者:493 人 文字数:1158字 お気に入り:0人
それは、終わりのない夜だった。「東さんどうして」「…悪いな」名を呼ばれた男は、もう一度解散だと呟いて、何かを諦めたように笑った。ーーーーーーーーーーーーーー「諦 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:蚊取り線香 ジャンル:ワールドトリガー お題:知らぬ間の風邪 制限時間:30分 読者:703 人 文字数:1026字 お気に入り:0人
「……何故、こんなことをした?」東は静かに尋ねた。向かいに座るのは一人の少年。「すいませんって、反省しましたって、俺も三輪も」「何故、と俺は聞いているんだ」東は 〈続きを読む〉

ニューイヤーメルティの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:ニューイヤーメルティ ジャンル:ワールドトリガー お題:遠いサッカー 制限時間:30分 読者:123 人 文字数:456字 お気に入り:0人
渋谷にはもうたくさんのサポーターが集まっています!青いユニフォームを着た若いレポーターが蒸気した顔で陽々と伝える画面。やっと重い腰を上げるきっかけができた、と息 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ニューイヤーメルティ ジャンル:ワールドトリガー お題:愛と憎しみの団欒 制限時間:30分 読者:454 人 文字数:786字 お気に入り:0人
何でもない、ただの飲み会だ。私はそう自分に言い聞かせながらジョッキに残ったビールを飲み干した。斜め向かいでは、かなり気分が良くなっている忍田本部長と城戸司令が談 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ニューイヤーメルティ ジャンル:ワールドトリガー お題:未来の「えいっ!」 制限時間:15分 読者:605 人 文字数:737字 お気に入り:0人
ヒーローに、なりたかった。幼い頃観ていた画面の向こうのヒーローに、大人になればなれるのだと信じていた。小学校に上がって少しすると、他人と自分には得手不得手がある 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ニューイヤーメルティ ジャンル:ワールドトリガー お題:鈍い愛 必須要素:日本 制限時間:30分 読者:754 人 文字数:1195字 お気に入り:0人
もう何度も向こうの世界に“遠征”に行った。こちらの世界とは違う、重く、張り詰めた、火薬の臭いの立ち込める空気の中で、『平和的に』などという言葉は大概、通用しなか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ニューイヤーメルティ ジャンル:ワールドトリガー お題:悔しい食器 制限時間:30分 読者:808 人 文字数:653字 お気に入り:0人
少し飲みすぎた、と思った。自分ではまだしっかりしてるんだと立ち上がったものの、ぐらり、と足元がよろついて、思わず手をかけたキッチンラックと一緒に体ごと床に倒れた 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ニューイヤーメルティ ジャンル:黒子のバスケ お題:情熱的な同性愛 制限時間:30分 読者:3675 人 文字数:936字 お気に入り:0人
「…っ、はっ、ちょ・・・っ・・・サンっ」喉元に強く吸い付かれて、上手く息ができない、抗えない。抵抗したい両手はどちらも一纏めに抑えつけられているし、両足はその体 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ニューイヤーメルティ ジャンル:黒子のバスケ お題:孤独な魚 制限時間:30分 読者:698 人 文字数:1006字 お気に入り:0人
その濃紫の魚は、細い身体を撓らせて、光の届かない闇へと落ちていく。音もない、暗い海の底へ。濡れた身体を、洗い立ての柔らかいタオルが包む。前髪からは、一定のリズム 〈続きを読む〉