ジャンル:血界戦線 お題:宿命のモグラ 制限時間:15分 読者:573 人 文字数:770字 お気に入り:0人

[ステクラ]君はたしかに僕の太陽である



 まるで陽に焼かれて終わるようで、実のところ、野垂れ死ぬように。
 自分はそういう死に方をするのだろうと、スティーブン・A・スターフェイズは漠然と思っていた。



「地上の空気は合わないのさ」

 昔見たSF映画を思い出す。地下で猛威を奮っていた生物が、いざ地上へ現れると、空気が合わず食も合わず、戻ることもできず無残に死んでいくのだ。
 その映画をいつ、どうして見たのかも覚えていない。ただ、生まれて初めての空を見上げながら「太陽はあんなにも美しいのか」と生物はうっとり目を細めて死んでいく。その場面だけを覚えていた。
 なぜなら生物が見ていたのは、本当は月であったという、美しいような後味の悪いような、そんな映画だったからだ。

「まるで、こう生きてくのがふさわしいと言われるみたいだよ」

 スティーブンの目の前には、凍りついて動かないかつての友が居た。友と思っていたのは、自分ばかりだったのだけれど。
 吐き出す息も凍りつくかつての友が、動かぬ眼球でじっと、スティーブンを見つめている。見つめて、責め立てているようだった。
 片付けてくれ、とスティーブンが私兵に頼むと同じ頃に、彼のスマートフォンが路地裏に鳴り響く。
 懐から取り出すと、画面を見つめて、息を一度吸って吐いて、電話に出た。

「やぁクラウス。今?さっきまで友達に会っていたところだよ」

 嘘ではない。けれどもきっと、こんな明るい声色で話すべきではないだろう。
 
「ああ、大丈夫だよ」

 凝った身体を伸ばすように首を上に向ければ、空には月が登っていた。

「明日のことか、うん。了解」

 太陽を月と、月を太陽と偽って暮らすような俺は、果たしてなにを見て死ねるだろうか。
 
 ああきっと、野垂れ死ぬのだろうな。
 スターフェイズは月をみて、漠然と思った。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:六月 ジャンル:血界戦線 お題:昨日食べたおっさん 制限時間:15分 読者:32 人 文字数:1264字 お気に入り:1人
霧けぶるHLに来て、純朴というよりは野生だったザップは秒で擦れた。それは番頭役のスティーブンのせいであり、敬愛すべきボスであるクラウスのせいである。子どもの成 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:血界戦線 お題:やわらかいパラダイス 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:851字 お気に入り:0人
人間がどれだけ脆いものかを知っている。ぐらりと指先に伝わる肉の柔さを知っている。どの人間にも皮膚があり筋肉があり骨があり内臓がある。主にすべてを真っ二つにしてい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:血界戦線 お題:素晴らしい目 制限時間:15分 読者:378 人 文字数:722字 お気に入り:0人
「君の目は素晴らしい」 言われたのは昔のことだ。クラウスと出会う前、大崩落の何年前だっただろうか。「一体どこがです」 聞き返すと、彼は顎に手を当てて少しばかり考 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:血界戦線 お題:熱い勝利 制限時間:15分 読者:445 人 文字数:1169字 お気に入り:0人
世界が切り開かれ、光が差す。 闇の中から輝きが生まれる。 時が時として動き出し、天と地が据えられていく。 その様を、私――クラウス・V・ラインヘルツは見据えて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:血界戦線 お題:僕が愛した小雨 制限時間:15分 読者:403 人 文字数:399字 お気に入り:0人
こんな俺にだって、雨に濡れたい時がある。本当にたまに、だが。「なんか、今日のザップさんおかしくないですか?」あ、おかしいっていうのはいつもと違うって意味であかし 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:こけら。 ジャンル:血界戦線 お題:間違ったブランド品 制限時間:15分 読者:531 人 文字数:437字 お気に入り:0人
「なあ。それ、なんなんだ?」スティーブンが指差した先。積まれた本の上には、硝子の小瓶が鎮座していた。中身には粒状の白い何かが詰まっている。「頂き物だ。なんでも、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あずき//ありがとうございました! ジャンル:血界戦線 お題:何かの命日 制限時間:15分 読者:479 人 文字数:1341字 お気に入り:0人
「ザップ・レンフロはどこにもいない」 てのひらにどろりと流れる赤黒い感触も、踏みつぶした躯の感覚も、スティーブンは決して忘れようとしなかった。目を背けようとしな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:血界戦線 お題:近いボーイ 制限時間:15分 読者:407 人 文字数:652字 お気に入り:0人
パーソナルスペースという言葉を、知らない仲らしい。ザップの前に座るレオ、その隣にベッタリくっついているツェッドの三人を眺めつつ、スティーブンは珈琲を啜った。いつ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:世界の墓場から ジャンル:血界戦線 お題:大きな魚 制限時間:15分 読者:468 人 文字数:1091字 お気に入り:0人
求められたかった。レオナルド・ウォッチが事務所の扉を開いたのは午前二時を回ったころで、おかしなことにドアを開けてみると電気が付いていて人の気配があった。丑三つ時 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:たかみ ジャンル:血界戦線 お題:楽観的な国 制限時間:15分 読者:383 人 文字数:500字 お気に入り:0人
この地に住めば住む程に思う 此処では何が有っても可笑しく無いし、なんていうか皆其れを受け入れて。どんな騒ぎも【そういうものだ】といった感覚で、ハレの日みたいな扱 〈続きを読む〉

りっしんべんの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:りっしんべん ジャンル:血界戦線 お題:情熱的な経歴 制限時間:30分 読者:432 人 文字数:1040字 お気に入り:0人
「ハロー、ミスターステファン」 呼ばれたスティーブンは振り返り、そして振り返ったことを後悔した。「えー、と。どうも、ミスター……」「ダニーで構いませんよ。ステフ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:りっしんべん ジャンル:血界戦線 お題:灰色の狼 制限時間:15分 読者:422 人 文字数:536字 お気に入り:0人
うねりを上げながら、駆け抜ける銀色の狼。その身を血で汚すこともなく、どこまでも精錬に獲物を狩り尽くす。 紅い月の瞳、頬に一閃の傷跡。ぞっとするほど、美しい。「 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:りっしんべん ジャンル:血界戦線 お題:東京血 制限時間:30分 読者:424 人 文字数:1241字 お気に入り:0人
それは極東の島国より来た。 血界の眷属と呼ぶにはあまりに人をかけ離れ、しかしグールたちとも違う。 かの異界人の名を、ただ一言――鬼と呼んだ。「止まれ……ッ!」 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:りっしんべん ジャンル:血界戦線 お題:複雑な体 制限時間:30分 読者:804 人 文字数:1356字 お気に入り:0人
「うっ……わぁ」 ダニエル・ロウが食べかけの特製サンドウィッチから、ソースが垂れることすらも忘れて見入ったのは、視線の先から歩いてくる見知ったモデル体型の男だっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:りっしんべん ジャンル:SIREN お題:犯人は道のり 制限時間:30分 読者:467 人 文字数:1543字 お気に入り:0人
夏の地面は歩きにくい。別に冬だから歩きやすいわけじゃなく、ただ億劫なだけだと宮田司郎は知っている。それでも、なんとなく歩きにくい。 良い思い出もないからだろう 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:りっしんべん ジャンル:血界戦線 お題:きちんとした第三極 制限時間:30分 読者:621 人 文字数:1150字 お気に入り:0人
今日のスティーブンは珍しく緊張していた。いつもよりコーヒーを2杯も多く飲んでは、その緊張をごまかしている。 なにせ、今日は我らが愛すべきライブラのリーダー、ク 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:りっしんべん ジャンル:血界戦線 お題:やば、子犬 制限時間:30分 読者:1155 人 文字数:900字 お気に入り:0人
「ああ、ミスター・ロウ。こんなパーティで出会うなんて奇遇ですね」「気持ち悪い言い方すんじゃねぇよ。それにこんな趣味の悪いカクテルパーティで、お宅なんぞに会いたく 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:りっしんべん ジャンル:血界戦線 お題:宿命のモグラ 制限時間:15分 読者:573 人 文字数:770字 お気に入り:0人
まるで陽に焼かれて終わるようで、実のところ、野垂れ死ぬように。 自分はそういう死に方をするのだろうと、スティーブン・A・スターフェイズは漠然と思っていた。「地 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:りっしんべん ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:小説の中の男祭り! 制限時間:15分 読者:1000 人 文字数:813字 お気に入り:0人
「初めましてというべきか、このクソ野郎というべきか俺には分からないな」 目覚めた先にいたのは、いかにも外国人という顔貌で、どっちかというとイタリアあたりの顔立ち 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:りっしんべん ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:箱の中の悪 制限時間:2時間 読者:942 人 文字数:1158字 お気に入り:1人
「パンドラの箱の中には、何が入っていたか知っているか」 ディオの脈絡もない問いかけに、僕はフォークに刺さりっぱなしだったケーキをうっかりと皿に落とした。 彼は、 〈続きを読む〉