ジャンル:テニスの王子様 お題:遅すぎた宇宙 制限時間:1時間 読者:763 人 文字数:1104字 お気に入り:0人

【跡真】星があまりに綺麗だから



「綺麗だな」

「!う、うむ」



突然降ってきた声に、不覚にも驚いてしまった。

合宿中の、気を休めることのできる夜の一時。
自主トレを済ませた後、何とはなしに外へ出て星空を眺めていたら、いつの間にか横に跡部が並んでいた。
どうやら夢中になって眺めていたらしく、跡部が側にいるのにも気付かなかった。
俺としたことが、まだまだ修行が足りないらしい。

そっと、隣の男を見つめる。
相も変わらず、容姿だけは整い過ぎているくらい端正なヤツだ。
ほんのりと月明かりを受けている横顔は、まるで絵画から飛び出してきたかのように思える。


「……見つめすぎ、」

「す、すまないっ」


今度は跡部のことを夢中になって見つめていたらしい。
照れたように笑う跡部に、一気に羞恥に襲われた。


「辺鄙なとこだと思ってたけど、こういうのもたまにはアリだな」

「……そうだな」


満点な星空。
宝石をひっくり返したように、空一面に光り輝く星の数々。
ジッと見つめていると、揺らめき光るのが分かる。

溜め息が出る程のこの光景は、都会ではそうお目にかかれない。
そもそも、最近は空を眺める余裕なんてなかった気がする。


「真田、」

「何だ」

「……イヤ、何でもねぇ」


何か言いかけた跡部が、途中で口を噤んでしまった。
再び視線を跡部に戻す。
跡部は視線を天に向けたまま、少し困ったように笑っていた。


「言いかけて途中で止めるな」

「だから、何でもねぇって」

「む…、」


これ以上追及しても、きっと跡部は口を割らないだろう。
もしかしたら、本当に何でもなく、ただ名前を呼んだだけなのかもしれない。
諦めて、俺も再び星空を見つめた。


「……綺麗だな」

「あぁ」


溜め息混じりに呟かれた言葉に、何となしに返事をする。
が、頷いた気持ちに嘘偽りはない。


「明日も晴れるのか?」

「天気予報では、晴れの予報だが」

「……じゃあ、」


跡部が、こちらを見つめている気がする。
俺も跡部を見つめる。

カチリとあった視線に、思わずドキリとしてしまった。
あまり真っ直ぐ過ぎる視線に、目をそらすことが出来ない。


「じゃあ、明日も、見ようぜ」

「星空を?」

「あぁ、晴れてるなら、今みたいに綺麗に見れるだろう?」


気のせいか跡部の声が些か震えてるような気がした。
それが、何故かはわからない。
そして、何故わざわざ明日の約束も取り付けているのかも。

けれど星があまりに綺麗だから、俺は目の前に星空に負けないくらい綺麗な男の約束を、あたかも当然のように承諾していた。



FIN

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:テニスの王子様 お題:光の霧 制限時間:1時間 読者:57 人 文字数:2423字 お気に入り:0人
光の霧3年生の修学旅行は、在校生が最も楽しみにしている行事だと言っても過言ではないだろう。氷帝学園の修学旅行は3年次の9月に行われ、行き先はヨーロッパ、オースト 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:てるい ジャンル:テニスの王子様 お題:遠いパイロット 制限時間:1時間 読者:107 人 文字数:1920字 お気に入り:0人
「あ、流れ星」「なんじゃ。見つけるの早いのう」満天の星空。それでも空で瞬く星にも負けない綺麗な銀色の髪が視界の端でひょこひょこと跳ねる。「仁王くんほんとは見つけ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
夫婦漫才 ※未完
作者:匿名さん ジャンル:テニスの王子様 お題:来年の夫 制限時間:1時間 読者:113 人 文字数:1061字 お気に入り:0人
「浮気かっ!死なすど!」「もー。心配せんでも、アタシにはユウくんだ・け・よ」「小春ぅ!」お決まりのセリフが部室に響く。今日は小春が金ちゃんにたこ焼きを食わせたの 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:宙@立海待機 ジャンル:テニスの王子様 お題:灰色の春 制限時間:1時間 読者:169 人 文字数:2086字 お気に入り:0人
春が好きだった。 愛する草花が咲き乱れ、新生活に少し緊張した人々が街にあふれ、誰もが何かが始まると期待をする。そんな季節に生まれたことを、何度だって感謝した。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:秋月蓮華 ジャンル:テニスの王子様 お題:ひねくれた交わり 制限時間:1時間 読者:434 人 文字数:1153字 お気に入り:0人
(オリキャラ居たり周囲模造だったり)【ある意味では一蓮托生】とあるマンションの一室で最新型の大型テレビに写っている男は台所でパエリアを作っている。わたし、君島玲 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:クニムラ ジャンル:テニスの王子様 お題:運命の使命 制限時間:1時間 読者:909 人 文字数:2345字 お気に入り:0人
人には必ずやり遂げなければいけない使命がある。例えばそれは、家族を支えることであったり、何かで成功することだったり。人によって様々だ。 たまたま俺の使命は家を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:クニムラ ジャンル:テニスの王子様 お題:儚い自動車 制限時間:1時間 読者:426 人 文字数:1989字 お気に入り:0人
財日: 夢だと思った。 俺は学ランを着ていて、バスに乗っている。しかも、何故だか隣には、財前がいた。 我ながら都合がいい。 俺は財前が好きだ。だからきっとこの夢 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:つおか ジャンル:テニスの王子様 お題:どうあがいても職業 制限時間:1時間 読者:508 人 文字数:1252字 お気に入り:0人
「ほら千歳、そろそろ閉館時間になるさかい、帰んで」「あ、うん。ちぃと待ってくれんね、今片付けるけん」自分たち以外誰もいないというのに、自然と小さく潜められた白石 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:たかし三世 ジャンル:テニスの王子様 お題:過去の衝撃 制限時間:1時間 読者:679 人 文字数:1338字 お気に入り:0人
夜、駅のロータリーで、タクシーを待っていた。久しぶりに帰国した日、ちょっと用事があったから、空港から直接向かってその帰り。人気のない小さな駅に駐屯のタクシーはい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:テニスの王子様 お題:絵描きの美術館 制限時間:1時間 読者:557 人 文字数:1234字 お気に入り:0人
ヒーターの前に座り込んで眺めているうちに、生クリームはすっかりゆるくなってしまっていた。千歳が声をかければ、その名の主は作業していたキッチンからエプロン姿を見せ 〈続きを読む〉

東堂みくの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:東堂みく ジャンル:テニスの王子様 お題:悔しい絶望 制限時間:1時間 読者:461 人 文字数:2839字 お気に入り:0人
※選抜合宿中の設定このところ、跡部が突っかかってこない。己を避けているようにも思う。事務的な会話はする。挨拶だって普通に交わされる。けれど、ただそれだけだ。いつ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東堂みく ジャンル:スラムダンク お題:あいつと墓 制限時間:30分 読者:821 人 文字数:1262字 お気に入り:0人
カーテンの隙間から入り込む日差しが、チリチリと顔を刺す。目を覚ますと、いつもの天井が視界いっぱいに広がった。シングルベッドに、シングル用の布団。あぁ、もうこの天 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東堂みく ジャンル:テニスの王子様 お題:真実の芸術 制限時間:1時間 読者:653 人 文字数:1869字 お気に入り:0人
「……なぁ、こんなとこホンマえぇの?」「何度も言わせんな。良いに決まってんだろ」キョロキョロと所在なさげに当たりを見回して不安そうな表情を浮かべる忍足に、半ば呆 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東堂みく ジャンル:スラムダンク お題:素晴らしい反逆 制限時間:1時間 読者:1368 人 文字数:1427字 お気に入り:0人
暫くワシャワシャとタオルで髪を拭かれる。水戸は世話好きだと思う。オレの世話も焼きたがるし、桜木の世話もよく焼いている。陰で桜木の保護者と呼ばれているのを、コイツ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東堂みく ジャンル:スラムダンク お題:1000の妄想 制限時間:1時間 読者:995 人 文字数:2295字 お気に入り:0人
「じゃあ、泊まってく?」その水戸の誘い文句は、どんな言葉よりも魅力的だった。映画とかドラマとかで俳優が言う甘い台詞よりも甘くて、トキメイて、胸がいっぱいいっぱい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東堂みく ジャンル:洋三 お題:今度の黒板 制限時間:1時間 読者:468 人 文字数:2577字 お気に入り:0人
誰もいない教室。温かい日差しが差し込む夕方、梅雨入り時の湿ったあの独特の匂い。いつもは喧騒な教室も、人がいないとこうも静かだ。静かすぎて、空気が五月蠅い。わかる 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東堂みく ジャンル:テニスの王子様 お題:愛の外側 制限時間:30分 読者:557 人 文字数:1182字 お気に入り:0人
※完全パロ大学生跡部×病人忍足今日は快晴。北側であまり日差しが入って来ないこの部屋でも、十分明るい。窓から外を眺めると、雲一つない青空だ。病院の隣には公園が広が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東堂みく ジャンル:洋三 お題:汚い音楽 制限時間:1時間 読者:425 人 文字数:786字 お気に入り:0人
三井さんは歌があまり上手くない。というか、寧ろ下手だったりする。あまりにも気持ち良さそうに歌っているから、本人には言わないでいるけど。少し温くなった烏龍茶を飲み 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東堂みく ジャンル:テニスの王子様 お題:遅すぎた宇宙 制限時間:1時間 読者:763 人 文字数:1104字 お気に入り:0人
「綺麗だな」「!う、うむ」突然降ってきた声に、不覚にも驚いてしまった。合宿中の、気を休めることのできる夜の一時。自主トレを済ませた後、何とはなしに外へ出て星空を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東堂みく ジャンル:跡忍 お題:大きなお天気雨 必須要素:宇宙人 制限時間:15分 読者:312 人 文字数:701字 お気に入り:0人
「げ、降ってきやがった」「ホンマや。さっきまで晴れとったんにな」いきなり大きな音がしたかと思えば、大粒の雨が窓を叩きつけている。バケツとひっくり返したような大雨 〈続きを読む〉