ジャンル:ワールドトリガー お題:真実の娘 制限時間:4時間 読者:634 人 文字数:1782字 お気に入り:0人

エンゼルメイク

※暗い。捏造が酷い。
「延命治療」の佐鳥視点


 俺はただ、自分を好きになりたいだけだった。だから、そのままでは駄目だった。根暗でコミュ障、ガリ勉野郎。そんなふうに言われ続ける小学生生活を送っていた。変わるきっかけが欲しかった。だから、あの時起こったことは、今でも俺の中で最高で最低の思い出だ。

 第一次近界民侵攻。

 みんな死んだ。生き残ったのは俺だけだった。その時俺は、体育館の倉庫に閉じ込められていた。テストで満点をとって先生に褒められたからだ。調子に乗っていると言われ、強引に閉じ込められた。ただただ見つけてもらうのを待っていた。先生に聞かれても、鍵が壊れていて開けなくなりました、と言うつもりだった。話を大きくしたくはなかったし、誰かに守られるのは嫌だった。
 でも、そうはならなかった。外から聞こえる轟音や悲鳴。何が起こっているのかわからないまま、俺はひたすら震えていた。怖い。出られない。ここで死ぬのか。いい人生とはいえなかったけれど、死ぬのは怖かった。とてつもなく、怖かった。
 でも俺は助かった。そして、気づいた。過去の俺を知る者は誰もいない。今が自分を変える絶好の機会ではないのかと。
 ボーダーから中学校に行くための支援を受けるかわりに、防衛隊員として入隊することが決まった。俺は入念に準備をした。髪色を明るくし、ぶ厚いレンズの眼鏡はコンタクトに変えた。目立ちたがり屋、お調子者で女好き。好きな食べ物はハンバーガー。参考にしたのは当時好きだった戦隊ヒーローのレッド。そう、俺はヒーローになりたかった。ずっとそう思っていた。だからいじめられているとき、誰にも助けてもらえなくてもそれでよかった。この世にヒーローはいない、そのことがわかって、俺は嬉しかった。だから、俺がヒーローになるんだ。
 さらに細かく設定を練り、忠実に再現できるよう街に出て何度も練習をした。そして、中学校に入学する頃には俺は完璧な、自分の考えた完璧な「佐鳥賢」だった。

 入学して半年。中学校生活は好調だった。憧れていた存在の性格や仕草が自分に馴染んでいく感覚はとても心地がよかった。
 ボーダーへの正式入隊も無事終わった。ポジションは狙撃手。本当はヒーローらしく派手な攻撃手がやりたかったが、指導員に向いていると言われて決めた。上達しなければ元も子もない。それに、的の真ん中を撃ちぬいた時の感覚は悪くないなと思った。
 中学二年生になる頃には、俺はB級隊員になっていた。もちろん目指しているのはA級のトップだったが、順調に憧れのヒーローに近づいていることを実感して嬉しかった。この調子ならきっとすぐに強くなれる。世界を、この街を、守れるくらいに。俺は調子に乗っていた。今ならそれがよくわかる。あの人と出会った今なら。

 その日、俺はメディア対策室長の根付さんに呼び出されていた。名前は知っているが話したことはないし、こんなB級あがりたての隊員に一体何の用なのだろうか。全く見当がつかない。ノックを三回、応答を確認してから入室する。そこには黒髪の男と、同い年くらいに見える眠たそうな顔をした男がいた。面識はない。小さく会釈をしてから彼らの横に並んだ。
 それを確認して、根付さんが口を開いた。

「突然だが、このメンバーでメディア向けの部隊を組んでもらう」

 それが、すべての始まりだった。



 嵐山さんは誰もが認める理想の隊長、そしてヒーローだった。俺みたいな偽物とは違う。どうしたらあんなふうになれるのだろうか?生まれ?環境?持って生まれたものから違うのか?憧れと畏敬の念を抱きながら、俺は嫉妬せずにはいられなかった。嵐山さんのようになりたい。でも、俺に期待されている役割は違う。お調子者のムードメーカー。だって、そういうふうに自分で作ったから。
 理想になれたはずの自分を認められない自分に嫌気が差し、嵐山さんを素直に尊敬できない自分に腹が立ち、俺は徐々に不安定になっていった。人と関わる機会が減り、眠れない夜が続いた。トリオン体が体調に左右されないことに感謝した。演技には自信がある。しかし嵐山さんの前で無理矢理笑うたび、隈が濃くなってゆくことをトッキーに心配されるたび、精神はすり減っていった。
 そんな時だった。俺が、出水先輩と出会ったのは。

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