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【らぁみれ】今年もよろしく

初日の出を拝んだのは久しぶりだった。みれぃは感動もなく事実としてそれを受け入れた。見たくて起きていたわけではなく、ただ眠れなかっただけ。起床時間から逆算して新年を迎えてからでも十分に睡眠時間が取れるはずだったのに、どうしてこんなことになったのか。考えずともわかりきったことではあった。とにかく出かける準備をしなければならない。
両親とは0時きっかりに簡単な挨拶を終えていたが、南家ではいつも朝に新年の挨拶がある。父を上座に母とみれぃで囲み、まず家長の挨拶。それからそれぞれの新年の抱負を述べる。みれぃは当然今年こそ神アイドルになることを宣言した。父と母も満足げに頷いている。お屠蘇を飲む真似をし、お年玉をもらい、そろそろ時間となった頃に母から手招きをされ、ついていくと着物に着替えさせられた。濃い藍色のドット柄、ところどころにレースがついていた。母が子どもの頃に頂いたものをリメイクしたらしい。大げさな、と言うと、大げさなくらいでちょうどいいのよ、お正月だもの、と返された。まあ、そういうことにしておこう。みれぃは呆れ顔をしてみせてはいるものの、内心の喜びは隠せなかった。
これまたお下がりの草履を履き、父からのお褒めの言葉を背に家を出た。当然スニーカーのようにはいかなかったが、ステージをヒールで踊ることに比べれば、歩きにくいというほどではなかった。そのせいだろうか。それとも気がはやったか。目的地までの道のりは思ったよりも短かった。
いいや、道のりが短くなるわけではない。思考が鈍化しているのだ。みれぃはそう認めた。寝不足もあるし、浮かれた気分と緊張が混ざり合って、うまく頭が回らない。
とはいえこうして人の家の前で立ち続けるのもおかしな話だ。覚悟を決めてチャイムを押す。
ハーイ、という返事。ひめかさんの声だ、とみれぃは思う。そういえば本名を知らない。ちょっと待ってね、と大きな声がして、これもまたひめかの声で、そわそわしながらみれぃは待つ。
ずいぶん長く感じたが、恐らく五分も経っていない内に、ばたばたする音と文句を言う声が聞こえてきた。なんで起こしてくれなかったのママ、起こしたじゃない起きなかっただけで、などなど言い合っている。去年から一年間でずいぶん耳に馴染んだ声。
がちゃりとドアが開いた。
何を言うか考えることを忘れていた。

「おはようございます、委員長!」

みれぃは「あ」の形で口を開いたままぽかんとして、それから笑った。

「真中さん、おはようでいいの?」
「あ……そうだった!あけましておめでとうございます、みれぃ!」
「ええ。あけましておめでとう、らぁら。今年もよろしく」
「かしこま!」
「じゃなくて」
「あ、つい。えへへ……こちらこそ今年もよろしくお願いします!」

そう言って出てきたらぁらは、みれぃの着物をテンション高く三分ほど褒めちぎり、すぐにぎゅっと手を握ってきた。

「お母さんがはぐれないように手を繋いでなさいって! もー、失礼しちゃうよね。子どもじゃないのに!」

子どもでしょう、とは言わなかった。そして、たぶん手をつなぐのは神社に着いてからよ、とも。らぁらの手はちいさくてあったかい。冬の空気の中ではとても心地よかった。

「さ、行きましょー!」
「はいはい。急ぎすぎて転ばないでね」
「転ばないよお!」
「はいはい」
「もー」

ふたりで笑う。
今年もよろしく。
これからも、ずっと。

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