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[ステダニ]心中するのも覚悟の上で



 うねりを上げながら、駆け抜ける銀色の狼。その身を血で汚すこともなく、どこまでも精錬に獲物を狩り尽くす。
 紅い月の瞳、頬に一閃の傷跡。ぞっとするほど、美しい。

「スターフェイズ、俺はお前を捕まえる。そのお高い毛並みに俺の牙を立ててやるさ」

 狼は笑う。冷たい微笑みだ。
 捕まらないさと、狼は霧にちらつく星の光を浴びながら、強者の余裕を見せつけた。

「ダニエル、君の牙は僕の喉笛には届かない。それでも噛み付くというのなら、相応の覚悟をしておいてくれ」

 音もなく地面から生えた氷柱の切っ先が、俺の喉元に突き立てられる。
 奴は眉一つ動かすこともなく、俺に危害を加えられる。知っている。
 それでもなお噛み付かねばという衝動に駆られた、俺もまた獣であるのだろう。

「覚悟ならあるさ」

 一歩、足を踏み出す。
 冷たい刃は首の皮膚を簡単に破いて、血の玉がぷっくりとあふれて流れていった。
 奴の美しい武器を、俺の血が汚していく。
 血潮が熱く滾り、鼓動が高ぶる。
 突然のことに驚いたのか、銀色の狼は息を呑んでこちらをしっかりと見た。
 ああ、かの双眸に俺の姿が浮かんでいる。

「元より灰かぶりの畜生だ。命を大事にするだなんて思ってくれるな。クソったれ」

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