ジャンル:遊戯王ARC-V お題:遠い世界 制限時間:15分 読者:664 人 文字数:1084字 お気に入り:1人

撹乱される道化師の話。

「行くの?」
「そうだね、命令だから」
 一瞬、眉間に皺を寄せたユーリは、平静を装って椅子から立ち上がると、デニスの元へ歩いていく。壁に寄り掛かるデニスの前に立って、壁に手を突く。扉の方へ行かせないとでもいうようなその態度に、デニスは苦笑した。
「どうしたのユーリ、らしくないじゃないか」
「そんなことないよ」
「噂の壁ドンってやつかい、僕みたいなでかい男にしても萌えないよ」
 そういうのは可愛い女の子にしないと、と言いながら片目をつぶってみせる。ユーリはそんなデニスを見て、眉間の皺を深くすると、一切の迷いなくデニスに足払いを掛けた。
「ぅあっ!?」
ドスン、と重量感のある音がして、ずるりと壁際に座り込む形になったデニスを、ユーリは見下ろす。普段デニスを見下ろすなんてことがないので新鮮だったが、ちらりとこちらを見たデニスが目を瞬かせていたのでユーリは怪訝そうな顔をした。
「何?」
「いや、今すごく機嫌良さそうだったから…何かなって」
「君の転び方があまりにも無様で」
「それはユーリが悪いんだろう!?」
「簡単に足払いされる君が悪いんだよ」
 ユーリはそう言ってしゃがみ込むと、座り込んだデニスと目線を合わせた。翡翠のような大きな目が、こちらを不思議そうに見ている。じっと見つめ合っていた時間は、ほんの十数秒だったのだろうが、その沈黙と視線に耐えかねたのか、デニスはへらりと笑う。
「な、何かな?」
「君それしか言えないの」
 ぐい、とデニスの胸元を掴むと、ユーリは噛みつくようなキスをした。見開かれたデニスの目が、ああ零れそうだなあなんてバカみたいなことを考えて、そんなことはおくびにも出さずに唇を離すと、ゆっくりと瞬きをし始めたデニスの顔が、バッと赤くなった。
「照れてる?」
「な、にするのさ……ほんと、卑怯だよユーリ…」
「まあ、餞別だと思ってよ」
「餞別?」
「そう」
 遠い世界へ潜入する君へ。まあ、手の内を隠すことは得意だからドジは踏まないだろうけど。心配だ、なんてそんなことを言える柄ではないから、せめて想いが伝わるように。もう一度、今度は額にキスを落とすと、デニスは額を隠すように両手で押さえた。
「!?」
「何、いちいちオーバーだね。普段もっとすごいことしてるでしょ」
「や、あの、ほんと今日はどうしたのユーリ…心臓に悪いよ……」
 顔を赤くしてぼそぼそと絞り出すような声を出すデニス。そんなのを知っているのは自分だけで十分だ。
「僕が気まぐれなのは今に始まったことじゃないでしょう」
 まあ、その気まぐれだって、君にしかしないんだけど。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:不知火すばる ジャンル:遊戯王ARC-V お題:ドイツ式の秋雨 制限時間:15分 読者:346 人 文字数:368字 お気に入り:0人
秋雨ガン無視です クロウとかにすればよかったか「パパがお土産に買ってきたんだが、俺様が出向いてやってんだ、当然食うよな?」珍しい来客は開口一番そう言った。横柄な 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:空前絶後の失望 制限時間:15分 読者:473 人 文字数:1057字 お気に入り:0人
「待って、待って……!」 ごう、と耳元を風が過ぎていく。目も開けていられないような強風が顔を打つ。そんな中、翠色のを持つ少女がひとり、先を行く少年の背を追いかけ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:あいつと息子 制限時間:1時間 読者:8 人 文字数:1309字 お気に入り:0人
※ユーリ視点。統合後。僕は物心ついたときからずっとひとりだった。僕の周りにいたのはプロフェッサー、そしてデュエルの相手と言う名目の「生け贄」。なんであいつらには 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:苦し紛れの天井 制限時間:1時間 読者:31 人 文字数:1496字 お気に入り:0人
※エクシーズ次元の平和な話。ユト瑠璃。ユートは今、人生で最大のピンチに陥っていた。瑠璃と二人きりで会っていたことが親友であり、彼女の兄の隼にバレてしまったからだ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:大人のもこもこ 制限時間:1時間 読者:31 人 文字数:1250字 お気に入り:0人
彼女はふわふわもこもこ※最終回から数年後の誰かと誰かの話。彼女はふわふわもこもことしたものが大好きだ。冬と言えば、もこもことした暖かいものが機能面でもビジュアル 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:大好きな蕎麦 制限時間:1時間 読者:23 人 文字数:1534字 お気に入り:0人
遊矢は普段、蕎麦は食べない。自身の希望でパンケーキを朝食のメインにしたり、米飯に味噌汁、焼き魚にお浸しなどのお米の国に生まれたならばこれだろうと言わんばかりのコ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:黒尽くめの殺人 制限時間:1時間 読者:37 人 文字数:1432字 お気に入り:0人
※エクシーズ次元過去話。ユート視点。ハートランド……いや、俺達エクシーズ次元の住民は一方的な蹂躙を受けていた。来る日も来る日も、雨も録に凌げない建物の残骸に身を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:2つの風 制限時間:1時間 読者:46 人 文字数:1368字 お気に入り:0人
リンの独白。過去の捏造設定あり。冬はシンクロ次元の季節。私の周りにはいつも風が吹き抜けている。一つは汚れのない白を基調にした、シティの全てのデュエリストの頂点に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:死にかけの警察官 制限時間:1時間 読者:44 人 文字数:1563字 お気に入り:0人
※ユーリの独白。ずっとユーリのターン。僕は警察官みたいだ。だってアカデミアやプロフェッサーに逆らう人達を次々にデュエルで、言葉でじわじわと追い詰め、最後は一枚の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:伊菜メイ子 ジャンル:遊戯王ARC-V お題:情熱的な母 制限時間:1時間 読者:36 人 文字数:1603字 お気に入り:0人
※洋子さん視点。スタンダード次元過去話。遊矢の母、榊洋子は昔からエネルギッシュな女性だった。「舞網クイーンズ」の総長として夜を駆け抜け、ふとした切っ掛けで謎めい 〈続きを読む〉

花茨ライの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:たった一つのハゲ 制限時間:15分 読者:356 人 文字数:990字 お気に入り:0人
「……」「何をしている」「いやー、これはちょっと可哀想かなと思って」 そう言って沢渡が示したのは一羽のヒナだった。零児は今気づいたとばかりに視線を向けると、まだ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:空前絶後の潮風 必須要素:全力のグロテスク 制限時間:15分 読者:465 人 文字数:909字 お気に入り:0人
「………」「何だ?」「いや、あのね黒咲、言っておくけど僕にだって嫌なことはあるんだよ」「例えば?」「なんで僕が《ライズ・ファルコン》にくわえられて吊り上げられて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:かっこ悪いつるつる 制限時間:15分 読者:563 人 文字数:1067字 お気に入り:0人
「うわっ!?」 どさっ、と重量感のある音と共に、廊下でしりもちをついたのは遊矢である。音に振り向いた赤馬は、その惨状を見て顔をしかめた。「君は何をしているんだ? 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:俺の流刑地 制限時間:15分 読者:482 人 文字数:1306字 お気に入り:0人
「あんたが何を考えてるのかは分からないけど、異次元に行くんでしょ?」「そうだ」「あんたも一緒に行くの?」「ああ」「一緒に戦う?」「そうなる」「そっか」 端末を操 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:遠い世界 制限時間:15分 読者:664 人 文字数:1084字 お気に入り:1人
「行くの?」「そうだね、命令だから」 一瞬、眉間に皺を寄せたユーリは、平静を装って椅子から立ち上がると、デニスの元へ歩いていく。壁に寄り掛かるデニスの前に立って 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ZEXAL お題:商業的な小説練習 制限時間:15分 読者:515 人 文字数:1082字 お気に入り:0人
「嫌だ」「いいだろ別に」「そういうものは自分でやるものだ」「チッ、ケチ」「ケチではない」 頑固な態度で断り続けるカイトに、舌打ちしたのは凌牙だ。凌牙は手に原稿用 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:闇の育毛 制限時間:15分 読者:502 人 文字数:1286字 お気に入り:0人
「ちょっと訊きにくいことなんだけどいい?」「どうかしたのか?」 社長室で出された紅茶を飲んでいた遊矢が、じっとこちらを見てそう言ったので、何気なく赤馬は返答した 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:僕の好きな少数派 制限時間:15分 読者:490 人 文字数:1276字 お気に入り:0人
「私は君のことが好きだが、君は私のことが嫌いだろう?」 はあ?何を言ってるんだこの男。そう赤馬零児に問いかけられた黒咲が真っ先に思ったのはそれだったが、そのまま 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:暑い夕日 制限時間:15分 読者:500 人 文字数:1217字 お気に入り:0人
「暑い」「そうだね」 それなら袖をまくるなりすればいいじゃないかと思うんだが、赤馬零児という人間はどこかずれているようで、おもむろに空調を制御するリモコンを手に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:闇の深夜 制限時間:15分 読者:450 人 文字数:1419字 お気に入り:0人
「出かけないか?」「……正気か?」 赤馬零児の誘いに、俺は真顔で返答した。夜に突然社長室に呼び出されたかと思ったら、出かけようなどと。いくら同盟を結んだ身とはい 〈続きを読む〉