ジャンル:遊戯王ARC-V お題:かっこ悪いつるつる 制限時間:15分 読者:599 人 文字数:1067字 お気に入り:0人

転んだ先の幸運

「うわっ!?」
 どさっ、と重量感のある音と共に、廊下でしりもちをついたのは遊矢である。音に振り向いた赤馬は、その惨状を見て顔をしかめた。
「君は何をしているんだ?」
「え?なんか今めっちゃ滑って……なんでもないよ」
 あはは、と笑いながら立ち上がり、服の汚れを軽く払うと遊矢は赤馬の後ろをついて行く。レオコーポレーションの中は広く、赤馬を少しでも見失うと迷子になってしまう。前回迷子になった時は偶然通りかかった赤馬零児の弟、零羅に案内してもらったが、今度はそういうわけにもいかないだろう。
「気をつけたまえ」
「うん、そうする」
 再び背を向けて歩き出す赤馬の、ひらひらと靡くマフラーを眺めながら歩く。彼が動く度揺れるマフラー、前髪がぴょんぴょんと跳ねているのをくすくすと笑いながら見ていると、ぴたりと立ち止まった赤馬は振り返る。
「一体何が楽しいんだ?」
「なんにも?」
「………」
 訝しむようにじっと遊矢を見つめていた赤馬だったが、へらりと笑う遊矢の笑顔が変わらないことに小さく溜め息を吐いて歩き始めた。その後ろをついて行く遊矢は、楽しくて仕方なかった。あの赤馬零児が自分に背を向けている事実が、である。
 最初は敵として現れた。圧倒的なタクティクス、経験値、力の差に悔しく思った日もある。けれど、結局彼は自分を嫌いも憎みもせず、ただただ観察するように側に置く。そんな赤馬を観察していて思ったことは、「思ったより悪い奴ではないのかもしれない」だった。
 デュエルの腕はまだまだ届かないけれど、もしかしたら一緒に歩んで行けたならあるいは分かり合える時が来るのかもしれない、とほんの少しだけ期待を持った。だから会いに来てみたら、思いのほか歓迎されて、何度も足繁く通うようになったのである。
「あんたさあ」
「なんだ?」
「やっぱいい人だよな」
「そう見えるか」
「うん」
 まだ確信はできないけれど、分かり合えるとは思う。そう言いかけて、つるり、と足を滑らせた。スニーカーの裏側、何か水を踏んづけたようなキュッという滑った音が聞こえて、遊矢は前につんのめった。
「わあっ!?」
 何かを掴んだと思ったのも束の間、廊下に転んだがそのあとに痛みなどはない。むしろ何か柔らかいものが顔を覆っている。ぷは、と顔を上げると、自分の掴んだものは前をひらひらと揺れていたマフラーで、自分が顔を突っ込んでいたところは。
「榊遊矢、君はわざとやっているのか」
 赤馬の尻だった。どおりで柔らかいはずだ、と思って呆けていると、横から蹴りを入れられた。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:ラストは朝日 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:438字 お気に入り:0人
※ユーゴとリン。過去話。「やっとここまで来たんだな、オレたち」「うん、そうね」コモンズに存在する孤児院。その近くにひっそりと存在するガレージの中、一つの夢が完成 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:ナウいお天気雨 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:413字 お気に入り:0人
※遊矢と沢渡。「なんだよいきなり降ってきて!」あんなに晴れていたのに、と遊矢は続けた。上からバケツ一杯の水を被せられたように髪から靴まで全部びしょ濡れだ。「この 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:彼女の空想 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:467字 お気に入り:0人
※セレナと柚子。セレナは空想する。もしも自分と柚子が姉妹だったら。(私と柚子はそっくりだから、お揃いの服を着たりするのだろうか?)学校の通り道で見た、手を繋いで 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:幼い昼 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:376字 お気に入り:0人
※五歳児遊矢と洋子さん。「遊矢、ほらお日様があんなに高い。日に焼けちゃうから帽子かぶりな」「めんどくさいよおかあさん」その母の声に反抗したくて当時5歳の遊矢はぷ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:今日のゲストはぺろぺろ 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:442字 お気に入り:0人
※遊矢と素良。数年後。「素良!久しぶりだな」「やぁ、遊矢に会いたくなっちゃって」ひらひらと左手を振りながら軽い調子で素良が答えた。もう一方の手には甘そうなキャン 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:死にかけの円周率 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:498字 お気に入り:0人
※遊矢とユーゴ。「3.1415…続きはなんだっけ」(どーでもいいだろ。大体3でいいじゃねぇか)「円周率をどこまで言えるか」を自分達の半分ほどの年齢の少年が挑戦し 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:限りなく透明に近い霧雨 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:512字 お気に入り:0人
※ユーリとデニスの話。「……酷い霧だね」「こんなにヒドイと無闇に歩き回らない方がいいね。一旦休憩にしよう、ユーリ」「僕に命令しないで欲しいんだけど」ボクとユーリ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:近い妹 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:301字 お気に入り:0人
妹、それは自分にとってかけがえのない存在。彼女のためなら自分は何でもできる。世界中を見回しても妹以上に大切に思える存在がこの先できるだろうか?それは彼女も同様だ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:不知火すばる ジャンル:遊戯王ARC-V お題:ドイツ式の秋雨 制限時間:15分 読者:382 人 文字数:368字 お気に入り:0人
秋雨ガン無視です クロウとかにすればよかったか「パパがお土産に買ってきたんだが、俺様が出向いてやってんだ、当然食うよな?」珍しい来客は開口一番そう言った。横柄な 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:遊戯王ARC-V お題:空前絶後の失望 制限時間:15分 読者:517 人 文字数:1057字 お気に入り:0人
「待って、待って……!」 ごう、と耳元を風が過ぎていく。目も開けていられないような強風が顔を打つ。そんな中、翠色のを持つ少女がひとり、先を行く少年の背を追いかけ 〈続きを読む〉

花茨ライの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:たった一つのハゲ 制限時間:15分 読者:418 人 文字数:990字 お気に入り:0人
「……」「何をしている」「いやー、これはちょっと可哀想かなと思って」 そう言って沢渡が示したのは一羽のヒナだった。零児は今気づいたとばかりに視線を向けると、まだ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:空前絶後の潮風 必須要素:全力のグロテスク 制限時間:15分 読者:498 人 文字数:909字 お気に入り:0人
「………」「何だ?」「いや、あのね黒咲、言っておくけど僕にだって嫌なことはあるんだよ」「例えば?」「なんで僕が《ライズ・ファルコン》にくわえられて吊り上げられて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:かっこ悪いつるつる 制限時間:15分 読者:599 人 文字数:1067字 お気に入り:0人
「うわっ!?」 どさっ、と重量感のある音と共に、廊下でしりもちをついたのは遊矢である。音に振り向いた赤馬は、その惨状を見て顔をしかめた。「君は何をしているんだ? 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:俺の流刑地 制限時間:15分 読者:523 人 文字数:1306字 お気に入り:0人
「あんたが何を考えてるのかは分からないけど、異次元に行くんでしょ?」「そうだ」「あんたも一緒に行くの?」「ああ」「一緒に戦う?」「そうなる」「そっか」 端末を操 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:遠い世界 制限時間:15分 読者:693 人 文字数:1084字 お気に入り:1人
「行くの?」「そうだね、命令だから」 一瞬、眉間に皺を寄せたユーリは、平静を装って椅子から立ち上がると、デニスの元へ歩いていく。壁に寄り掛かるデニスの前に立って 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ZEXAL お題:商業的な小説練習 制限時間:15分 読者:545 人 文字数:1082字 お気に入り:0人
「嫌だ」「いいだろ別に」「そういうものは自分でやるものだ」「チッ、ケチ」「ケチではない」 頑固な態度で断り続けるカイトに、舌打ちしたのは凌牙だ。凌牙は手に原稿用 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:闇の育毛 制限時間:15分 読者:533 人 文字数:1286字 お気に入り:0人
「ちょっと訊きにくいことなんだけどいい?」「どうかしたのか?」 社長室で出された紅茶を飲んでいた遊矢が、じっとこちらを見てそう言ったので、何気なく赤馬は返答した 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:僕の好きな少数派 制限時間:15分 読者:514 人 文字数:1276字 お気に入り:0人
「私は君のことが好きだが、君は私のことが嫌いだろう?」 はあ?何を言ってるんだこの男。そう赤馬零児に問いかけられた黒咲が真っ先に思ったのはそれだったが、そのまま 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:暑い夕日 制限時間:15分 読者:528 人 文字数:1217字 お気に入り:0人
「暑い」「そうだね」 それなら袖をまくるなりすればいいじゃないかと思うんだが、赤馬零児という人間はどこかずれているようで、おもむろに空調を制御するリモコンを手に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花茨ライ ジャンル:遊戯王ARC-V お題:闇の深夜 制限時間:15分 読者:468 人 文字数:1419字 お気に入り:0人
「出かけないか?」「……正気か?」 赤馬零児の誘いに、俺は真顔で返答した。夜に突然社長室に呼び出されたかと思ったら、出かけようなどと。いくら同盟を結んだ身とはい 〈続きを読む〉