ジャンル:ハイキュー!!【腐】 黒大 お題:白い夜風 制限時間:30分 読者:304 人 文字数:1288字 お気に入り:0人

よみがえり ※未完

 ざあっと生ぬるい風が吹いていく。遠くから太鼓と音頭がする。
「どっかで盆踊りしてますネ」
「そうですね。行ってみたいのか?」
「いやあ、まあ、これを着たからにはねえ」
 新しく設えた浴衣の袖をひらひらと揺らしアピールしてみるけど鼻で笑われた。澤村サンちょいと冷たすぎやしませんかね。拗ねたフリをしてもスルーされそうなので苦い顔一つですませておく。じっとりとした暑さの中、あまり余計な労力を費やしたくないのはお互いに同じだ。
 盆ってのは厄介だ。生死の境が曖昧になるせいで、誰が生きてて誰が死んでるのかよく分からなくなる。別に、霊媒体質とかそんなんじゃないけど、盆の時期だけ余計なものが見えるのが昔っからの嫌な体質。盆休みで盆踊りやってるような時期だけの、期間限定スペシャルバージョン。でも澤村は違うようだ。
 澤村には余計なものが見えない。見えないだけで「分かる」のだという。気味悪い体質だよ全く、と澤村が苦々しい顔をしたのは、盆祭りに行こうっていう澤村からの珍しいデートのお誘いを断った時だ。お互いにヘンな体質だなって自嘲して、だったらひと夏のアバンチュールやってみましょうよって無謀なプランを提案された。ねえ澤村ハナシ聞いてた? 聞いてた。 じゃあ何でそうなるの! 一回くらい若気の至りで過ち冒してもイイかなって。よかないよ、取り返しつかなくなったらどうすんの! あーだこーだ言いました、めっちゃ言いました。けど、澤村には勝てなかったよ……俺達は今心霊スポットを巡っています。
「あと一つだな、ほんと早く行って帰ろう、いや盆踊り行こう、人が恋しいよ俺は」
「取り乱しすぎだろ、平常心平常心」
「お前マジ何なの、化け物なの、どうして怖くないの」
「生きてる人間の方が怖い」
「怖さのベクトルがちげーよ!」
 見えないってほんと幸せだな! 形容しがたいナニかを沢山見て俺のライフはもうゼロよ!
 あと一つ残った心霊スポットは小高い丘の上にある廃墟で、一家心中だか何だか色んな曰くがついちゃってるから俺は行きたくない。いや行きたくなかった。過去形なのはもう目の前にあるからです。
「何か、嫌な感じするな。夏なのに空気が冷たい……黒尾?」
 澤村マジ見えないって幸せなことだよ。俺は今にもぶっ倒れそうだ。
 血塗れの母親と包丁を持った子供がこちらを見つめている。
「帰ろう、マジでダメなやつだコレ」
 縋るように隣にいる澤村の手を握れば、強い力で握り返された。多少怖さが軽減されたけど、依然こっちを見つめる親子の目つきは変わらない。立ち入ることを許さず、立ち入ればタダでは済ませないといった、そんな鬼の形相。
「分かった。帰ろう、黒尾」
 澤村は手を握ったまま踵を返して、俺もそれに倣う。あのままずっといたらどうなっていたかなんて想像したくもない。
「そういえば何でこんなこと言い出したの」
 人通りがある道が近づいてきてから澤村に訊いてみると、
「んー、吊り橋効果?」
 そんなことしなくったって俺は十分惚れてますよ。
 苦笑いしながら、もう少しだけ手を繋いでいたいと思った。

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